2020年12月8日火曜日

【第154回】コロナに負けるな!輝け!子供たち!

 ~ コロナ禍で表面化した社会の脆弱さや矛盾 ~

去る11/15、ショッキングなニュースが流れました。「子どもの自殺大幅に増加」。NHKは、「厚生労働省が発表した統計によると、小中学生と高校生の自殺者は今年4月から先月までで246人と、去年の同じ時期より58人、一昨年の同じ時期よりも42人多くなり、深刻になっている」と伝えています。

日本では長年にわたり、自殺者の多さが問題となっています。世界保健機関(WHO)によれば、日本の自殺率は世界で最も高い水準にあり、日本で自殺により死亡した人の数は人口10万人当たり18.5人と、世界平均の10.6人と比べるとほぼ倍の数になっています(2016年)。日本の自殺率が高い理由は複雑ですが、長時間労働、勉強や進学に関する圧力、社会的孤立、精神衛生上の問題を抱えることを恥とする文化などが、これまで要因として挙げられてきました。

このコロナ禍で、日本の10月の自殺者は2153人(警察庁)と前月から急増し、前年同月比で39.9%(614人)の増加。一方、新型コロナ死者の合計は、11/27時点で20187名(厚生労働省)。自殺者は年初以来のコロナの死者を上回ってしまいました。厚労省によると、2019年までの10年間で自殺者の数は減少傾向にあり、同年の自殺者数は約2万人で、1978年に統計を取り始めてから最も少なかったのですが、コロナ禍はこの流れを逆転させたようです。

自殺の増加は女性においてより顕著です。自殺者全体に占める割合では男性を下回るものの、今年10月、日本における女性の自殺は前年同月比で約83%増加。これに対し、男性の自殺は同22%の増加でした。非営利の国際的な支援組織CAREが世界の1万人以上を対象に実施した調査では、収入の不安に加え、家事や育児の負担が急激に重くなったこと、子供の健康に関する不安もまた、ストレスとして母親たちにのしかかっているようです。

日本は主要7カ国(G7)中唯一、自殺が若者(15~39歳)の死因で最も多い国であり、厚労省によれば、20歳未満の自殺はコロナ禍が起きる前から増加傾向にあったとのこと。国立成育医療研究センターが子どもと保護者8700人以上を対象にネットで実施した最近の調査では、日本の学童の75%からコロナ禍に起因するストレスの兆候が見られたとの結果が出ました。子供たちは感染対策の一環で学校に通えず、社会活動にも参加できない時期がありました。また、家から出られず、友達とも自由に遊べず、ストレスのたまる生活を強いられる他、大量に出される宿題を片付けなくてはならないプレッシャーを感じる子供もいるそうです。精神科医の衞藤暢明氏は「コロナの影響とみられる自殺未遂や自傷行為をする人の診察が急増している。特に思春期に入って親や先生に相談しづらい年齢に入る子どもたちの状況は深刻で、早急に支援や相談の体制を構築する必要がある」と警告しています。

今回のコロナ化で、日本のみならず世界全体で社会の抱える問題が露呈したように思います。できるだけ子供たちにはコロナ以前の生活を取り戻してあげたいと思っても、感染者が急増している第3波の中、なかなか難しいかもしれません。しかし、「NESTロボコン」や「ロボカップジュニア2021東京・神奈川ノード大会」、「宇宙エレベーターロボット競技会オンラインカンファレンス」のように、例年と同じ形にはなりませんが、子供たちの活動の場を必死に確保しようと頑張っている大人たちもたくさんいます。一刻も早く子供たちがこれまで過ごしてきた当たり前の日常生活に戻り、幸せを感じ、輝く笑顔で過ごせるよう、私たちも自分ができることに日々精進しなければと痛く感じます。

トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳