2015年12月9日水曜日

トゥルースの視線【103回】


プログラミング教育の必修化【その2】
 
-プログラミング学習の必要性と意義 -

 

 「世界最先端IT国家創造宣言」(20146月改訂・閣議決定)において、「『情報資源立国』となるためには、それをけん引する人材、それを支える人材、それを享受して豊かに生活する人材が必要であり、(中略)、発達段階に応じた情報教育、及び学習環境の充実(ソフト・ハードを含む)が必要となる。その際、初等・中等教育段階におけるプログラミングに関する教育の充実に努め、IT に対する興味を育むとともに、IT を活用して多様化する課題に創造的に取り組む力を育成することが重要であり、このための取組を強化する。」とあるように、日本もやっと児童に対するプログラミング教育を国家戦略として位置づけたようです。
 
 主に楽天やサイバーエージェントなどインターネットを利用したコンテンツ産業を行う企業群が参加する経済団体「新経済連盟」の教育改革PTによる「プログラミング教育の充実に向けて(教育改1次提)」では、「(プログラミング教育は)プログラマー人材育成にとって必要であることはもちろんのこと、それにとどまらず、21世紀型の基本的な素養として必要である」として、プログラミング教育の意義について次のように述べています。
 
①世界の潮流はSTEM教育。テクノロジーとの対話がプログラミング
世界では、今後必要な素養として「ScienceTechnologyEngineeringMath」のSTEMが重要とされている。プログラミングは、テクノロジーを活用する能力を向上させるもの。
 
21世紀の世界はプログラムで構築されている
あらゆるデバイス、サービスの背後にはプログラムがある。世界が何でできているのか、世の中を動かす仕組みを知る必要がある。
 
③プログラミングが養ってくれる力
プログラミングを学ぶことで、自らのアイデアをどのようにすれば実現できるのか、論理的に考え、障害を取り除きながら実行していく力を養える。自らのアウトプットを積極的に世の中へ発信できる。これは、社会で活動するための普遍的な力になる。
 
 2013122日、秋葉原の秋葉ホールにて、角川アスキー総合研究所主催の「なぜプログラミングは必要なのか」というシンポジウムが開かれました。セッション「教育とコンピュータ」では次のような意見が出ました。コードを必修科目とする通信制普通科高校「コードアカデミー高等学校」のスーパーバイザーを務める松村太郎氏は、「その目的は、『読み・書き・そろばん』に加えてコードを学ぶことで、テクノロジーが分かり、自分で作れる人を作ることだ」と。ベネッセコーポレーション・デジタル戦略推進UX開発セクションの鈴木久氏は、「人がすべきこととコンピューターがすべきこととの切り分けができる力、問題抽出力、課題解決力を身につける環境や機会を作りたい」と。デジタルえほん代表取締役・NPO法人CANVAS理事長の石戸奈々子氏「プログラミングによって、論理的に考え問題を解決する力、他者と協力して新しいものを生む力、さまざまな表現手段を身につけることができる」と。
 
 板垣朝子WirelessWire News編集長は、このシンポジウムの感想として、「今のプログラミングとは単にコンピューターを動かすためのコードを書くことにとどまらず、人を動かすためのルールや仕掛けを作ることまでが含まれる。コンピューターやネットワークをコントロールするための道具としてのコードを使いこなすことと、コンピューターやネットワークでつながる人やものの関係性をデザインして社会を変えること。プログラミングには2つの意味があるとも言い換えられるだろう。そして、コードを書き、コンピューターを動かす経験をすることで、2つのプログラミングをする力は鍛えられる。だから子供や若い人が、コードを学ぶことには意味がある」と述べ、Rubyアソシエーション理事長のまつもとゆきひろ氏の「プログラミング言語は自分の意図をコンピューターに伝える手段であると同時に自分の考え方を明確にする手段」という言葉を紹介し、「思考の道具としてもまた、コードの読み書きは有用だということなのだろう」と。
 
当アカデミーは、1960年代に子供の学習用プログラミング言語LOGOを開発し、LEGO Mindstormsの生みの親でもある、マサチューセッツ工科大学メディアラボ名誉教授シーモア・パパート氏の提唱する教育理論「コンストラクショニズム」を実現する目的で現在のSTEM教育を始め、その一環としてプログラミング教育を提供しています。最近様々なプログラミング教育ツールが出てきていますので、少しずつ幅を広げ多様なニーズに応えられればと存じます。
 
今世界でコンピューターを利用した技術革新を主導しているのは「プログラミングの専門家」でなく、「プログラミングできるその分野の専門家」になってきている。例えば、スマート農場で技術革新を起こせるのは「プログラミングできる農民」だ。
―「『プログラミング強国』へ教育を」 坂村健 東京大学大学院情報学環教授―
 
 
 
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳
 



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