ブロック・サイエンスの問題解決学習とは?
-推論・実験・検証の学びのサイクル-
「問題解決力とは何か?」 あまりに漠然としていて、捉えどころがないような気もします。一般的に、問題解決力とは、「課題を正しく理解し、解決策を立てて実行する、そして、その結果を検証し、計画の見直しや次の計画への反映を行う能力」を指しているようです。
また、問題解決力を構成する要素として、次のことが挙げられています。
①課題発見 (現状と目標[あるべき姿]を把握し、その間にあるギャップの中から、解決すべき課題を見つけ出す)
②課題分析 (課題の因果関係を理解し、真の原因[本質]を見出す)
③論理的思考
(複雑な事象の本質を整理し、構造化[誰が見てもわかりやすく]できる。論理的に自分の意見や手順を構築・展開できる)
④計画実行 (目的と目標を設定し、順序立てて計画して確実に実行する)
⑤検証 (計画して実行した結果を正しく評価し、計画の見直しや次期計画への反映を行う)
教育の世界では、「問題解決学習法(Problem-Solving-Learning)」または「課題解決型学習(PBL=Project-Based Learning)」と呼ばれる学習法があります。アメリカの教育学者のジョン・デューイ(1859-1952)によって提唱されました。学習を能動的なものと規定し、知識の暗記にみられる受動的なものを脱却し、自ら問題を発見し解決していく能力を身につけていくことに教育の本質を求めるというものです。ここでは、教師が準備し設計したステップを踏んで学んでいく系統学習ではなく、生徒自身の自発性、関心、能動的な姿勢から、自ら体験的に学んでいく努力の価値を評価していきます。最近盛んに耳にする「アクティブ・ラーニング」(視線97回参照)に当たります。
当アカデミーの「ブロック・サイエンス」コースでも、「問題解決学習」と呼ぶアクティビティを全ステップで一貫して行っています。簡単にいえば、「困っている人(動物)を助けるものをブロックで作ろう」というものです。例えば、ブロックビルダーⅡ(年中対象)の授業では、野生動物園を舞台にする「アニマル」という問題解決アクティビティを行います。まず、困っていたり不満だったりしている動物の絵を見て、何に困ったり不満だったりしているのか?(課題発見)、なぜ困っているのか?(課題分析)を皆で話し合います。その上で、子供たちは動物園の運営者として、その問題を解決するためには、どのような施設や設備、居住空間を作ったらいいか?(解決のための推論)について意見を出し合います。その上で、各自が自分の考えに沿って制作(計画実行)を行います。制作後、「自分はこう考えてこれを作った。ここはこんな工夫をした」などをクラスのお友達に発表します(論理的思考)。そして、最後に実験をして、その動物の問題が解決できたかどうかを確かめます(検証)。MITメディアラボ名誉教授のシーモア・パパート(視線106回参照)は、自身が提唱する教育理論「コンストラクショニズム」において、出鱈目な試行錯誤ではなく、「推論→実験→検証」という『正しい学びのサイクル』に基づく試行錯誤こそ、意義ある学習となる、と唱えています。
小学生の中学年~高学年の授業では、「ドラムペダルがないので作って下さい」「病院のリクライニングベッドを作って下さい」など、各単元の章末問題として問題解決学習を用意しています。メカニズム(物理・力学)の実験を通しての基本的な原理学習、モデル研究、モデルのモーターによる駆動とプログラミングによる制御を学んだ後に行います。これらの問題は、実際の仕組みを調べないと作れません。ですので、「これまで学んで身に付けた知識や技術と、新たに得た情報を基に問題を解決する」という、まさにOECDが行う国際的な学力調査「PISA」が求める学力(=知識や情報の活用力)を育成するカリキュラムとなっているのです。
トゥルース・アカデミー ブロック・サイエンス
トゥルース・アカデミー リトル・ダヴィンチ理数教室
トゥルース・アカデミー ロボット・サイエンス
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