NESTオーシャン・プロジェクト2012
真鶴の空も海もどこまでも青く、焼けつくような暑さ。しかし、都会の暑さと違って、どこか心地良ささえ感じられます。前回ご紹介しました、NPO法人科学技術教育ネットワーク(略称:NEST―ネスト)が主催した、野外活動や実験とICTを融合させた科学活動『オーシャン・プロジェクト』のご報告です。
初日の昼の活動は、琴が浜で生き物ビンゴとシュノーケリング、風向きと水深の記録。「生き物ビンゴ」では磯で見られる生物をできるだけたくさん見つける活動で、どの子も懸命に生き物探しに夢中になっていました。シュノーケリングでは、シュノーケルの使い方のコツが掴めず苦労した子もいましたが、運のいい子はエビとハゼの共生の様子が見られたようです。エビは砂地に穴を掘って家を作って住み、ひとつの穴でハゼと共存生活します。エビは穴掘り役、ハゼは見張り役だそうです。どうして異なった生物が共存できるのか?自然の不思議を感じます。
グループごとに順番を決めて、手作り風向計の風向きを、海中に立てた目盛を付けた棒で水深を読み取り記録していきました。その一方で、風向きは色を塗り分けた円盤を光センサーで読み取りながら方位の変化を自動的に記録。さらに、定点カメラで潮の満ち引きの様子を記録したり、温度センサーで気温と水温の変化を記録したりもしました。
夜はいよいよNPO法人「オーシャンブルー」の代表・水井涼太先生によるプランクトン観察です。大きな満月が海を照らす姿を見ながら暗い坂道を港まで下り、プランクトンネットで一人一人が採取を行いました。ペットボトルに移した海水は濁っており、懐中電灯で照らすと何やらたくさんの微生物がうごめいているのが見えます。案の定、旅館に持って帰って先生の指導の下、顕微鏡で観察すると、ミジンコの仲間やカニの幼虫などたくさんのプランクトンを観察することができました。プロジェクターを使った水井先生の授業では、プランクトンについてだけではなく、海や山の自然環境の大切さを改めて教えて頂きました。
2日目午前は、真鶴町立「海の学校」の山本先生による磯観察。磯での生物の採り方や注意を受け、カニや貝、魚やエビ、ナマコやヒトデなどを皆で採取しました。山本先生がそれを分類して、それぞれの生物の特徴や生態について丁寧に教えてくださいました。皆の海洋生物に対する興味をさらに呼び起こされたようです。また、貝類研究科の遠藤晴雄氏の貝類コレクション4,500種50,000点の内、約1,800種5,000点を常設展示している町立「遠藤貝類博物館」でも山本先生に、いろいろな珍しい貝について教えて頂きました。
午後は活動の締めくくりとして、真鶴地域情報センターで、GEMS(ジェムズ=Great Explorations in Math and
Science:カリフォルニア大学ローレンスホール・オブ・サイエンスLawrence Hall
of Scienceにおいて1980年代から研究されている子どもを対象とした科学と数学の参加体験型プログラム)の「海流」のアクティビティを行ったり、前日に収集したデータを基に潮の満ち引きや風向き(海風・山風)についての考察をしたりしました。
あっという間の1泊2日。しかし、多様な活動を通して、参加した子供たちは海洋生物とその環境について、楽しく豊かに学んでくれたと思います。
To be continue・・・