2017年12月25日月曜日

トゥルースの視線【第124回】

国際会議RoboRAVE 2017 Global Summitに参加して
~ 世界に広がるロボット教育・プログラミング教育の輪 ~



前回、11月に石川県加賀市で開催された「加賀ロボレーブ国際大会 RoboRAVE Kaga Japan 2017」のご報告を致しました。2日目11/11(土)に行われた「RoboRAVE 2017 Global Summit」も同時開催されました。そこで、2020年にRoboRAVE世界大会開催を決定した加賀市長からは「加賀市をロボット教育のメッカにしたい!」という強い決意が示され、加賀市教育長は「RoboRAVEの活動を通して、シェアリング(共有)・コラボレーション(協働)・インターナショナルコミュニケーション(国際交流)といった新しい教育の形を実現していく」方針を示しました。



RoboRAVE International代表Russ Fisher-Ives氏は、教育者とは、いろいろな物や人をつなげるコネクターの役割を果たす存在であり、子供の視線に立った教育の重要性を説きました。教育はあくまでPassive Learning(受動的な学び)ではなく、Active Learming(能動的な学び)でなければならないと。また、「INPUT-PROCESS-OUTPUT」という身体を使ったアクティビティを紹介。これは、システム設計の時によく聞きます。システムはIPO(input→process→output)の組み合わせで成り立っており、入力されたデータ(input)に処理を加え(process)、所定のフォーマットでアウトプットする(output)。子供たちが学んだもの(input)を、あれこれと考えたり調べたりして(process)、問題解決に応用していく(output)という、まさにPISA型学力を目指す教育にも通じると感じました。

Project Based Schoolの教師であるアメリカ代表は、子供たちの好奇心を刺激し、失敗を恐れない心を育てることの大切さを主張。来年2月にRoboRAVEアジア大会を北京で開催するアジア代表は、STEM(科学・技術・工学・数学)教育の難しさにぶつかり、ロボットコンテストをカリキュラム化したProject Based Learning(プロジェクト型学習・問題解決型授業) 、Future oriented Education(未来志向の教育)で明るい道が開けたと、自らの体験を紹介しました。21世紀の教育に求められる在り方が模索されていることを実感します。

シリコンバレーの技術者でありながら自国の教育に関心をもったインド代表は熱弁をふるった。Activity Based Learning(子供たちの活動をベースにした学習)には、現実的なプロジェクトが必要であり、問題解決力(いかに新しいことを学ぶか?)の育成が重要である。ビッグデータの時代になり、この膨大なデータをどのようなアルゴリズム(問題を解くための手順を定式化した形で表現したもの)で処理するかが人類の課題となる。この力を育てるためには、数学・科学・プログラミングの学習が不可欠である。しかし、自分が学んだ小学校でロボット教育を始めたが、そこにはパソコンが1つしかない。ロボットも1台。それ以上に、教えられる先生がいない。そこで、WEBを利用して、先生を介さずに、“生徒が生徒に教える”オンライン・システムのプラットフォームを構築をしていると。この考えに賛同した中国代表が、先生役となる生徒に与える褒賞システムを付加すると発言。加賀市もこのプロジェクトに参加する意向を表明しました。



 ロボカップジュニアの活動、ロボットサイエンスやブロックサイエンス、リトル・ダヴィンチ理数教室の教育を2000年から実践してきた私共としては、今まさに世界規模で有力な協力者を見出した思いです。これからも、世界のロボット教育のリーダーを意見を交換したり、アイデアを出し合ったり、新しいプロジェクトを興したりすることを通して、Truthの教育をさらに進化させていきたいと存じます。

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