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2016年6月1日水曜日

トゥルースの視線【108回】


リトル・ダヴィンチ理数教室のカリキュラム再編成について
-より年齢と理解度に合わせたカリキュラムに-
 
 
当アカデミーが根底においている「コンストラクショニズム」に基づく教育を教科の学習に導入することを目的に、2003年から試行錯誤してカリキュラム作成を始めました。そして、2005年にスタートした「ハンズオン算数くらぶ」は、2006年「リトル・ダヴィンチ」に、2011年に現在の「リトル・ダヴィンチ理数教室」へと発展して参りました。その間、カリフォルニア大学バークレー校ローレンスホール科学研究所が開発する直接体験型の理数教育プログラム「GEMSGreat Explorations in Math and Science:ジェムズ)」やアメリカの環境教育プログラム「Project Wild」、データロガーや電子ブロックなどの電子教材、Scratchによるプログラミングなどを積極的に取り入れてきました。

 
2006年「リトル・ダヴィンチ」開講に際して、次のように紹介いたしました。『「人類史上最も偉大な天才」とも「真理を追い求めた知の巨人」とも称され、芸術から科学まで、あらゆる分野に圧倒的に卓越した才能を発揮したダヴィンチ。子供は皆、科学者であり、芸術家として生まれてきます。誰もが皆、知的好奇心や探究心を十分に持った「小さなダヴィンチ」なのです。その資質を十分開花させたいと願い、「リトル・ダヴィンチ」と名づけました』。数学者や科学者が行っている研究行為を、子供たちも実際にやってみる機会を創るという、その理念は全く変わっておりません。

 

この5年間で「リトル・ダヴィンチ理数教室」の受講生が飛躍的に増え、保護者の皆様の関心の高さと期待の大きさをひしひしと感じております。しかし一方で、特に算数において、授業レベルとの不一致から一部問題も起きるようになってきたようです。最終段階では、指導要領の学年をはるかに超えている内容も多く含まれているので、一朝一夕にできるものではありません。それまでに、規則性あるものを美しく感じる心、規則性を発見し、数式で表現できる力を十分に養っておく必要があります。そのゴールを目指して、各ステップのカリキュラムを体系的に組んでおります。

当アカデミーの授業カリキュラムは、「心理学のモーツァルト」と称されたヴィゴツキーが唱える教育理論『発達の最近接領域』と深く関連しています。「子どもは集団活動における模倣(注:教師や仲間とならできること)によって、自主的にすることのできることよりもはるかに多くのことをすることができる。大人の指導や援助のもとで可能な問題解決の水準と、自主的活動において可能な問題解決の水準とのあいだのくいちがいが、子どもの発達の最近接領域を規定する」と述べています。すなわち、『発達の最近接領域』とは、「一人ではできないことでも、仲間との関係において、あることができる、という行為の水準ないしは領域」のことなのです。


これは、課題設定の方法として当アカデミーでも最も重視している考え方です。課題設定が子どもの発達水準よりも低すぎれば意味がありません。また、逆に高すぎれば、自らの活動から自分で知識を獲得し構築することができず、いわゆる「教えてもらわなければ、できない」という困った状態になってしまいます。要するに、自分一人では解決できないけれど、お友達と意見を交換したり刺激を与え合う中で、あるいは先生と一緒に考えたり、ちょっとしたヒントやアドバイスをもらったりしながら、自分の力で到達し得るレベルの課題設定をしなければならない、ということなのです。

その観点から、学年幅を広げ、もう少し緩やかな段階を踏んでコースの最終目標に到達できるよう、カリキュラムを再編成することに致しました。新鮮な発見が学問には不可欠なので、数量は学校より少し先取り、図形は大幅な先取り学習となることには変わりません。それに伴い、最終ステップでは、さらに高学年内容を追加する予定です。また、算数・数学学習の観点から、プログラミング学習をさらに低学年からスタートさせる予定です。さらに強力なカリキュラム体系となりますので、ご期待ください。

 


トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳


 

 


トゥルース・アカデミー ブロック・サイエンス
http://truth-academy.co.jp/bs/

トゥルース・アカデミー リトル・ダヴィンチ理数教室
http://truth-academy.co.jp/lv/

トゥルース・アカデミー ロボット・サイエンス



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2014年7月13日日曜日

トゥルースの視線【第90回】


強力な学びを引き出す「ハンズ・オン学習」①
-理科教育におけるハンズ・オン学習 -

 
 
トゥルースの視線で何度か取り上げましたが、当アカデミーの指導理念の一つである『ハンズ・オン(hands-on)学習』の意義について改めて考えたいと思います。直訳すると「直接手を触れる」「実際に参加する」という意味で、教育界では「実践的に学ぶ、参加・体験型の学習活動」を指します。ここでは、教える側が知識を一方的に教えるのではなく、学ぶ側が能動的・主体的に学習することが重視されています。また、本で学ぶよりも実際に行った方が、活動の楽しさや学ぶ意欲につながりやすく、学習効果が高まると考えられています。特に理科の学習では、「科学を行うとは何か?」「科学者がどのように研究をしているのか?」を、ハンズ・オン学習抜きにして子どもたちに理解させることは、考えられません。
 
理科教育を専門としている千葉大学大学院の藤田剛志教授は、人文社会科学研究第17号で初等理科教育におけるハンズ・オン学習の歴史と定義、あるべき姿について、興味深い考察を行っています(オヤオ・シェラ氏と共著)。この論文では、ハンズ・オン学習の効果について、体験を重視する余り「這い回る経験主義」に陥らないか?という批判があることも紹介されています。また、ハンズ・オン学習の展開の仕方について、下手をすると、問題の言明、実験計画、データの解釈、書き方までが教師の厳格な統制下に行われ、子どもたちが何をどうすればよいか、考えなくても活動できるように具体的な指示が料理本のように与えられる危険性も指摘しています。
 
まず、ハンズ・オン学習の定義として、「理科のハンズ・オン学習は、人を事物の操作に積極的に関わらせ、知識や理解を得させるあらゆる教育的経験である(Haury and Rillero,)」という考えを紹介しています。しかし、実物を単に眺めたり触ったりするだけでは、科学概念の理解は深まりません。子どもたちが何かを行うとき、ある事物を操作するとき、事物の持つ意味を考えさせることが必要です。そのためには、『探求に基づくハンズ・オン学習』が必要であると、この論文は主張しています。
 
探求的行為として、次の一連の行為を紹介しています。

  追求すべき問いを発する 

  探究のための手順を考える 

  予想する 

  質的・量的データを収集する 

  観察しデータを記録する 

  データを操作しグラフや表を作成する 

  データを解釈し予測と結果とを関連づける

こうした探求的行為を含むハンズ・オン学習により、子どもたちが取り組んでいる問題を解決するには、教師の指示に単純に従うよりも、何を行うべきか、どう行うべきかを自分で考えなければならないので、批判的思考力が高められる、というのです。

この論文を読んで、「リトル・ダヴィンチ理数教室」ジュニアⅠ・Ⅱで行っている理科実験の方向性が間違えていなかったことを改めて確信しました。小学低学年が対象のため、1つの活動で探求的行為を網羅することはできませんが、全米の学校教師向けの理数カリキュラム「GEMSGreat Explorations in Math and Science:ジェムズ)」とイギリス製のデータロガー「Easy Sense(センサーを使って実験データを収集しグラフ化する電子機器)」を用い、いくつかの活動を組み合わせることによって、①~⑦の実践はできていると思います。

新しい教育に対する挑戦を続けていく勇気を得た気がします。
 
 
トゥルース・アカデミー代表 中島 晃芳

 
 
【参考文献】

人文社会学研究第17号「初等理科教育におけるハンズ・オン学習」(オヤオ・シェラ、藤田剛志)

 

 


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2012年9月1日土曜日

【第71回】NESTオーシャン・プロジェクト2012


NESTオーシャン・プロジェクト2012




真鶴の空も海もどこまでも青く、焼けつくような暑さ。しかし、都会の暑さと違って、どこか心地良ささえ感じられます。前回ご紹介しました、NPO法人科学技術教育ネットワーク(略称:NEST―ネスト)が主催した、野外活動や実験とICTを融合させた科学活動『オーシャン・プロジェクト』のご報告です。

初日の昼の活動は、琴が浜で生き物ビンゴとシュノーケリング、風向きと水深の記録。「生き物ビンゴ」では磯で見られる生物をできるだけたくさん見つける活動で、どの子も懸命に生き物探しに夢中になっていました。シュノーケリングでは、シュノーケルの使い方のコツが掴めず苦労した子もいましたが、運のいい子はエビとハゼの共生の様子が見られたようです。エビは砂地に穴を掘って家を作って住み、ひとつの穴でハゼと共存生活します。エビは穴掘り役、ハゼは見張り役だそうです。どうして異なった生物が共存できるのか?自然の不思議を感じます。

グループごとに順番を決めて、手作り風向計の風向きを、海中に立てた目盛を付けた棒で水深を読み取り記録していきました。その一方で、風向きは色を塗り分けた円盤を光センサーで読み取りながら方位の変化を自動的に記録。さらに、定点カメラで潮の満ち引きの様子を記録したり、温度センサーで気温と水温の変化を記録したりもしました。

夜はいよいよNPO法人「オーシャンブルー」の代表・水井涼太先生によるプランクトン観察です。大きな満月が海を照らす姿を見ながら暗い坂道を港まで下り、プランクトンネットで一人一人が採取を行いました。ペットボトルに移した海水は濁っており、懐中電灯で照らすと何やらたくさんの微生物がうごめいているのが見えます。案の定、旅館に持って帰って先生の指導の下、顕微鏡で観察すると、ミジンコの仲間やカニの幼虫などたくさんのプランクトンを観察することができました。プロジェクターを使った水井先生の授業では、プランクトンについてだけではなく、海や山の自然環境の大切さを改めて教えて頂きました。

2日目午前は、真鶴町立「海の学校」の山本先生による磯観察。磯での生物の採り方や注意を受け、カニや貝、魚やエビ、ナマコやヒトデなどを皆で採取しました。山本先生がそれを分類して、それぞれの生物の特徴や生態について丁寧に教えてくださいました。皆の海洋生物に対する興味をさらに呼び起こされたようです。また、貝類研究科の遠藤晴雄氏の貝類コレクション4,50050,000点の内、約1,8005,000点を常設展示している町立「遠藤貝類博物館」でも山本先生に、いろいろな珍しい貝について教えて頂きました。

午後は活動の締めくくりとして、真鶴地域情報センターで、GEMS(ジェムズ=Great Explorations in Math and Science:カリフォルニア大学ローレンスホール・オブ・サイエンスLawrence Hall of Scienceにおいて1980年代から研究されている子どもを対象とした科学と数学の参加体験型プログラム)の「海流」のアクティビティを行ったり、前日に収集したデータを基に潮の満ち引きや風向き(海風・山風)についての考察をしたりしました。
あっという間の12日。しかし、多様な活動を通して、参加した子供たちは海洋生物とその環境について、楽しく豊かに学んでくれたと思います。


To be continue・・・

2006年4月1日土曜日

【第16回】GEMS(ジェムズ)②


-科学とは?-

ジャパンGEMSセンター代表・古川和氏は、GEMSの特徴を以下のように紹介しています。

1)GEMSの内容は、科学教育すべてを網羅している。科学的探究能力と理解が問題を解決する上で重要である。モデルを作ったり科学者の疑似体験したりして、専門家がどのような科学的方法で調査を行っているかを学ぶ。
2)問題解決のための話し合いを行う。学習者自身が答えを見つけるためのプロセス重視をしている。協力を重んじ、グループで意思決定や調査を行う。
3)グローバルな問題を扱い、だれもがどこでもできるように作られている。指導者と学習者が共に学び、各指導者が身のまわりや地域の問題に当てはめながら、GEMSの学習を実社会に応用していく。
4)ディベート、ロールプレイ、ゲームなど多彩な学習方法で、特にプログラムの導入部分に力を入れ、好奇心をそそる内容にしている。


「学びのデザイン」という観点からは、まず、上記4)の導入部分は大切です。いかに、知的好奇心や探究心を刺激できるか?が、活動全体の成功失敗を決めます。

春休みに行った「シャボン玉フェスティバル」では、様々な方法で色々なシャボン玉を作りながら、徐々に自然に子供たちはシャボン玉を観察し始め、表面を虹色の模様が流れる様子や、シャボン玉の内部は温かいこと、割れる瞬間は色が変わることなどを発見していました。そして、シャボン玉同士が接している面は平面になっていることを発見するところから、算数の学習が本格的に始まる、という導入です。子供たちは完全にシャボン玉のとりこになり、投げかける問題に対して真剣に取り組み、発見する喜びをもっともっと味わおうとします。ですから、小学1 ~3 年生が高学年で学ぶ空間図形に対しても、我先に発見したり創造したり、活発に活動する姿は、さすがに仕掛人の私共も予想以上の反応に驚いたほどでまた、それらの立体を大好きなシャボン玉で作ろうというのですから、子供たちにとってはたまらなく魅力的な創作活動です。

今後、リトル・ダ・ヴィンチでは、前述のGEMSの特徴を活かした講座を逐次行っていきます。ご期待ください。
科学とは疑問をもつことである
科学とは調べることである
科学とは協力である
科学とは世界を理解するためのものである

『GEMSハンドブック』より

To be continue・・・

2006年3月1日水曜日

【第15回】GEMS(ジェムズ)①


~Great Exlploration in Math and Science 数学と科学の偉大な冒険~

既にお知らせしました『リトル・ダ・ヴィンチ』では、カリフォルニア州立大学バークレー校ローレンスホール科学教育研究所で25年以上にわたり研究・開発された教育プログラムの一つ『GEMS』を導入いたします。これは、直接体験型(ハンズオン)の理数教育カリキュラムです。

ローレンスホール(Laurence Hall of Science)は、サンフランシスコの近く、バークレー校の広大な敷地の中にあり、豊かな自然と静かな環境に恵まれたところです。最上階にサイエンスミュージアム、下のフロアには生物ラボ、コンピュータラボ、プラネタリウム、劇場、数学・化学・物理・天文などの講義室があり、脳研究の展示なども行われているそうです。年間50万人以上の人々が訪れて科学に親しんだり、指導者研修に参加しているとのこと。ローレンスホールで開発された数多くのカリキュラムのうち、生物学の野外体験型プログラム「OBIS」や「SAVI]」「FOSS」などが日本にも紹介されています。

GEMSには、幼稚園生から高校1年生までを対象とする80冊以上の指導者ガイドがあり、1冊のガイドを完成させるには3年かかります。地質学や生物学、天文学など様々な科学や数学分野の大学教員とカリキュラムディベロッパー(専門の開発者)が協力して作成したものを実際に全米の学校で使用し、その結果をフィードバックして改良を加えながら完成させていくからです。どんな子にも科学が面白いものだと実感され、科学一般に対する前向きな姿勢や創造的思考プロセスを養えるよう考案されています。
GEMSのアクティビティは、「コンストラクショニズム」に基づき、生徒自らが発見していくというプロセスを体験するというものです 。まず行動することから始め、生徒たちがユニットで扱う事柄になじんで、ある程度自分の考えを持ち、疑問を持って初めてコンセプトについて話し合いを始めます。そして、どうやって調べたらよいか、結論を導き出していくかを考えながら、科学的なコンセプトやプロセススキルを学び取るのです。あくまでその過程で、カリキュラムの構成(学びのデザイン)に基づいて、教師が有効な触媒となり生徒たちの自力による発見を導きます。この役割から教師は「facilitator(ファシリテーター:促進者)」と呼ばれ、その教授法は「guided discovery(ガイディッド・ディスカバリー)」と名付けられています。

当アカデミーは、GEMSについて興味を持ち、研究してきましたが、今年2月「ジャパンGEMSセンター(代表・古川和氏)」より正式な指導者資格を取得、開講を可能としました。

前号でお知らせしました、『リトル・ダ・ヴィンチ 小さな数学者』の春休み講座「カエルの算数Part1」「シャボン玉フェスティバルPart1」に続き、『リトル・ダ・ヴィンチ 小さな科学者』オープニング講座「ウーブレック」(科学者は何をする人なの?)を4月に企画しています。ご期待下さい。

▲GEMS[プレート・テクニクス」より
溶岩の粘性と流れる速度・面積の実験

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