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2018年11月29日木曜日

トゥルースの視線【第134回】

World Robot Summit 2018東京プレ大会
~ 人とロボットが共生し、協働する社会の実現に向けて- ~


「World Robot Summit」(WRS)は、経済産業省とNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が主催。国際的なロボットの競技会(World Robot Challenge : WRC)と展示会(World Robot Expo:WRE)で構成されます。第1回となる本大会は2020年に愛知県(10月)と福島県(8月インフラ・災害対応カテゴリーの一部競技)で開催されます。それに先駆けて、去る10/17(水)~21(日)にプレ大会「World Robot Summit 2018」が東京ビッグサイトで行われました。

WRC(競技会)は、大きく分けて「ものづくり」「サービス」「インフラ・災害対応」「ジュニア」の4カテゴリーあります。フィールドが大きくて目を引いたのが「インフラ・災害対応」。「プラント災害予防」「トンネル事故災害対応・復旧」「災害対応標準性能評価」の3チャレンジがあり、かなり実践的な研究を行っていることを目の当たりにしました。「ものづくり」の製品組立チャレンジは、メーカーの技術開発が進み、かなり精度が高まってきた気がします。見て楽しかったのは「サービス」。「パートナーロボット」と「フューチャーコンビニエンスストア」の2チャレンジがあり、前者は家庭における片づけをテーマにして、実際にロボットが動く「リアルスペース」とVRを使った「バーチャルスペース」の2競技がありました。後者は、コンビニでの商品陳列やトイレ掃除などに挑戦。現実空間で動くロボットについては、ロボットが人間の作業を代行するにはまだまだ克服しなければならない難しさがあると実感しました。


そして、やはり最大の関心は「ジュニア」です。日本チームの他、ベトナム、タイ、マレーシア、オーストラリア、オランダ、アメリカからの出場。「スクールロボット」と「ホームロボット」の2チャレンジが用意されています。前者は今ではすっかりおなじみのロボット「Pepper(ペッパー)」を使用して、ロボットがいる学校を想定し、学校生活の向上に役立つロボットのプログラミングを考えるというものです。Pepperは数日前から使用することができます。後者は、人とロボットが協力しながら生活する家庭を想定したロボット製作・プログラミングを目的とします。こちらはどんなロボットを使ってもよく、1チーム2台まで出場できます。どちらのチャレンジも、いくつかの決められた課題に挑戦する「スキルチャレンジ(30%)」と「オープンデモンストレーション(50%」「テクニカルインタビュー(20%)」の合計点で競います。残念ながら連日訪問することはできず、私が訪れたのはオープンデモンストレーションの日でした。緊張しながらも審査員の前でデモンストレーションを行っている子供たちの姿は頼もしいものでした。新しい挑戦を見るとワクワクと心躍るものです。2020年の第1回大会にはTruthの生徒たちにもぜひ参加してもらいたい、と強く感じました。
 
 WRE(展示会)は「Japan Robot Week2018」と同時開催だったため、多くの企業が参加。ヤマハの倒れないバイクやオムロンの卓球するロボットは人気がありました。「第8回ロボット大賞」の展示も行われ、来場者も多くとても活気がありました。東京ビッグサイト別会場では、「ブロックチェーン2018」や「ビジネスAI2018」も開催されており、まさに人口知能(AI)とロボットの時代に生きていることを痛感しました。

 今回のWRCはロボカップを運営している方々が多く、中心となって運営に当たっていました。2020愛知大会は、ロボカップ・アジア・パシフィック大会(RCAP)と同時開催。当然、大人のメジャーだけでなく、ジュニアの競技も全競技行われることになります。WRCとRCAP。大人部門もジュニア部門も同時に2つの大会となるので、東京オリンピックだけでなく、想像するだけでワクワクする年になりそうです。

トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳


トゥルースアカデミー
http://truth-academy.co.jp/
ロボットサイエンス
ロボットマスター

2014年6月22日日曜日

トゥルースの視線【89回】

ロボット・ルネッサンス②
-ロボット倫理学-



 
若田さん「一緒に地球に帰れなくてごめんね」
KIROBO「気にしないで。僕が乗ると定員オーバーだし」
 
日本人宇宙飛行士として初めて国際宇宙ステーションの船長を務め、今年5月地球に帰還した若田光一さんが、ロボット初の宇宙飛行士「KIROBO」と別れを告げるシーンが報道されました。今回の KIROBOのミッションは、「単身化社会で起こるコミュニケーションレスから発生する問題の緩和」― 孤独な宇宙空間で過ごす宇宙飛行士らとの会話を通じて、地球で進む単身化社会でロボットがどのような役割を果たせるかを探るというものです。
 
去る6/5、ソフトバンクの孫社長が突如発表会を開き、人型ロボット「Pepper」を紹介しました。身長120cm位、車輪を使って移動し、腕や指も動かすことができます。最大の特徴は、人の感情を読み取る感情認識機能を搭載していること。対話機能も備わっており、店頭での接客やパーティーで活用されるようです。Pepperは、感情認識機能で人間の感情を認識し、その情報をクラウドに記録して蓄積していくことにより、学習しながら成長する仕組みになっています。つまりロボット自体に高性能なハードウェアや大容量のメモリーを用意する必要がないので、製造コストが抑制され、198,000円という低価格を実現できたのです。しかも、他のPepperが得た情報も収集することで膨大なデータを利用することができ、1体だけでは得られない情報や知識を共有することで加速度的に学習が進むそうです。孫社長は、「脳型コンピューターがモーターという筋肉と合体するとロボットになります。やがて知的ロボットと共存する社会になる」と述べています。
 
人間とロボットが共存する社会では、その関係はどうあるべきなのでしょうか?
 
爆弾で吹き飛んだ「同僚」のロボットの死に涙し、「戦死」したロボットのために軍隊式の葬儀を執り行った兵士たちがいたそうです。いずれロボットが恋愛や結婚の対象になるという声まであります。しかし、2007年南アフリカ軍の半自律制御の対空砲が誤作動し、味方の兵士9人が死亡し、14人が負傷しました。Pepperのようにロボットが自律的に学習し進化するロボットがこのような誤動作をした場合、製造物責任法(PL)を適用することができるのでしょうか?
 
今、「ロボット倫理学」という学問が生まれています。
 
カリフォルニア州立工科大学准教授のパトリック・リンによると、「意識ある人間の脳(と体)には人権があり、脳の一部を別のもので置き換えても脳として正常に機能していれば、完全な人間でなくても『人権』があると見なすことができる。脳や体の半分以上が人工物ならば人間よりロボットに近く、『ロボットの権利』という問題が現実味を増す。だから、ロボットの自律化が人間に近付けば、ロボット自身に責任を負わせることも考えられる」というのです。
人間とロボットの共存には、まだまだ乗り越えなければならない壁がたくさんあるようです。
 
変化、継続的変化、必然的変化が現在の社会における支配的要因だ。今の世界だけではなく未来の世界も考慮しなければならない。つまり政治家も実業家も一般人も、SF的な考え方を身に付けなければならない。 ― SF作家アイザック・アシモフ(1920-1992)
 
【参考文献】『避けて通れないリスクと責任』パトリック・リン著
 (ニューズウィーク日本版2014ゴールデンウィーク合併号)


トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳
 


 


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