2019年3月8日金曜日

【第138回】世界の教育をリードする教育展示会「BETT」見聞録②

 ~教育はどのような未来に進んでいくのか?~

【第138回】トゥルースの視線

日本でもそうですが、「little Bits」に似た電子ブロック系の教材も種類が豊富になりました。小学低学年でも扱いやすい大きいブロックを使ったり、レゴと組み合わせられたりするものもいくつかありました。これまでこの学年の子は電子ブロック系ですと工作が大変でしたが、レゴと組み合わせることにより、これまでよりずっと表現しやすくなると思います。一方9年前は大きなブースを構えていたレゴエデュケーションですが、今回は単独のブースを構えていませんでしたが、いくつかの代理店のコーナーに登場。特に、ルービックキューブをそろえる完全自律型のロボットが目を引いていました。また、3Dプリンターや木や金属など様々な素材を削るカッティングマシンなどの工作機械も多くなりました。小型バスの中に様々な工作機械を置いて実際に体験できる「ファブラボ」ブースがあり、日本企業のブラザーも自社製品を出展していました。小型で低価格のものや、モジュールだけを変えればいろいろな物を削ることができるものなど、種類豊富です。9年前まだ日本の初等・中等教育には見られなかったデータロガー(実験のデータを取る電子器具)も無線に対応したものや、コンパクトで多機能なものも登場していました。

アクティブ フロア

しかし、何といっても目立ったのは、AR(拡張現実)やVR(バーチャル・リアリティ)の教材が増えたこと。ゴーグルをつけて3D の仮想現実の中に入って体験したり、パソコンの中の世界と現実の世界が連動したりする教材がいくつもありました。また、椅子のような床置きの大きなタブレット、指の繊細なタッチも感知して実際に鉛筆や筆で描くように絵を描くことができる大きなタッチスクリーン、日本の各地でイベントを行っている「チームラボ」のように、映像を床に映し出して人間の動きと連動して映像が動いたりするフロアスクリーン、大きな布製の立方体の椅子と電子黒板とが連動して子供が身体を使ってその立方体を動かして学べるものなど、技術による進化とその応用には目を見張るものがあります。

電子黒板と現実のコラボ

9年前には電子黒板を使ったカリキュラム作成支援ソフトの豊富さに驚きましたが、今回は子供が自分で学べる電子黒板もいくつか登場していました。まさに、これからの教育を暗示するものです。これまでは先生が行う授業を支援してきたものが、子供たちのアクティブラーニングを支援するものに、その使い方が変化してきたことを意味します。iPadのようなタブレットでは当たり前のことですが、教室で使える大きなものでしたら協働学習が可能になります。私共が実践してきた教育理論「社会的構成主義」を実現する一つのアイテムになりそうです。先生は、知識を与え教える立場から、子供の学びをデザインし、子供の活動をファシリテート(円滑に進むように促進)する立場に変わることが、ますます要求されるようになるのではないでしょうか?

私共が歩んできた道が正しかったことを改めて実感しましたが、技術は日進月歩です。このBETTで出会ったいくつかの優れた教材を検証し、Truthの授業に有効に取り入れる方法を模索したいと思います。また一方で、2020年から小学校でプログラミングが必修科目になりますが、教育の在り方が変わらなければ、プログラミングも単なる一つの教科に終わってしまいます。むしろ、プログラミングを教科にすることによって、教育そのものをどう変えていくか、考えなければならないのではないでしょうか?

トゥルースアカデミー代表 中島晃芳

トゥルースアカデミー
http://truth-academy.co.jp/