2003年1月1日水曜日

●2003年 新年のごあいさつ


明けましておめでとうございます。旧年中はご父母様のご理解、ご支援により、レゴ教育システムに対する社会的認知度も高まりつつあるのを感じております。心より感謝いたします。
昨年末、メンバーシップ教室の忘年会があり、その席で日本代理店ラーニングシステムより、日本で初めて生徒数100名を超えた教室として、レゴで作った素敵 なトロフィを記念としていただきました。また、アジア・太平洋部門のディレクターであるラース・バール氏より感謝と激励の言葉をいただきました。一昨年の ロボフェスタ、昨年の池袋東武デパートでのワークショップ、夏休みの「こどもロボット研究室」等の活動、NHKや毎日小学生新聞、各種雑誌の取材あります が、徐々にレゴ教育システムが日本でもその芽を出しつつあるのを感じております。
正月中のテレビで、ノーベル賞を受賞した小柴昌俊氏、野依良治氏、江崎玲央奈氏の対談番組がありました。各氏とも様々なことにそれぞれ独自の意見を持ってい るのに感心しました。中でも印象的だったのは、江崎氏の「科学とは、新しい知の創造である」という言葉、小柴氏の「科学者の道を歩むには、特に中学1年生 の頃の先生との出会いが大切」という意見でした。各氏に共通している考え方のバックボーンにあるのは、与えられた知識を鵜呑みにし安全な道を選ぶより、誰 もが当たり前に思っていることに疑問を持ち、誰もやろうとは思わなかったことにチャレンジすることが大切だ、ということではないかと思いました。
また、朝日新聞では「転機の教育」シリーズ『大学の力』の連載が始まり、少子化・教育の大衆化による学力低下、学問の象牙の塔からの解放、大学の自由化など をテーマにしています。関連記事では、企業の側から現状の教育に対する不満要素として、「創造力」と「問題解決力」の欠如が挙げられていたのも印象的でし た。  
新指導要領に基づいた授業がスタートし、週5日制や算数・理科の指導内容3割減、総合的学習の時間への期待感の低さなどから、学力低下の不安に対してのみ議論が集中しすぎてはいないでしょうか? 「創造力」や「問題解決力」の育成が必要であることは、これまで繰り返し指摘されてきたはずです。教育に対する現在の議論の方向性が時代の要請に逆行しているような気がしないでもありません。  
子供たちが「なぜ勉強しなければいけないの?」「何を勉強すればいいの?」と疑問を投げかける、某塾のテレビCMがありました。もともと知的好奇心に溢れた 子供たちが「教育」を受けることによより、このような疑問を発せざるを得ない状況は、「教育」の無力さを、いや、その弊害すら感じてしまいます。楽しいは ずの「学び」が一体いつから、辛くてつまらない「勉強」に変ってしまうのでしょう?  
当アカデミーは、「すべて の子供は科学者であり、芸術家である」と考えます。子供たちの持って生まれたその才能の芽を決して摘み取らず、むしろ大きく育てる教育の実践がテーマで す。昨年は、新しい試みとして、小学1・2年を中心としたプロジェクト学習、小学3年生を中心とした映画製作、夏休みの「こどもロボット研究室」などを行 いました。 「新しい知の創造」ができる人物に成長することを願い、子供たちの知的好奇心と探究心を刺激し、創造力や問題解決力、論理的思考力を養う授業を、昨年にも まして、より強力に展開したいと存じますご期待下さい。  
本年もご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。
わたしは、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭をなやませている親にとっても、「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと 固く信じています。子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生みだす種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子を はぐくむ肥沃な土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。
レイチェル・カースン著「センス・オブ・ワンダー」(上遠恵子訳)
To be continue・・・