2016年12月25日日曜日

トゥルースの視線【113回】


トゥルースの視線 第113
人工知能とロボットの時代に生きる(2)
- 人工知能時代を生き抜くスキル ―
 

前回(視線第112回)で、英オックスフォード大学マイケル A. オズボーン准教授の研究により、1020年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、人工知能やロボット等に代替することが可能との推計結果が得られたことをお伝えしました。人工知能時代に生き抜くために必要な教育とは何かを考える上で、どのような能力やスキルがもとめられるかを考える必要があると思います。

脳科学者の茂木健一郎氏は、その著書「人工知能に負けない脳―人間らしく働き続ける5つのスキル」(日本実業出版社20158月刊)において、鳥と飛行機が飛ぶ仕組みが異なるように、脳科学的には人工知能の仕組みと脳は全く無関係であるとし、人工知能が発展することは人間の脳のアウトソーシングが行われることになり、それによって自由で人間らしい、創造的な働き方、生き方に変わるチャンスが来る、と述べています。そのためには、人工知能の特徴を把握することによって、私たち人間の脳の活かし方のヒント、人間にしかできない必要な能力、人間の脳でしか伸ばすことができないスキルを見出し、人工知能やロボットに奪われない仕事の付加価値は何か?を考える必要があると言っています。

 人工知能は、ロジックに強い一方、ルールや基準が決まっていないと何もできない、「正解が決まることにしか対応ができない」ので直感やセンスといった評価が入り込む余地がない。それに対して、人間の強みは「感情の豊かさ」「五感」にあり、欲望や目標を持つこと、意思決定することは人間の脳が得意としていることだ。そのためには、意識や感性を大事にして人工知能では計り知れない「パーソナリゼーション(個性)を」を磨くことが大切だと主張しています。そして、人口知能時代を生き抜く大きな武器として、5つのスキルを挙げています。

  コミュニケーション:「メタ認知」が働くと相手や状況を把握したうえでの適切な判断が可能となる。
※メタ認知とは、自分の行動・考え方・性格などを別の立場から見て認識する活動。

  身体性:「いい無茶ぶり」によるギリギリのハードルを越えた時、神経伝達物質ドーパミンが出る。

  発想、アイデア:感情論を抜きにして次々と思いつく問題解決力が優れた時代になる。「できない理由よりもできる理由をひとつでも探していく」という発想を持つことが大事。

  直感、センス:論理的で網羅的、緻密で非常に公平な思考ができる人の方が、かえって直感をうまく使うことができる。

  イノベーション:ひとりですべてのことを引き受けて何かのイノベーションを生み出すよりも、誰かとコレボレーションしてイノベーションを起こしていく形にシフトしていくだろう。

 また一方で、人工知能をチャンスと捉えられない人の阻害要因として、・権威主義に固執すること・過去の成功体験に囚われていること・スピード感を持っていないこと、を挙げています。教育については、「遊びながら勉強にもなる」という概念、教育(エデュケーション)と娯楽(エンターテインメント)を合成した言葉「エデュテイメント」を挙げ、これからの時代は学びと遊びの境界がだんだんなくなってくるのではないか?と。

2010年からSTEM教育を続けている当アカデミーは、まさに「遊びと学びの融合」を、コンストラクショニズムという教育理論に基づき、実践しています。次回は、OECDのプロジェクト「Education2030」に触れたいと思います。
 
 
トゥルース・アカデミー 代表 中島晃芳
 
 
 


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