ロボット・AI(人工知能)の時代に生きる (その2)
- AIが人間のプロ棋士に勝利! -
1月28日、人間に勝つのは少なくとも10年後と言われていた囲碁で、「AIが人間のプロ棋士に勝った」との報道がありました。
1994年コンピュータがチェッカーの世界チャンピオンを打ち負かし、その3年後IBMのスーパーコンピューター「Deep Blue」がチェスの世界チャンピオンから勝利を収め、オセロ、スクラブル、バックギャモンといったゲームでも、コンピュータが人間に勝利しました。将棋に関しては、2010年以降コンピュータ将棋とプロ棋士との対戦を継続してきた情報処理学会が、コンピュータ将棋の実力はトッププロに追いついておりプロジェクトの目的を達成したとして、2015年10月11日コンピュータ将棋プロジェクトの終了宣言を発表しています。囲碁は19×19の格子が描かれていた盤面で展開し得る指し手の数は10の360乗にのぼるそうです。最善の手を求めてそれぞれの手すべてを評価していくことは、コンピュータにとって大変な作業になるため、人間に勝つのにあと10年はかかると言われてきたのです。囲碁で人間に勝ったのは、グーグルが4億ドルで買収したブレイン集団「DeepMind」。15年10月、同社のロンドンオフィスで人間対コンピュータの試合が行われ、「AlphaGo」と呼ばれる囲碁ソフトが、欧州の囲碁大会で三年連続優勝した現欧州チャンピオンであるファン・フイ氏との対局に臨み、従来のコンピュータ囲碁で多く使われてきた小さな碁盤(計算量が少ない)ではなく標準の19路盤でハンデをつけず、5局すべてでチャンピオンを倒したとのことです。
1月27日に『Nature』誌に掲載されたAplhaGoのシステムを説明する論文で、AI技術のなかで近年、特に重要性が増してきている「ディープ・ラーニング(深層学習)」と呼ばれる手法が、非常に優れた形で利用されていることが明らかになりました。
今、「第3次AIブーム」と言われています。第1次ブームはArtificial Intelligence=AIと名づけられた1956年のダートマス会議以来で、自然言語処理による機械翻訳の研究が中心でしたが挫折しました。第2次ブームは1970年代後半から80年代にかけて。この時期に脳の神経細胞の回路に近い仕組みをコンピュータでつくると、脳と同じようなことができるのではないか、という発想から「ニューラルネットワーク」が注目されました。そして、2000年代半ば、ジェフリー・ヒントンという研究者が、ニューラルネットワークの階層を4層、5層と増やし、精度の高い機械学習の実現に成功。この「ディープ・ラーニング(深層学習)」の研究が、今の第3次AIブームのきっかけになったのです。この技術は、画像認識や音声認識等の分野に活用され、2012年Googleの開発したグーグル・ブレインが、猫の概念を学習することに成功しました。従来は顔がどういうものかを人間がコンピュータに教育する必要がありましたが、Googleは1週間にわたりYouTubeの動画をコンピュータに見せつづけたところ、猫がどういうものかを学習し、猫を認識できるようになったというのです。これは、人間の脳の構造をソフトウェア的に模倣し、人間が関与せずに学習を進める、いわゆる「無教師学習」=「self-taught learning(自己教示学習)」の一つです。AlfaGoは、3,000万種類の棋士の手を学んだ後、プログラムが自分で囲碁を打てるように訓練し、ソフトウェア同士を戦わせて打ち手を収集し、これを使って名人を倒すことのできる新しいAIを養成したとのこと。この技術の将来的な目標は、気候変動から複雑な病気の解析まで、実世界の重要な問題を解決することだそうです。
Googleは、来たる3月に現在最強と言われているプロ棋士、韓国のイ・セドル9段とAlphaGoの対局を予告しています。また、様子はYouTubeで世界にストリーミング中継される予定だそうです。果して結果は? 楽しみです。
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