2008年1月1日火曜日

●2008年 新年のごあいさつ~未来を考える力


新年明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。昨年末のクリスマスパーティーでは、準備から運 営まで、多くのご父母の皆様に並々ならぬご協力を頂戴いたしました。当アカデミーの姿勢を温かい眼差しで見守り、ご理解・ご支援頂いていること、心より感 謝申し上げます。同時に、熱いご期待を痛切に感じ、日本の教育の一翼を担うべく新しい創出に向け前進しなければ、と襟を正す思いであります。本当にありが とうございました。昨年12月5日、経済協力開発機構(OECD)が、15歳を対象に2006年に実施した国際的な学習到達度調査(PISA)の結果を発 表しました。3回目となる今回は57カ国・地域から合計40万人、国内は約6000人の高校1年生が参加。日本は、「読解力」で前回(03年)14位から 15位、「数学的リテラシー(応用力)」は6位から10位に、「科学的リテラシー」でも2位から6位に順位を落としました。科学的リテラシーを詳しくみる と、「証拠を用いる」能力で2位だったものの、「疑問を認識する」で8位、「現象を説明する」で7位と、自ら課題を設定し説明する力に弱点があったようで す。また、科学に興味・関心や楽しさを感じている日本の生徒の割合は、さまざまな質問でOECD平均を軒並み下回っています。30歳で科学関連の職業に就 くことを期待している生徒の割合が日本は8%(OECD平均25%)しかいませんでした。OECDアンヘル・グリア事務総長は来日した際、「研究職に就く 人が少ないと、社会全体の革新ができない。高齢化や人口減が進む日本では、子どもたちが科学に関心を持ち、科学者や研究職になることに夢をもつような社会 にすることが大切だ」「日本の教育は今はあまり心配しなくてよい。しかし、20年後には課題があるかもしれない」とコメントしています。

地球特派員スペシャル「カーボンチャンス~温暖化が世界経済を変える~」では、二酸化炭素削減で現在世界をリードするドイツの事例を紹介していました。国 の誘導的政策により、太陽光や風力など再生可能エネルギーにシフト、地方や農村が活性化し雇用が生まれ経済も成長しています。番組中で老夫妻が何年もかけ て自宅家屋に断熱材を入れる工事を行う姿がありました。老い先短い自分たちからです。取材した江川紹子さんは、「未来を考えることはある種希望だと思う。希望を持てる社会というのが人間が幸せに暮らせる社会だと思う」と締めくくっていました。

一人一人が、今自分が生きている社会全体に目を向け、その現実を直視すること、そして、目の前の利益に目を奪われるのではなく、未来の次の世代が幸福に暮 らせることを目指し、長期的なビジョンを持って問題解決を図ることが大切なのではないでしょうか?しかも、グローバル化が進む21世紀に抱える問題は、様 々な要素が複雑に絡み合い、しかも地球規模で考えなければならないものばかりです。今こそ、「学力とは何か?」を考え直さなければならないのではないで しょうか?そもそも「従来日本が考えていた学力」と、「現在国際社会が求めている学力」とは決定的に異なっている、ということを認識する必要があります。 学習とは、立身出世という自分だけの目的のために、学習者自身が社会とのつながりを実感できない空虚な知識を獲得することではありません。今世界が求めて いるのは、独立的で責任ある個人の形成、すなわち「責任ある市民の養成」を最大目標とした、地球市民として成人生活を送るための知識・技術なのです。最近、「大人になったら社会のため、世の中の人々のために働きたいから、今、一所懸命勉強するんだ!」と目を輝かせて語る日本の子供が少なくなってきたと感じるのは私だけでしょうか?

子供たち自身が大人になったとき、当アカデミーの教室で学んだことが自分の中に生きているんだと実感でき、真に社会に貢献できる人物に育つことを目標に、新しい領域に挑戦しつつ教育内容のさらなる充実に全力で邁進いたしたいと存じます。
本年もご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

では、未来世代が私たちにこう尋ねているところを想像してほしい。『あなたたちは何を考えていたの?私たちの将来のことを心配してくれなかったの?自分のことしか考えていなかったから、地球環境の破壊を止められなかったの?―止めようとしなかったの?』私たちの答えは、どのようなものになるだろう?」 
『不都合な真実』アル・ゴア著
(枝廣淳子訳・ランダムハウス講談社)
 
▲南極の半島「ラーセンB」
棚氷が崩壊
▲地球温暖化について
講演をするゴア氏

 
To be continue・・・