2018年12月15日土曜日

トゥルースの視線【第135回】

ぶんかサイエンスカフェ市民講座
~ AI・ロボットの時代を生き抜く力 ~

去る10/27(土)練馬区役所20階交流会場にて、当アカデミー代表の中島が科学技術教育ネットワーク(NEST)理事として講演を行いました。主催は「ぶんかサイエンスカフェ」(代表:伊藤規志子氏)。生活に役立つ情報提供、文化・科学研究や実践成果を発展的に学び合う異文化を学習することを通して、練馬の市民を元気にすることを目的としている市民団体です。

OECD教育・スキル局長アンドレアス・シュライヒャー「すべての知識はGoogleにある」「今の子どもたちが大人になったときは、65%の職業が今ない職業にとって代わっているだろう」、英オックスフォード大学マイケル A.オズボーン准教授「1020年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、AI(人工知能)やロボットに代替することが可能」という時代に、今の子供たちは生きていかなければなりません。「学習とは、人がコミュニティに参加して、そこでのアイデンティティを確立する過程であり、その過程で人の『できること』が変化することである」という、フィンランドを学力世界一に導いた「社会的構成主義」をいかに実現するか?国際的な学力調査PISAに示される「OECDキーコンピテンシー」や国際団体ATC21sが示した「21世紀型スキル」を紹介し、NESTの活動を紹介しながら、この21世紀に求められる教育について語りました。

OECDのキーコンピテンシー」の大項目は、① 社会・文化的、技術的ツールを相互作用的に活用する能力(個人と社会との相互関係)②多様な社会グループにおける人間関係形成能力 (自己と他者との相互関係)③自律的に行動する能力 (個人の自律性と主体性)であり、これは「21世型スキル」や、オズボーン准教授が説く「AIやロボットによる自動化が難しい職業の3つの特徴」①創造的思考②ソーシャルインテリジェンス(社会的知性)③非定型にも相通じるところが多々あります。 

これらの能力を実現する教育的手法として、Activity Based Learning (子供たちの活動をベースにした学習)・Project Based Learning (プロジェクト型学習・問題解決型学習)Future Oriented Education(未来志向の教育)が教育界で現在求められています。その実現には、チームとしてのプロジェクト学習と位置付けられているロボットコンテストを目指す学習活動が有効であることを説きました。ロボットコンテストの意義として、●工学的な知識・科学技術・数学の実践的活用・プログラミング技術●設計力・デザイン力●PDCAサイクルによる企画・開発力●創造力・問題解決力・戦略的思考・クリティカルシンキング(批判的思考)●コミュニケーション能力・チームワーク形成力●プレゼンテーション能力●グローバル・コンピテンシー、などが挙げられます。

早稲田大学公共政策研究所の招聘研究員であり、一般社団法人「途中塾」の代表理事である羽田智恵子氏も聴講しに来て下さり、講演後の懇親会でたっぷり意見交換をさせていただきました、「途中塾」というのは、早稲田大学大学院の修了生12名が、同院の客員教授だったジャーナリスト筑紫哲也氏を塾長に開講した勉強会で、「未来志向の若者に斬新な発想の機会を提供し、引力のある『場』を創出する」ことを理念としていたとのこと。2008年、筑紫氏没後いったん閉鎖となったが、2012年寺子屋流に仮開講。童門冬二氏(作家)や加藤登紀子氏(歌手)を始め幅広い分野から発起人が集まり、2014年本格開塾したそうです。また、教育を目指す高校生からも進路や学習すべき内容についての質問をたくさん受けました。

人の輪が広がって、NESTTruthの目指す教育の共感者や協力者が増えているのを強く感じる講演会でした。


トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳


トゥルースアカデミー
http://truth-academy.co.jp/