2021年3月8日月曜日

【第157回】教育用レゴブロックの歴史

 

~  MITから生まれた教育を次につなげよう!  ~

トゥルース・アカデミーは、2000年に日本における第1期のレゴとロボットの教室を開講し、メカニズムとプログラミングを中心するSTEM(科学・技術・工学・数学)教育を行っております。この20年間、使用している教育用レゴブロックは度々変遷してきました。

●ブロックビルダー(BB)Ⅰ・Ⅱ・Ⅲで使用している「アーリーストラクチャー」は、2015年に販売終了。


 
アーリーストラクチャー

●キッズクリエータ―(KC)Ⅰで使用している「アーリーシンプルマシン」は、他の教材が変遷する中、開講当初から変わらず販売されてきましたが、昨年12月末に廃盤。デュプロサイズでメカニズムを直感的に学べるとても優れた教材がなくなることはとても残念です。


 
アーリーシンプルマシン

●KCⅡでは、開講当初は「ミニセット」というテコ・車輪と車軸・歯車・滑車の4部門がそれぞれのセットになっていたものを使用していましたが、一時廃盤になり、その後現在使っている「シンプルマシンセット」にリニューアルし、ミニセット4セットが1つにまとめられました。シンプルマシンセットも昨年12月末に廃盤となりました。


 
シンプルマシンセット

●KCⅡで使用している2012年に発売されたロボティクス導入教材「WeDo1.0」は、16年WeDo2.0としてリニューアル。BluetoothでiPadからロボットにプログラムが送れるようになりました。

●ジュニアエンジニア(JE)Ⅰ・Ⅱでは、当初「シンプル&パワード」というポッチ付きビームを中心としたセットでしたが、2009年に今の「サイエンス&テクノロジー」にリニューアル。ポッチのないビーム中心になりました。そして、これも昨年12月末で廃盤。


 
サイエンス&テクノロジー

●ジュニアインベンター(JI)で使用している、「空気力学セット」と「エネルギーセット」は、10年に発売され、19年に廃盤。

●ロボットサイエンスでは、98年に発売されたMindstormsが、RCX→NXT→EV3と3代続き、今年6月でその歴史に幕を閉じます。

現在Truthで使用している教材がすべて廃盤となります。引き続き発売されるWeDo2.0に加え、「BricQ モーションベーシック」(6歳以上)と「BricQ モーションプライム」(10歳以上)が今年1月に新発売となりました。

 
BricQ

どちらもベーシックサイズの小さなブロックで、テクニック系のパーツが多いセットです。ブロックサイエンスで使用している教材の後継教材に当たります。どちらも家庭用学習教材が別売されます。

ロボット教材は、昨年発売開始した「SPIKEプライム」が主流になります。これまでのMindstormsは計測系のプログラミング言語LabVIEWをベースにし、データロギングもできましたが、SPIKEプライムはScratchでプログラミングするため、利用範囲は狭まるようです。また、Mindstormsに対応したサードパーティーのセンサー類が豊富にありましたが、まだSPIKEプライムに対応したものは見当たりません。そのため、これまでTruth生が参加できるロボットコンテストも比較的易しいものに限定される恐れがあります。


 
SPIKEプライム

レゴ社が提供する新教材のカリキュラムは、WeDo2.0同様、どれもプロジェクト中心になっていて、これまでのようにメカニズムの研究を通して物理の世界を体験する、とはいかないようです。SPIKEプライムのプログラミングも予めプログラムが用意され、課題に沿ってプログラムの一部を変更して学習するようになっているので、体系的にプログラミングを学ぶ構成にはなっていないようです。レゴエデュケーションの教育は、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボが開発したカリキュラムと、レゴ社と共同開発した教材から始まりました。新教材が発売されるたびに、MITカリキュラムから遠退き、学問的な要素が失われていく気がします。

Truthでは当面1~2年は現在の教材を使用し、この間に新教材を使ったカリキュラム開発を行って、この教育の原点であるMITカリキュラムを活かしたTruthオリジナルカリキュラムをご提供する予定です。SPIKEプライムも、対応したサードパーティーのセンサー類が充実した段階でこれに切り替えたいと思っております。さらなるTruthの挑戦にご期待ください。

トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳