2007年5月1日火曜日

【第26回】フィンランドの教育④


― 日本の教育とどこが違うか ―

日本ではつい先日43年ぶりに全国学力テストが行われ、賛否両論巻き起こりましたが、フィンランドでは、序列をつけたり他人と比較するためのテストはなく、学校を超えた統一試験のようなものもありません。評点はありますが、各教師によって専門性をもって判断され、あくまで個人の到達度を計るものです。

94年以来改革の基調は、主に以下の3点に集約されます。<1>すべての子どもの必要に応じること<2>教えることから学ぶことへ<3>国家の規制の縮減、地域・学校の権限の拡大、生徒・父母・教師の参加へ。評点は、この<1>を実現するためのものなのです。 上記<2>は、視線24回の⑪社会構成主義的な学習概念(socio-constructivist learning conseption)に密接に関係しています。これは当アカデミーの指導理念である「コンストラクショニズム」をベースにしています。ここでは、「学習とは、子供や若者が自分の人生に必要な知識を自ら求め、知識を構成していく活動であるべきだ」と考えられています。要するに、知識というものは、学ぶ者が自ら探求し、自分なりに作り上げていくべきであり、教育はこの学習を支援する活動なのです。また、若い学習者が将来に必要とするのは「学習のためのスキル」であり、学校は子どもたちが学習のためのスキルと情報を獲得する学習センターにならなくてはならないと考えられています。

また、1993年から始まった『バーサモデル』と称される「就学前からの起業家精神教育」が世界的に注目されています。これは、「教える教育から学ぶ教育へ」「内容よりも方法を重視する」「起業家精神教育という特定の科目を作るのではなく、すべての科目にわたって起業家精神教育的な考え方を導入する」ということをコンセプトにしており、狭義の起業家教育ではなく、実は知業時代に対応する広範な教育意識改革なのです。
次回、この「バーサモデル」について詳しくお話いたしますが、まず知識を与え、予定された正解に早く正確に到達させることに重点が置かれる日本の教育とは大きく異なる考え方をしているようです。
【参考】前回・前々回の資料に加え、
「福祉と経済を両立させる知業時代の教育システ
―幼児期から自己効力感を育てる内的起業家精神教育」(北海道東海大学教授・川崎一彦


To be continue・・・