tag:blogger.com,1999:blog-4041304004461675352024-02-21T03:06:14.575+09:00トゥルースの視線教育用レゴブロックや算数ブロック、ロボットなどの教材で学ぶ科学教室トゥルース・アカデミー代表の中島晃芳です。
このブログは、当アカデミーが月に1回発行しているお知らせ「Truth通信」に、2004年より掲載している「トゥルースの視線」をまとめたものです。
科学教育や算数教育、ICT教育、ロボット教育、ロボカップジュニアなどについて私の雑感を書き記しています。ぜひご一読いただければ幸いです。トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.comBlogger183125tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-82110807493425654612022-04-21T09:00:00.001+09:002022-04-28T15:59:16.702+09:00【第169回】ここが違う!TruthのSTEM教育①<p style="text-align: center;"><span style="color: red;"><b>~ 社会的構成主義を実現する独自カリキュラムと指導<span lang="EN-US"> ~</span></b></span></p><p style="text-align: left;"></p><p class="MsoNormal"><span lang="EN-US"><br /></span></p><p class="MsoNormal"><span lang="EN-US">2020</span>年から小学校でプログラミングが必修になることを受け、雨後の筍のように同種の教室が増えてきています。そのような状況の中、<span lang="EN-US">2000</span>年から<span lang="EN-US">STEM</span>教育<span lang="EN-US">(</span>科学・技術・工学・数学教育<span lang="EN-US">)</span>を実践している当アカデミーが依然として他の教室と一線を画す特長はたくさんあります。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></p>
<p class="MsoNormal"><span lang="EN-US"><o:p> </o:p></span></p>
<p class="MsoNormal"> その中で最も重要なのは、「社会的構成主義」という教育理論を実現している点です。現在世界の子供たちが求められている学力は、<span lang="EN-US">OECD</span>が実施する国際的な学習到達度調査(<span lang="EN-US">PISA=ProgrammeforInternationalStudentAssessment</span>)が求める学力、いわゆる「<span lang="EN-US">PISA</span>型学力」であることは周知の事実となっています。その育成に最も有効とされる教育が、<span lang="EN-US">PISA</span>において学力世界一を誇ったフィンランドの教育です。そして、フィンランド教育を世界一に導いたのが「社会的構成主義」と言われます。一言で言うと、「知識は固定的に教え込まれるべきものではなく、他者との協働の中で構成されていくと考える教育哲学」です。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></p>
<p class="MsoNormal"><span lang="EN-US"><o:p> </o:p></span></p>
<p class="MsoNormal"> 砕いてお話すると、「構成主義」とは、教師が一方的に知識を与えるのではなく、「学習者としての子供たちが自らの活動を通して自分自身で知識を構築し獲得できるようなものでなければならない」とする考え方です。これに「<span lang="EN-US">Leaning by Making</span>(作ることで学ぶ)」という主張を加えたのが、マサチューセッツ工科大学メディアラボの創設者の一人、人工知能の研究者としても広く知られるシーモア・パパートが唱える教育理論「コンストラクショニズム」。パパートは、「デバグの効用」や「推論・実験・検証という正しい学びのサイクル」を唱え、プログラミング教育・ロボット教育の元祖であり、プログラミングソフト<span lang="EN-US">Scratch</span>の源や<span lang="EN-US">LEGOMindstorms®</span>のアイデアを生み出しました。「社会的構成主義」とは、これを分断された個人が行うのではなく「他者との関わりで学ぶ」、すなわち、他の学習者と意見を交換したり刺激し合ったりしながら、その協働の中で知恵や知識を高め、自らの力で目標を達成させる、という考え方なのです。ここでは、教育者の役割は<span lang="EN-US">teacher(</span>ティーチャー<span lang="EN-US">)</span>や<span lang="EN-US">instructor</span>(インストラクター)として知識を与えることではなく、<span lang="EN-US">facilitator(</span>ファシリテーター・促進者<span lang="EN-US">)</span>や<span lang="EN-US">mentor</span>(メンター・良き助言者)として学習者たちの活動を目標に向かって正しく進めるように導くことになります。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></p>
<p class="MsoNormal"><span lang="EN-US"><o:p> </o:p></span></p>
<p class="MsoNormal"> 「<span lang="EN-US">21</span>世紀型スキル」を育成するには、プログラミング教育やロボット教育は不可欠です。しかし、<span lang="EN-US">ICT</span>スキルの育成にだけ軸足を置いては、単なる教科の学習と何ら変わりはありません。創造力・イノベーション・批判的思考・問題解決・意思決定・学びの学習・メタ認知(認知プロセスに関する知識)・コミュニケーション・コラボレーション(チームワーク)・地域と国際社会での市民性等を含む「<span lang="EN-US">21</span>世型スキル」や<span lang="EN-US">PISA</span>型学力をも育成するには、「社会的構成主義」が避けては通れないと確信しています。そのため、既存のカリキュラムでは実現できないので、パイオニアとして、全カリキュラムと授業案、ワークシートをオリジナルで作成し、他にない指導を<span lang="EN-US">20</span>年以上にわたって実践し続けているのです。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></p>
<p class="MsoNormal"><span lang="EN-US"><o:p> </o:p></span></p>
<p class="MsoNormal"> お蔭様で、<span lang="EN-US">Truth</span>の授業を見学したり指導者養成講座を受講したりした学校の先生や教育関係者からは、「理論と実践が完璧に一致している」と評価をいただいています。また、教室での活動を拡大して行う<span lang="EN-US">NPO</span>法人科学技術教育ネットワーク(略称<span lang="EN-US">NEST</span>)では、<span lang="EN-US">ICT</span>を活用した教育実践事例のコンテスト「<span lang="EN-US">ICT</span>夢コンテスト」でも、「<span lang="EN-US">ICT</span>を活用して社会的構成主義を実現する活動」として認められ、<span lang="EN-US">3</span>年連続<span lang="EN-US">CEC</span>奨励賞を受賞しています。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></p>
<p class="MsoNormal"><span lang="EN-US"><o:p> </o:p></span></p>
<p class="MsoNormal"> <span lang="EN-US">Truth</span>には、<span lang="EN-US">21</span>世紀に求められる新しい教育があります。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></p><span style="background-color: white; font-family: meiryo, メイリオ, "ヒラギノ角ゴ Pro W3", "MS Pゴシック", sans-serif;"><div style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳</div></span><p></p>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-18214088798820910412022-03-28T09:35:00.001+09:002022-04-28T15:58:50.031+09:00【第168回】加熱する中学受験<p style="text-align: center;"><span style="color: red;"><b>~ コロナ禍が浮き彫りにした公私の差? ~</b></span></p><p style="text-align: left;"> 3回にわたってご紹介した練馬区地域おこしプロジェクトですが、残念ながら最終選考で選に漏れてしまいました。おそらくその理由は、国際的ロボットコンテストは練馬区でしかできないことだろうか?ということだと思います。確かにどこでも開催できます。新宿区でも文京区でも渋谷区でもできるでしょう。しかし、練馬区で開催しない理由も考えられないと思っています。
現在のオミクロン株による第6波では児童の感染者も増え、幼稚園・保育園・学校が学級閉鎖や学年閉鎖など、その影響を受けています。練馬区の公立学校では、GIGAスクール構想によって生徒全員にパソコンやタブレットなどの端末が行き渡ってい
ますが、オンライン授業は行わない、端末は勝手に使ってはならず学校と家庭との連絡用としてのみ、といった話が生徒から聞かれます。この現状に一石を投じ、改革する機会を失ったのはとても残念なことです。一方、私立学校ではオンライン授業への対応が速く、2020年の段階で、双方向(先生と生徒がやり取りできる)型オンライン授業については、公立中学が10%に対して私立中学は72%。動画配信などを加えたオンライン学習となると、私立中では90%以上が実施していました。</p><p style="text-align: left;">科学教育については、海城中高がサイエンスセンターを新設し校舎自体を教材とする試みを始め、約90年前から太陽の黒
点観測を続けるなどサイエンス教育で知られる武蔵中高(写真
は同校にある天体望遠鏡)は新校舎「理科・特別教室棟」を新築、創立150周年の開成中高も7月に完成した高校新校舎A棟
と23年に完成予定のB棟をつなぎ最上階を理科専用フロアに、
桜蔭学園も創立100周年事業として、23年度までに新設する校
舎に理科専用フロアやデジタル機器を活用できるコーナーを設置、芝浦工大付は来年の100周年を前に「STEAM教育」を前面
に打ち出す校舎を完成――と、サイエンス教育に力を注ぎ始めています。この波は、山脇学園・恵泉女学園・富士見中高・昭和女子大付・普連土学園・女子美術大付といった首都圏の伝統ある私立女子中高にも見られ、
理科探究やデータサイエンス教育
の重視に乗りだし、人気を集めてい
るそうです。「文理問わずサイエン
ティストの力を」と改革に取り組む女
性校長たちも出てきているとのこと。 </p><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiXroL3AD2w1gSxgGW5gg13c1DnRRyddAQu0j9Nlj-qDAMQgffutOzAv-JDs6iZVcuCwqOq5thBCGvRIzCvTuUTchMQ4-4HOgwo-ONY_4Jyda2UrfkE0I6L5niF5xyADS5CDfwMvAmQA_f3WJ1e6xMiJmeCXhmsHKIKRVFSZ6WtdSkinTRDdjMdKBz5/s958/shisen.png" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="686" data-original-width="958" height="229" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiXroL3AD2w1gSxgGW5gg13c1DnRRyddAQu0j9Nlj-qDAMQgffutOzAv-JDs6iZVcuCwqOq5thBCGvRIzCvTuUTchMQ4-4HOgwo-ONY_4Jyda2UrfkE0I6L5niF5xyADS5CDfwMvAmQA_f3WJ1e6xMiJmeCXhmsHKIKRVFSZ6WtdSkinTRDdjMdKBz5/s320/shisen.png" width="320" /></a></div><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><span style="text-align: left;">武蔵高等学校中学校にある天体望遠鏡</span></div><br /><p style="text-align: left;">これらの背景もあり、2022年度都圏中学入試は、新型コロナウイルスの影響を大きく受けたにもかかわらず、受験者数は6
万2,400人と前年度より700人増加、2009年につぐ過去2番目の高水準となったとのこと。また、特長的な教育活動等、偏差
値や大学合格実績という数字に表れる成果以外の視点で学
校を選択するという行動様式が近年定着してきているようです。入試問題も、知識の量を問うだけでなく、麻布中では難民問題、開成中はジェンダー問題、女子学院では表現の自由と人権問題など、公立の学校であれば「偏向教育」と攻撃されかね
ない社会問題を批判的に考える力を問う問題が見られるよう
になってきました。また、首都圏ではプログラミング入試を実施している学校も現れています。</p><p style="text-align: left;">民間のみならず学校教育でも私立を中心にロボット教育・プ
ログラミング教育が浸透しつつある昨今ですが、入試のための学習、教科の学習に堕すことなく、ロボット教育・プログラミング
教育が持つ力を発揮できる教育の在り方を死守しなければな
らないと思っております。それは、実証的な精神に基づいて、「
推論・実験・検証」という正しい学びのサイクルを繰り返すこと
によって、論理的思考力や正しい洞察力、批判的思考、問題
解決力を自らの体験として獲得していく教育です。トゥルースには、3つのコースがありますが、「遊びと学びの融合」をテーマに楽しく実践できるよう綿密なカリキュラムを提供しています
。中学・高校・大学と進んでいく中で、大きな財産となることを期待しています。</p><p style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳</p>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-36252092426794676952022-02-09T00:48:00.000+09:002022-03-09T14:55:04.701+09:00【第167回】練馬区地域おこしプロジェクト③<p> </p><h3 style="text-align: center;"><span style="color: red;"><span style="font-size: small;">~ STEM教育の在り方に対する危惧 ~</span></span></h3><h3 style="text-align: center;"><p style="text-align: left;"><span style="font-size: small; font-weight: normal;">NPO法人科学技術教育ネットワークとして、令和4年度『練馬区地域おこしプロジェクト』事業企画募集に『練馬発・国際ロボット教育 ― つながろう!教育の輪で』という事業を応募し、「国際的ロボットコンテストを練馬で開催しよう!」という提案をいたしました。1次書類審査が通ったという連絡が年明けにあり、先日10名ほどの専門家の審査員を前に2次審査のプレゼンおよび質疑応答を行ってまいりました。</span></p><p style="text-align: left;"><span style="font-size: small; font-weight: normal;"> </span></p><p style="text-align: left;"><span style="font-size: small; font-weight: normal;">1次審査書類審査に先立ち、練馬区在住の保護者の方々にアンケートをお願いし、通信165回(<span style="color: #3366ff;"><a href="https://truth-academy.jp/truth-shisen/501" rel="noopener noreferrer" style="color: #3366ff;" target="_blank">https://truth-academy.jp/truth-shisen/501</a></span>)でSTEM教育を望む声をご紹介いたしましたが、一方でその在り方に危惧を抱く方もいらっしゃいました。その危惧にお答えしたいと存じます。</span></p></h3><h6><span style="font-family: courier; font-size: small;">■一般論として、区のプロジェクトに採用された場合に、レベルに高低差のある子供たち相手に、短期で目に見える成果を上げることを求められる(~が出来るようになる、など)と、とにかく詰め込み教育になりがちかなと思います。</span></h6><h6><span style="font-family: courier; font-size: small;">■いま国で検討されている内容が、他の教科と同じような詰め込み型の学習になってしまうと、むしろ数学、理科嫌いを助長させてしまうのではないかと、不安。課題解決のツールとして身につけ、活かせるような教育になってほしい。自分たちで手を動かして、課題解決に導く、そんなカリキュラムだと、いいと思う。失敗から学べることも多いことも、身を持って感じられるような…。</span></h6><h3 style="text-align: center;"><p style="text-align: left;"><span style="font-size: small; font-weight: normal;"> </span></p><p style="text-align: left;"><span style="font-weight: normal;"><span style="font-size: small;">トゥルースは中学校や高校では毎週1回1年間の授業を行ってきましたが、一方この20年間日本科学館は杉並区科学館等、いろいろな科学館や区との協働事業で、1クラス20~30名の1日~3日の短期講座を行ってきました。私共の使命は、『社会的構成主義』という教育理論(視線128回参照:<span style="color: #3366ff;"><a href="http://truth-shisen.blogspot.com/2018/04/128.html" rel="noopener noreferrer" style="color: #3366ff;" target="_blank">http://truth-shisen.blogspot.com/2018/04/128.html</a></span>)の実践と普及にあります。学校の先生始め教育関係者からは「理論と実践が完璧に一致しいている」との評価をいただいており、「問題解決学習とは、こういうことなのか!」というお声もいただいております。指導者向けの著書や雑誌の連載、NESTが運営する指導者向けe-learningサイト「<span style="color: #3366ff;"><a href="https://steming-j.org/" rel="noopener noreferrer" style="color: #3366ff;" target="_blank">STEMing</a></span>」でも、その手法を紹介しています。そのため、詰め込み教育に陥ることなく、「Activity Based Learning(子供たちの活動をベースにした学習)」「Project Based Learning(プロジェクト型学習・問題解決型授業) 」「Future oriented Education(未来志向の教育)」を実践するノウハウ、経験は十分にあると自負しております。</span></span></p></h3><h6><span style="font-weight: normal;"><span style="font-size: small;">■STEM教育に興味を持つ保護者は、教育熱心だと思います。そこで考えられるのが、中学受験との兼ね合いかと。可処分時間を考えて、中学受験の塾よりもSTEM教育を選択してもらうには、STEM教育の結果を見せるのが大切かと思います。中学受験は、学歴という短期の利益を得ることができるのに対し、STEM教育は短期的利益はあまり見込めません。長期的目線でどのような利益があるのかを訴えないと、保護者はお金と時間をかけないと思います。</span></span></h6><h3 style="text-align: center;"><p style="text-align: left;"><span style="font-weight: normal;"><span style="font-size: small;"> </span></span></p><p style="text-align: left;"><span style="font-weight: normal;"><span style="font-size: small;">もっともなご意見だと思います。しかし、受験とSTEM教育は両立できないものなのでしょうか?長く通っている生徒しか合格校は分かりませんが、トゥルースに通いながら受験勉強もして、御三家・早慶・国公立を始め優秀な学校に入学している生徒が多いようです。高校や大学の推薦状を依頼されることもあります。ご本人のロボットコンテストでの実績や活躍をしたためた私の推薦状がどれだけの効果があったのかは分かりませんが、全員から志望校に合格したという報告をいただいております。そして、ほぼ100%が理系に進学しています。また、生徒から講師になり、10年~20年トゥルースに関わってきた学生たちは、ロボット・ゲーム・機械・電気・制御関連の専門性を活かした職に就いています。21世紀の三種の神器が「機械・電気・AI」と言われる中、STEM教育を通じて『21世紀型スキル』(視線95回参照:<span style="color: #3366ff;"><a href="http://truth-shisen.blogspot.com/2015/02/" rel="noopener noreferrer" style="color: #3366ff;" target="_blank">http://truth-shisen.blogspot.com/2015/02/</a></span>)を身につけた成果であると感じております。また、ロボットコンテストから得られる成果の一つとして、子供たちが将来大人になって社会に出たとき、○○年のジャパンオープンに出たよ、○○年の世界大会に出たよ、というだけで、日本中に世界中に人的ネットワークを手にすることができるということが挙げられます。かけがえのない人生の財産を手にすることができる場でもあるのです。</span></span></p><p style="text-align: left;"><span style="font-weight: normal;"><span style="font-size: small;"> </span></span></p><span style="font-weight: normal;"><div style="text-align: left;"><img alt="" class="wp-image-519 size-medium" height="400" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2022/02/ad7fdf50bd1eee22a84848440cfc77ef-600x400.jpg" style="font-size: medium;" width="600" /><span style="font-size: medium;"> </span></div></span></h3><h3 style="text-align: center;"><div style="text-align: left;"><span style="font-size: medium; font-weight: normal;">ロボカップ2012世界大会 優勝チーム「Amalgam」</span></div><p style="text-align: left;"><span style="font-weight: normal;"><span style="font-size: small;"> </span></span></p><p style="text-align: left;"><span style="font-weight: normal;"><span style="font-size: small;">令和4年度『練馬区地域おこしプロジェクト』の採択事業は2つのみ。難関ですが、練馬を起点としてSTEM教育の輪が全国に広がり、海外との交流も実現できればと願っています。</span></span></p><p style="text-align: left;"><span style="font-weight: normal;"><span style="font-size: small;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳</span></span></p></h3>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-36461756325935234692022-01-08T22:39:00.000+09:002022-03-08T22:41:14.973+09:00【第166回】新年のご挨拶<p> </p><h4 style="text-align: center;"><span style="color: red;">~ 高まるデータサイエンス教育の必要性 ~ </span></h4><p> </p><p>2022年の東京は、北風が強く吹く晴天の元旦を迎えました。コロナ禍が発生してから早2年、一見落ち着きを見せていましたが、オミクロン株が猛威を振るう前の、束の間の嵐の静けさに過ぎなかったのかもしれません。ウィルスと人間の科学との戦いはまだ続きそうです。</p><p>昨年6/28スロバキアのクライン・ビジョン社が開発した「<strong>空飛ぶ車</strong>」が35分間の飛行テストに成功しました。「エア・カー」と名付けられた自動車兼飛行機です。スロバキアのニトラ国際空港からブラチスラバ国際空港までの70㎞を35分間で飛行に成功。着陸後、ボタンを押すとエア・カーは3分でスポーツカーに変身し、そのまま空港から市内へ移動しました。テストでは最高で高度2500メートルまで上昇し、速度も時速190キロまで出たということです。その映像は、まるでSF映画を見ているようです。</p><p>↓エア・カー飛行の様子</p><p></p><div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><iframe allowfullscreen="" class="BLOG_video_class" height="266" src="https://www.youtube.com/embed/a2tDOYkFCYo" width="320" youtube-src-id="a2tDOYkFCYo"></iframe></div><br />https://www.youtube.com/watch?v=a2tDOYkFCYo<p></p><p>「空飛ぶ車」の定義は様々ですが、経済産業省は、<strong>①電動②自動(操縦)③垂直離着陸</strong>を条件としています。</p><p>経産省の工程表では、2023年に離島の荷物輸送・観光地の遊覧飛行、25年頃に山間部や都市部の荷物輸送・旅客輸送、30年代に自動無人飛行・自家用を目指すとしており、2025年の大阪万博では、会場の遊覧飛行や会場と関西国際空港などを結ぶエアタクシーサービスを計画しています。</p><p>今後さらにAI(人工知能)やロボットの技術が進化し、それに携わる人材も当然必要となります。</p><p>昨年、「<strong>数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度</strong>」という文部科学省の認定制度が始まりました。数理・データサイエンス・AIに関する知識及び技術について体系的な教育を行うものを文部科学大臣が認定及び選定して奨励するというものです。昨年は大学・短期大学・高等専門学校から78件の応募があり、11件が認定されました。その中には、ロボカップジュニアにもご協力くださり、Truthの卒業生も通う金沢工業大学の「KIT数理データサイエンス教育プログラム」、長岡工業高等専門学校の「AIR Techエンジニア育成プログラム」も入っています。</p><p>「<strong>データサイエンス</strong>」という言葉を最近よく聞きますが、これはデータを用いて新たな科学的および社会に有益な知見を引き出そうとするアプローチのことで、数学・統計学・情報工学・機械学習など多岐に渡る分野と横断的に関係しています。このところ、経営戦略や販売促進にビッグデータや統計学が活用されるようになり、ビジネスシーンでも数学・統計学の必要性が高まっているようです。<strong>『<a href="https://www.amazon.co.jp/%E6%95%B0%E5%AD%A6%E7%8B%AC%E7%BF%92%E6%B3%95-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%86%A8%E5%B3%B6-%E4%BD%91%E5%85%81/dp/4065243580">数学独習法</a>』</strong>の著者・富島佑允氏(大手外資系生保で資産運用部門に勤務)は、<strong>代数・幾何学・微積分学・統計学</strong>を「<strong>数学四天王</strong>」と呼び、その全体像をざっくりつかみ、俯瞰できるようになることの大切さを説いています。</p><p>また、教育の分野でも、欧米を中心に30年程前から統計教育の重要性が説かれ、データに基づく実践的な統計的問題解決力、思考力の育成を国家戦略として位置付けています。日本でも、平成20・21年度の学習指導要領では、小中高ともに統計教育が充実し、特に高校の数学や新教科の情報、大学入学共通テストではデータの活用内容に重点が置かれています。<strong>『<a href="https://www.amazon.co.jp/%E3%81%93%E3%81%A9%E3%82%82%E7%B5%B1%E8%A8%88%E5%AD%A6-%E3%81%AA%E3%81%9C%E7%B5%B1%E8%A8%88%E5%AD%A6%E3%81%8C%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B%E3%81%8C%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%8B%E6%9C%AC-%E3%83%90%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%89/dp/4862555764/ref=sr_1_1?adgrpid=121184457332&hvadid=536045362215&hvdev=c&hvqmt=b&hvtargid=kwd-1074872894294&hydadcr=26040_13446913&jp-ad-ap=0&keywords=%E3%81%93%E3%81%A9%E3%82%82%E7%B5%B1%E8%A8%88%E5%AD%A6&qid=1643097587&sr=8-1">こども統計学 なぜ統計学が必要なのかがわかる本</a>』</strong>の監修者である渡辺美智子氏(理学博士/立正大学データサイエンス学部教授)は、「統計データを『調べる力』、そこから何かを『読み取る力』、その結果から『身の回りの問題を解決し改善する力』など、総合的な探求力が養える統計学では、すべての人に役立つ、生きる上で強力な武器になるのです」とその意義を説き、「<strong>日常の些細な事柄においても感情や思い込みではなく、エビデンスに基づき判断する</strong>」「統計リテラシーを育てるには、<strong>子どものうちからいろいろな文脈でデータを集め、データに基づいた判断を下す練習をしなければなりません</strong>」と、幼いころからの教育の重要性を訴えています。</p><p>コロナ禍において、様々なデータや統計、シミュレーションが報道されています。しかし、正しく統計を読む力、統計で考える力を持たなければ、正しい理解も正しい判断もできないのです。算数・プログラミングを扱っているリトル・ダヴィンチ理数教室でもデータサイエンス教育の導入を検討したいと考えています。</p><p>新年あけましておめでとうございます。</p><p>本年もよろしくお願いいたします。</p><p><strong>― データは21世紀の刀、データ分析ができる人は21世紀のサムライ ―</strong></p><p><strong>Google元CEOエリック・シュミット</strong></p><p style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳</p>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-3683552968712829722021-12-08T22:38:00.000+09:002022-03-08T22:39:16.861+09:00【第165回】練馬区地域おこしプロジェクト②<p> </p><h4 style="text-align: center;"><span style="color: red;">~ STEM教育に普及を望む声 ~ </span></h4><p> </p><p>練馬区地域おこしプロジェクトに応募した際に練馬区在住の保護者の皆様にお願いした、STEM教育(ステム教育:科学・技術・工学・数学)についてのアンケートに寄せられたご意見をご紹介いたします。まず今回は、肯定的なご意見を。</p><p><strong><練馬区のSTEM教育の現状と期待について></strong></p><p><strong>■このコロナ禍で小学校でもPCが個人に配布されるようになりましたが、有効な使われ方をしていないように感じます。せっかくの機会なので、この状況をプラスに捉えて授業などでもっと活用していったり、子供たちの想像力を伸ばせたりする使い方ができればいいと思います。</strong></p><p><strong>■近隣の板橋区や中野区では、定期的に小学生向けの実験教室やプログラミング講座などが行われていますが、練馬区ではこれまでそういった活動はほとんどありませんでした。今回のプロジェクトを通して、練馬区の子供達が科学や工学に触れる機会を作っていただけたらとても嬉しいです。</strong></p><p><strong>■ゲームプログラミングと違い、生活や社会などに深く関わるロボットプログラミングだからこそ、子供のうちから体験を通して学べる事は将来財産になると信じています。やるならぜひ定期的な学習の場を提供してほしいです。</strong></p><p><strong>■学校でプログラミング教育が始まったとはいえ、まだまだそれほど浸透しているようには思えません。息子は学校で、ロボットの大会に出ていますが、そのことは一切言わないそうです。それはなぜなら、周りに言っても理解してくれないからと言っていました。是非ともこの事業に参加して練馬区のプログラミング教育を盛り上げて、ロボットの国際大会を練馬で開催してください。</strong></p><p><strong>■公立小中学校は変化、進化速度が遅いので、新しい刺激が入って時代に即した教育が更新されていくことを期待します。</strong></p><p><strong>■先駆者であるプロに先生になってもらう事はこの先の先行投資の意味合いもあるしここから雇用が生まれれば練馬区にとってもチャンスだと思います。</strong></p><p><strong>■応援します!ロボットの街、プログラミングの街として練馬区の魅力を発信できれば良いと思います。</strong></p><p><strong>■今後のプログラミングソフトの学習に於いて、ロボット開発の就職に有効となれそうなものであるとより有り難いと思っております。また、最新のロボット開発や使用ソフトなどの情報提供のセミナーや有効的な施設見学などのイベントなどあると嬉しいです。</strong></p><p>「ICT の活用で、区においてもアクティブ・ラーニングの視点に立った学びを取り入れることにより、 ① 基礎的な知識や技能を確実に身に付ける ② 考える力、判断する力、表現する力を育成する ③ 主体的に取り組む姿勢を養う ことのできる授業を目指します」と謳った『練馬区学校ICT環境整備計画』を作成しましたが、期間は2016~20年なので、現時点どのような目標を設定しているのかは不明です。また、現在、特別非常勤講師を募集していますが、プログラミング教育の募集は小学校で1校のみ、しかも1名のみ。練馬区には科学教育の拠点となり発信地となる科学館がないので、STEM教育を強力に推進することができないのかもしれません。</p><p>私共Truth Academyは、同業の仲間から「もっと教室を増やせばいいのに」と言われますが、小中高校、科学館への出張授業、NPO法人NESTやロボカップジュニアの運営、指導者の養成に力を注いできました。21世紀教育に求められる「社会的構成主義」(<span style="color: #3366ff;"><a href="https://truth-academy.jp/truth-shisen/43" rel="noopener noreferrer" style="color: #3366ff;" target="_blank">https://truth-academy.jp/truth-shisen/43</a></span> 参照)により日本の教育の在り方を変えることを目標としています。練馬区がその拠点になれればと思っております。</p><p>次回は、STEM教育の在り方やその価値についてのご意見をご紹介したいと思います。</p><p style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳</p>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-81576431348441631992021-11-08T22:37:00.001+09:002022-03-08T22:38:31.080+09:00【第164回】練馬区地域おこしプロジェクト①<p> </p><h4 style="text-align: center;"><span style="color: red;">~ 練馬区発・国際ロボットコンテストの提案 ~</span></h4><p> </p><p>練馬区が現在募集している「地域おこしプロジェクト」に、トゥルース・アカデミーが所属し、私が立ち上げた「NPO法人科学技術教育ネットワーク(NEST)」として、応募することにいたしました。これは、未来に向けた夢のあるまちづくりの実現に向け、区民の自由な発想で、未来の練馬の発展につながる事業を区との協働により実施するプロジェクトです。この20年間、日本科学未来館を始めとした様々な科学館や他区からの委託、小・中・高校からの依頼で教室外でも年間数百名の子供たちにロボット・プログラミングを指導してきました。しかし、本拠地のある練馬区では単年度の協働事業でしか実現していなかったため、継続的に貢献できればと思って応募した次第です。</p><p>目標は、練馬区の小学生~高校生にロボット・プログラミング学習を提供すること、練馬区内の学校の先生や指導者を目指す方々にその指導方法を伝授し、学校を始めとする様々な場で子供たちに学べる機会を提供できる環境を作ること、そして、学習の目標として国際的なロボットコンテスト「RoboRAVE(ロボレーブ)」を練馬で開催することです。他区・他市からお通いのお子様も多くいらっしゃいますが、最初は練馬大会、その後全国大会、そして国際大会と規模を大きくしていく予定ですので、参加の機会を得られるようにいたします。</p><p>この応募に際し、練馬区在住の保護者の皆様に、STEM教育(ステム教育:科学・技術・工学・数学)についてのアンケートをお願いしたところ、37名の方々からご回答をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。アンケート結果は次のようになりました。</p><p> </p><p><strong>●今の日本の子供たちに、STEM教育が必要であると思いますか?</strong></p><p>⇒必要であると思う(94.6%)分からない⇒(5.4%)</p><p><strong>●STEM教育をお子様に受けさせたいと思いますか?</strong></p><p>⇒ぜひ受けさせたい(86.5%)まあまあ受けさせたい(13.5%)</p><p><strong>●学校でプログラミングを始めとしたSTEM教育が実践されていると感じますか?</strong></p><p>⇒ある程度実践していると思う(16.2%)あまり実践しているとは感じられない(54.1%)</p><p><strong>●練馬区とコラボ(協働)した取り組みとして、STEM教育の場があったら、お子様に参加させたいと思いますか?</strong></p><p>⇒ぜひ参加させたい(78.4%)まあまあ参加させたい(21.6%)</p><p><strong>●国際的なロボットコンテストが練馬区で開催されたら、お子様を参加させたいと思いますか?</strong></p><p>⇒ぜひ参加させたい(64.9%)まあまあ参加させたい(35.1%)</p><p><strong>●国際的なロボットコンテストが練馬区で開催されたら、練馬区の魅力の一つになると思いますか?</strong></p><p>⇒大いに魅力になると思う(78.4%)少しは魅力になると思う(18.9%)あまり魅力にならないと思う(2.7%)</p><p> </p><p>トゥルースにお子様を通わせていらっしゃる保護者の皆様は、一般的な方々と比べ、教育に対する意識や関心が高く、時代が求める教育にも敏感ですので、この結果が平均的なものであるとは言えない面もあるかもしれません。しかし、STEM教育を望む保護者が多いのに対して、「GIGAスクール構想」によって生徒1人1台のパソコンが配布されたにもかかわらず、学校や区が十分にその活用するに至っていないと感じる方が多いようです。練馬区に科学教育の拠点となる科学館が存在していないのも、その一因かもしれません。</p><p>このプロジェクトでこれまで採択された事業は、2017年に3事業、18年に2事業、20年に2事業しかなく、極めて難関ですが、百年の計である教育に関心を持っていただき、この事業が採択することを願っております。</p><p>アンケートでは自由記述の欄に、様々なご意見をいただきましたので、次回ご紹介いたしたく存じます。</p><p style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳</p>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-13030159834365874752021-10-08T22:36:00.000+09:002022-03-08T22:37:20.402+09:00【第163回】リケジョ(理系女子)は増えたのだろうか?<p> </p><h4 style="text-align: center;"><span style="color: red;">~ 理系のジェンダー・ダイバーシティの実現を! ~</span></h4><img alt="" class="size-medium wp-image-493" height="338" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/10/5c9c2ceb993f6432766b2bc0c1242eb6-600x338.jpg" width="600" /> <div>日本科学未来館<p>今年,日本科学未来館に女性の館長が誕生しました。2代目館長となったのは<strong>浅川智恵子氏</strong>です。初代館長は開館以来館長を務めてきた宇宙飛行士の毛利衛氏。2006年ロボカップ世界大会に出場したトゥルースの生徒たちが毛利館長を表敬訪問したことも遠い記憶となりました。日本人女性として初めてIBMの最高技術職である「フェロー」に務めていた浅川智恵子氏は,事故がもとで中2の時に失明。IBMではインターネット上の情報を音声で読みあげるソフトを開発するなど、視覚障害者の生活を支える機器やサービスの開発を続けてきたそうです。就任にあたり,2030年に向けて「あなたとともに『未来』をつくるプラットフォーム」というビジョンをまとめ,多様な人たちとともにアイデアやイノベーションを生み出す基盤になることを目標に掲げました。「ダイバーシティー(多様性)」と「インクルージョン(包括性)」の重要性を強調しています。 第一歩として、人工知能(AI)を搭載して視覚障害者を誘導する案内ロボット「AIスーツケース」を館内に導入することをめざしているそうです。(9/7朝日新聞)</p><p>また,日本の女子高生が留学先のイギリスで,プログラミングコンテストで優勝するという朗報が入りました。<strong>菅野楓さん(18才)</strong>。2013年,10才からプログラミングを学びはじめ,同年にアプリ「元素図鑑」が当時小学生初となる史上最年少で「U-22プログラミングコンテスト」入賞。2017年、同コンテストで経済産業大臣賞受賞し,さらに未踏ジュ二アスーパークリエーターに認定。2018年、孫正義育英財団1期生に採択され,コンピューティング・スカラシップでイギリスに留学。2019年、アジアのアプリ開発コンテスト「AppJamming Summit」に日本代表選手として出場し、中学生部門2位とMostCreative賞のW受賞。2020年、パックツアーコンサルティングシステムの開発が、未踏IT人材発掘・育成事業に採択され,グローバルサイエンスキャンパス(GSC)全国受講生研究発表会で優秀賞受賞。2021年、イギリス最大の若者向け科学技術コンテスト「The Big Bang Competition 」で優勝(UK Young Engineer of the Year 2021)し,まさに大活躍しています。現在は,自然言語処理などの技術を活用し、言語や文学、旅行など興味分野への研究を続けているそうです。</p><p>このように女性の科学技術分野の活躍についてのニュースは最近増えましたが,一方で国内の大学におけるジェンダー・ギャップがなかなか縮まらないという指摘があります。朝日新聞と河合塾による今年度の「ひらく 日本の大学」調査では,女性教員の割合は16%,助教32%,准教授26%。教授18%と,職位が上がるほど女性の比率は低くなり,副学長は15%,学長は13%にとどまるそうです。OECDが9/16に発表した2021年版「図表でみる教育」によると,高等教育で工学・製造・建築を専攻する新入生の女性比率は16%(19年)で、OECD加盟国で最低(平均は26%)。高等教育における女性教員比率は28.4%で、これも加盟国で最低(平均は44.2%)でした。内閣府男女共同参画局が行っている「理工チャレンジ」や,国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が次世代人材育成事業として行っている「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」などはあまり成果を出しておらず,女子学生の比率は01年年度調の工学部10.3%・理学部25.3%からこの20年間ほぼ変わっていないようです。</p><p>国際連合教育科学文化機関(UNESCO)の報告では,<strong>学習者・家族及び周囲の人・学校・社会が有機的にジェンダー・ギャップの課題に取り組むことが必要であり,特に子どもの段階でSTEM に関する自己効力感(self-efficacy)をつけることが重要</strong>であり、そのためには親や周囲の人が偏見や固定観念に基づき否定的な声掛けや行動をせず、STEM への興味を持続するように十分留意する必要がある,と指摘しています。</p><p>かなり以前ですが,トゥルースの視線(第76~78回)でも「『リケジョ(理系女子)』の時代到来?」というタイトルの文章を掲載しています。ぜひこちらもご覧ください。</p><p>視線【76回】<span style="color: #3366ff;"><a href="http://truth-shisen.blogspot.com/2013/03/blog-post.html" rel="noopener noreferrer" style="color: #3366ff;" target="_blank">http://truth-shisen.blogspot.com/2013/03/blog-post.html</a></span></p><p>視線【77回】<a href="http://truth-shisen.blogspot.com/2013/04/blog-post.html" rel="noopener noreferrer" target="_blank"><span style="color: #3366ff;">http://truth-shisen.blogspot.com/2013/04/blog-post.html</span></a></p><p>視線【78回】<a href="http://truth-shisen.blogspot.com/2013/05/blog-post.html" rel="noopener noreferrer" target="_blank"><span style="color: #3366ff;">http://truth-shisen.blogspot.com/2013/05/blog-post.html</span></a></p><p style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳</p></div>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-1827012236864222662021-09-08T22:34:00.000+09:002022-03-08T22:36:17.771+09:00【第162回】学習ツールとしてのデジタル<p> </p><h4 style="text-align: center;"><span style="color: red;">~ 家庭でどのようにデジタルと付き合ったらいいのか? ~</span></h4><p> </p><p>トゥルース・アカデミーは元々進学塾としてスタートしました。しかし、学ぶことそのものが目的ではなく手段になってしまっているのではないかという疑問が徐々に頭をもたげ、受験指導に違和感を覚えるようになり、様々な教育を模索し始めました。そんな中、ある一冊の本と出合いました。富山県内の公立小学校で教諭を勤めていた戸塚滝登氏の『クンクン市のえりちゃんとロゴくん』(ラッセルブックス)という本です。新任教員として赴任した戸塚氏が子供たちになかなか授業が受け入れてもらえず苦悩した末、パソコンを購入してプログラミング教育を始めました。その実践の中で描かれている先生と生徒との交流、生徒の成長の姿に感銘を受け、「プログラミング教育こそ今の教育を変えられるかもしれない!」を思い始めたのです。</p><p>これがLOGO(ロゴ)との出会いです。LOGOはマサチューセッツ工科大学の創設者の一人、人工知能の研究者として有名はシーモア・パパート教授(2016没)が子供の学習のために開発したプログラミング言語です。LOGOは、その後パーソナルコンピュータの父アラン・ケイが「Squeak(スクイーク)」に発展させ、続いてパパートの下で助教授を務めていたミッシェル・レズニック(現教授)が今世界的に流行している「Scratch(スクラッチ)」へと発展させました。コンピューターを搭載したレゴブロックが作れないか?というパパートの発想からレゴのロボットキット「Mindstorms(マインドストーム)」(この名は元々パパートの著書の題名)が誕生。しかし当時は、パソコンとロボットが有線でつながっていましたが、タフツ大学が計測系のプログラミング言語「LabView」をベースとしたソフトを開発し、ロボットがパソコンから自由に動けるようになり、「これだ!」と飛びつきました。そして、パパートの唱える「コンストラクショニズム(構築主義学習)」という教育理論に基づいたSTEM教育を実践する「レゴとロボット教室」を2000年にスタートさせました。</p><p>その頃、客員研究員としてMITメディアラボを目の当たりにしたNPO法人CANVAS代表の石戸奈々子氏は、教育に関心を持ち始めたそうです。石井氏は今年6月『<strong>賢い子はスマホで何をしているのか</strong>』(日経プレミアシリーズ) を出版し、「コンストラクショニズム」の考えを紹介し、「新しいものを生み出したいとき、これほど有効な道具はないからです。プログラミングは、論理性を育てるためのものではなく、むしろ創造・表現のためのツールなのです」と、プログラミング教育の必要性を説いています。また、デジタルの強みは「創造・効率・共有」にあると論を展開しています。この本では、学校教育にも触れていますが、家庭や親の関わり方の話にも及んでいます。「これからの時代、『学び合い」「教え合い」が重要になる』ので、学校の先生同様「親もファシリテーターになるとよい」、そして「『スマホに丸投げ』ではなく、ときには親も一緒になって 楽しむ。 面白いコンテンツであれば、親子の会話も自然と増えていきます」と。また、「時間制限をしない家庭の子のほうがスマホにしがみつくことが少ない印象」があり、「適度なバランスをたもつためには親子のコミュニケーションしかない」、フィルタリングは当然必要だが、「ネット上で起きる問題は決して特殊なものではなく、リアルな世界で起きている問題とさほど変わりがありません。大人の知見で解決できるものばかりです」と。</p><p>この本では、トゥルースでも使用している「Scratch」や「micro:bit(マイクロビット)」も紹介しています。それだけはなく、もはや「えほん」の世界を飛び越えていますが、『<a href="http://digitalehon.net/"><strong>デジタルえほん</strong></a>』アワード受賞作品の中で、「<a href="https://fantamstick.com/psg/map_alien">地図エイリアン</a>」や「<a href="https://fantamstick.com/psg/math">算数忍者</a>」、「<a href="https://toio.io/titles/gesundroid.html">工作生物ゲズンロイド</a>」など、学習に役立つアプリが数多く紹介されています。</p><p>家庭でどのようにデジタルと付き合ったらいいか、子供の学習にどう役立てたらいいかのヒントが得られるかと思います。ぜひ、ご一読なさってみてください。</p><p style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳</p>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-26220387755083327642021-07-08T22:03:00.000+09:002022-03-08T22:34:44.137+09:00【第161回】コロナから子供の心を守ろう!<p> </p><h4 style="text-align: center;"><span style="color: red;">~ コロナ禍が子供たちの心と夢に与える影響は? ~</span></h4><p> </p><p>東京オリンピックの開催が迫る中、東京の感染者数は増加に転じ、ワクチン接種も期待されたほど進んでおらず、東京都は4回目の緊急事態宣言は発出されることになりました。今回は、7/12~8/22と一か月以上に及び、東京オリンピック開催期間だけではなく、子供たちの夏休みのほとんど期間が含まれます。子供たちが楽しみにしている夏休み、そして素敵な思い出が残せるはずの夏休み―その夏休みに行動規制がかかることになります。子供たちの心にどんな影響を与えるのか、不安を感ぜざるを得ません。</p><p>新型コロナウイルスの流行が子供たちに及ぼす影響について国立成育医療研究センターがアンケート調査を行っています。今年2/19~3/31に行われた第5回調査報告では、<strong>「コロナのことを考えると嫌だ」が42%</strong>、<strong>「すぐにイライラしてしまう」が37%</strong>、<strong>「最近集中できない」が32%</strong>などとなり、<strong>何らかのストレスを感じているとみられる子供は全体の70%に上った</strong>ということです。</p><p><img alt="" class="alignleft wp-image-473" height="206" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/07/a1551b5a1fc942cf58be7fa63dbdfc2b-600x351.jpg" width="363" /></p><p> </p><p> </p><p> </p><p> </p><p> </p><p>また、日本語版「KINDL-R」尺度(子供のQOL[=quality of life]を評価する尺度)により身体的健康と精神的健康を測定したところ、第1回調査(昨年5月)と比べ、身体的健康は全般的に低下傾向にあり、精神的健康は小1~3は微増、小4~6は横ばい、中高校生は低下傾向にあります。同センターの半谷まゆみ医師は「1回目の調査から子どもたちのストレスの状態は改善していない傾向だ。コロナの影響が思った以上に長引き積もってきた負担が心や体の健康に響いてきている可能性がある。少しのサインも見逃さず子どもが困っていたら一緒に解決する方向に持って行くことが大切だ。」と述べています。しかし、「先生や大人への話しかけやすさ・相談しやすさ」については「減った」との回答が51%に及んでいます。「友達と話す時間」が「減った」との回答も46%に。</p><p>一方、「家族と話す時間」は、「減った」が42%、「増えた」が40%とどちらも増えていますが、保護者へのアンケートでは、53%が子供と過ごす時間が増えたと答えています。3/17に発表された第一生命保険の第32回<strong>「大人になったらなりたいもの」</strong>のアンケート調査結果(<span style="color: #3366ff;"><a href="https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2020_102.pdf" rel="noopener noreferrer" style="color: #3366ff;" target="_blank">https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2020_102.pdf</a></span>)では興味深い結果が出ました。<strong>小学男子は1位会社員</strong>・2位ユーチューバー・3位サッカー選手、<strong>小学女子は1位パティシエ</strong>・2位教師/教員・3位幼稚園の先生/保育士、中高生男子は1位会社員・2位ITエンジニア/プログラマー・3位公務員、中高生女子は1位会社員・2位公務員・3位看護師。小学男子で会社員が1位、女子でパティシエを選んだ理由として、第一生命保険は、男子は「コロナ禍でリモートワークが進む中、自宅で仕事をするお父さん・お母さんの姿を目の当たりにし、会社員という職業を身近に感じた子どもが多かったのかもしれない」、女子は「コロナ禍のステイホーム期間に家族とお菓子作りを楽しんだ子どもたちも多かったのではないか」と推察しています。コロナ禍は子供の夢の変化にも影響を与えているようです。</p><p>コロナ禍でストレスを感じているのは日本の子供たちだけではありません。WEBサイト<strong>「新型コロナウイルスから子どもの心を守る。WHOから世界中の保護者たちへ」</strong>(<span style="color: #3366ff;"><a href="https://covid-19-act.jp/parenting-who/" rel="noopener noreferrer" style="color: #3366ff;" target="_blank">https://covid-19-act.jp/parenting-who/</a></span>)では、WHO(世界保健機関)が世界の保護者に向けたアドバイスを発信しています『1対1の時間』『肯定的でいましょう』『新しい日課を作る』『悪い行い』『焦らずにストレスマネジメント』『新型コロナウイルスについて話をする』という6項目を分かりやすく解説しています。ご一読なさると何かの参考になるかもしれません。また、前述の国立成育医療研究センターでも、<strong>「第5回【コロナ×こどもアンケート】こどもが考えた『気持ちを楽にする23のくふう』」</strong>(<span style="color: #3366ff;"><a href="https://www.ncchd.go.jp/center/activity/covid19_kodomo/report/cxc05_coping20210525.pdf" rel="noopener noreferrer" style="color: #3366ff;" target="_blank">https://www.ncchd.go.jp/center/activity/covid19_kodomo/report/cxc05_coping20210525.pdf</a></span>)を公開しています。子供たちがどのようにストレスを発散しているのかを知ることも、子供と接するときのヒントになるかもしれません。</p><p> </p><p>トゥルース・アカデミーは例年通り、「夏休みサイエンス講座(夏期特別授業)」(<span style="color: #3366ff;"><a href="http://truth-academy.co.jp/2021summer/" rel="noopener noreferrer" style="color: #3366ff;" target="_blank">http://truth-academy.co.jp/2021summer/</a></span>)を開催し、科学・算数・工作・レゴ・ロボット・プログラミングと多彩な内容をラインナップして、子供たちが生き生きと楽しく学ぶ場を提供します。周りに興味のあるお友達がいらしたら、ぜひお誘いください。一人でも多くの子供たちに私共の授業を届けられたらと願っております。</p><p style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳</p>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-56635959924147027702021-06-08T22:31:00.000+09:002022-03-08T22:33:14.383+09:00【第160回】宇宙のロマン ~ 白熱化する火星探査レース ~<p> </p><h4 style="text-align: center;"><span style="color: red;">~ 白熱化する火星探査レース ~</span></h4><p> </p><p>去る5/26の夜8時過ぎ、夜空を見上げた人は多かったのではないでしょうか?月面の全体に地球の影が落ちる「皆既月食」と、今年で地球に最も近く大きな満月となる「スーパームーン」とが重なる珍しい機会で、日本では24年ぶり。しかし、東京の空は曇って残念ながら見られませんでした。6/11、日本では見られませんでしたが、日の出と日食が重なり、三日月のように欠けた太陽が水平線に出現したのを北半球では見られたところもありました。5/26、観測史上最古となる124億年前の渦巻き構造を持つ銀河を発見したことを国立天文台などの研究グループが発表したと報じられました。</p><img alt="" class="size-full wp-image-467" height="275" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/06/c29dbf0959d521cd93f7740c225fd11f.png" width="365" /> <div>欠けた太陽の日の出<p>宇宙にロマンを感じる出来事は、天体ショーや新発見ばかりではありません。宇宙に行くことにもロマンを感じます。国際宇宙ステーション(ISS)で5カ月半の滞在を終えた野口聡一さんら4人の飛行士を乗せたスペースX社の宇宙船「クルードラゴン」が5/2地球に無事帰還しました。これに先立ち4/28には星出彰彦さんが日本人2人目のISS船長に就任。ロシアの宇宙機関ロスコスモスは5/13、ZOZOの創業者・前澤友作氏が12/8にソユーズ宇宙船でISSに出発する予定だと発表。アマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏は6/7、自らが創業した宇宙開発企業ブルーオリジン初の有人宇宙船「ニューシェパード」に搭乗して7/20に宇宙旅行に出発する計画を発表し、弟のマーク・ベゾス氏も同乗し、5歳からの夢を叶えると言います。</p><p>そのような中、<strong>火星探査レース</strong>が過熱化しています。火星探査レースは1960年代からスタート。2004年に降り立って火星表面を移動しながら探査活動を始めた米国の「スピリット」と「オポチュニティ」というローバー(探査機)はインパクトがあり、当時教室でもレゴのロボットを使った「火星探査ミッション」という活動を行いました。その後、2007年に「フェニックス」、2012年の「キュリオシティ」が着陸し、火星の生命の痕跡や可能性の追求を続けています。</p><p>そして、2020年夏には、火星探査機が3機、打ち上げられました。NASAの「マーズ2020」と、アラブ首長国連邦(UAE)の「HOPE」と、中国の「天問1号」 です。マーズ2020は、今年2月に<strong>「パーサヴィアランス」ローバー</strong>を着陸させました。これには<strong>火星初のヘリコプター</strong>となる「インジェニュイティ」が搭載されており、「パーサヴィアランス」が中継するコマンドを受信して自律飛行を行います。日本もJAXAの研究グループが火星探査用ドローンを設計し、2030年代に火星探査での実用化を目指すとのこと。NASA火星ヘリコプターの3倍以上の距離を飛べるそうです。中国「天問1号」は火星を回る軌道に探査機を投入し、火星に着陸させ、さらに今後、探査車で地表を走らせるという三つのミッションに一気に挑むとのこと。NASAですら大気圏突入から着陸までを「恐怖の7分間」と表現していますので、その技術の高さに驚かされます。UAE「HOPE」は昨年7月に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた三菱重工業のH2Aロケット42号機に積載されて軌道に投入された後、火星に向かいました。UAEは100年後の2117年までに、火星上に人類が居住できる最初の都市を建設し、国民の60万人を移住させるという壮大な計画を掲げています。日本の計画としては、「火星衛星探査ミッション」があり、2024年9月打ち上げ、2025年に火星周回軌道へ投入して火星衛星の擬周回軌道に入り、火星の月フォボスに於いてサンプルを採取、2029年9月に地球帰還する予定です。また、インドの2機目となる火星探査機MOM-2も2022年に計画されています。</p><div><br /></div><img alt="" class="size-medium wp-image-466" height="315" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/06/8df91c87d23041f6c8c3a0e566c32854-600x315.jpg" width="600" /> <div>パーサヴィアランス</div><div><img alt="" class="wp-image-465 size-medium" height="315" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/06/02e4f493814e25d99c636384c85dcd85-600x315.jpg" width="600" /> <div>インジェニュイティ</div><div><span style="color: #333333; font-size: 1rem;"><br /></span></div><div><span style="color: #333333; font-size: 1rem;">宇宙にロマンを感じる一方、軍事利用や鉱物などの資源開発、宇宙ゴミなどの問題が切実さを増しています。地球上で抱える問題を宇宙にまで拡大することのないよう、むしろ地球の問題を有効に解決できるよう、開発の方向性をかじ取りする必要があるようです。</span><p style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳</p></div></div></div>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-82250176960454672072021-05-08T22:28:00.004+09:002022-03-08T22:31:14.385+09:00【第159回】未来都市とはどんな姿?<p> </p><h4 style="text-align: center;"><span style="color: red;">~ トヨタ「ウーブンシティ」プロジェクトがスタート ~</span></h4><p>昔から未来の夢の一つとして「未来都市」という言葉はよく使わ れていますが、最近は現実的な意味を帯びてこの言葉をよく聞きます。</p><p>『<strong>SDGs未来都市</strong>』。これは、「SDGs達成のため積極的に取り組 む都市」として内閣府地方創生推進室に選定された都市のこと。 もともとは日本を低炭素化社会に転換するため、温室効果ガス の削減などに対する取り組みが評価された自治体が選出される 『環境モデル都市』(2008~)に、環境・超高齢化対応等に向け た、人間中心の新たな価値を創造する都市であるという要素が 加わり,『環境未来都市』に(2010)。そして、首都圏への人口の 一極集中を改善し、それぞれの地域で住みやすい環境を確保 することで、日本の活力維持につなげることを目的とした『地方創生』が言われ始めました(2014)。これらが複合されて『SDGs未来都市』の募集が始まったのです(2018~)。以来、SDGs未来都 市には毎年30前後の自治体が選定されています。また、SDGs未 来都市のなかでも特に先進的な取り組みをする都市は、『自治体SDGsモデル事業』として選定されます(年間10件)。</p><p>『SDGs未来都市』は、SDGsが達成される未来の創造に画期的 な取り組みをしている自治体を指しているので、「未来に出現する都市そのもの」ではありません。一方、「未来の都市そのものの姿を創造しよう」というのが、<strong>トヨタの未来の実証都市『ウーブンシティ(Woven City)』</strong>プロジェクトです。『ウーブンシティ』は、昨年1月7日、ラスベガスで開催される世界最大規模のエレクトロニクス 見本市「CES 2020」で発表されました。場所は、昨年末に閉鎖さ れたトヨタ東富士工場(静岡県裾野市)の跡地。東京ドーム約15個分に値する175エーカー(約70.8万m2)の範囲で街づくりになり ます。そして、今年2月23日に地鎮祭が行われ、造成工事が本格的に始まりました。2025年までに高齢者や子育て世代の家族 、研究者などを中心に360人程度、将来的にはトヨタ従業員を含む2千人以上が暮らす予定です。</p><img alt="" class="size-medium wp-image-458" height="315" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/05/2e41612149cf0ac07a97f10acef8d40d-600x315.jpg" width="600" /> <div>ウーブン・シティのイメージ<p>このプロジェクトの目的は、ロボット・AI・自動運転・MaaS(バス、 電車、タクシーからライドシェア、シェアサイクルといったあらゆる 公共交通機関を、ITを用いてシームレスに結びつけ、人々が効 率よく、かつ便利に使えるようにするシステム)・パーソナルモビリ ティ・スマートホームといった先端技術を人々のリアルな生活環境の中に導入・検証出来る実験 都市を新たに作り上げること。まさに、スマートシティです。</p><p>「ウーブンシティ」は、日本語に直訳すると「編まれた街」。これは、①スピードが速い車両専 用の道として、完全自動運転かつゼロエミッションのモビリティのみが走行する道 ②歩行者とスピードが遅いパーソナルモビリティが共存するプロムナードの ような道 ③歩行者専用の公園内歩道のような道 の3種類の 道が、網の目のように織り込まれたデザインに由来しています。 地下にも物流用の自動運転車走行道を設置する計画。街の建物は主にカーボンニュートラルな木材で建設、屋根には太陽光発電パネルを設置するなど、環境との調和やサステイナビリティを前提とした街づくりが基本。住民には、室内用ロボットの他、AIで健康状態をチェックするなど、日々の暮らしの中に先端技術を取り入れます。また、街の中心や各ブロックには、住民同士のコミュニティ形成やその他様々な活動をサポートする 公園や広場も整備されるそうです。</p><img alt="" class="size-medium wp-image-459" height="400" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/05/9264227c08056b6feaba86b19824e91f-600x400.jpg" width="600" /> <div>自動運転EV「e-Palette(イーパレット)」<p>今のところ、パートナー企業としては,NTTが「スマートシティ プラットフォーム」を構築し、自動運転技術などを搭載したトヨタ の「CASE車」とNTTの5G(第5世代移動通信方式)、IoT(モノの インターネット)技術を融合。5月10日、ENEOSをコアパートナーに迎えて、水素エネルギーの利活用について検討を進める と発表。ウーブンシティ内に定置式の燃料電気(FC)発電機を設置し、ウーブンシティおよびその近隣における物流車両の燃料電池化の推進を目指すだけでなく、水素需要の実用化に向けての検証および需給管理システムの構築といった目的も兼ねているとのこと。既にトヨタとパナソニックは2019年、街づくり事業に関する新会社を設立しています。まさに日本企業が一丸となってこのプロジェクトを推進していくようです。これよって、 開発のスピードアップが期待されます。</p><p>今の子供たちが大人になった時、どのような街に住んでいるのでしょうか?どのような街を創造していくのでしょうか?</p><p style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳</p></div></div>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-68464724869780406582021-05-08T22:19:00.000+09:002022-03-08T22:22:08.614+09:00【第158回】水素燃料電池の可能性<h3 style="text-align: left;"> <span style="color: red; text-align: center;">~ 新しい時代を作るためのイノベーション ~</span></h3><p>昨年から始まったコロナ禍は今年に入っても勢いが止まらず、変異株の蔓延が問題となっています。東京も再び日々感染者数の増加傾向になり、昨年の緊急事態宣言と同等かそれ以上のより厳しい措置が発動されつつあります。</p><p>思えば昨年世界ではロックダウンなどにより、経済活動がストップしました。その時皮肉にも「大気汚染が深刻なインドで数十年ぶりにヒマラヤが見えた」「イタリアのベネチアで緑色に濁っていた運河の水が透明になった」など、一時的に環境の改善が見られました。2019年9月23日にニューヨークで行われた国連気候行動サミットで、グレタ・トゥーンベリさんが「大絶滅を前にしているというのに、あなたたちはお金のことと、経済発展がいつまでも続くというおとぎ話ばかり」「私はあなたたちを絶対に許さない」と抜本的な改革を起こさない大人を痛烈に批判したことも、コロナ禍が始まり今や遠い過去のことのように感じられるかもしれません。しかし、<strong>コロナ後、人類が取り組む最大の問題は『気候変動』</strong>であると言われています。昨年菅首相は就任後、2050年までに温室効果ガス排出を全体としてゼロにする(2050年カーボンニュートラル)脱炭素社会の実現を目指すことを宣言し、バイデン新大統領となったアメリカは地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」に復帰したことを見ても、今や気候変動問題に取り組むことが国家戦略の重要な一つになっていることが分かります。</p><p>太陽光・風力・地熱・バイオマスなど様々なクリーンエネルギーが研究されています。ミドリムシ由来の油脂と使用済み食用油などでバイオディーゼル燃料を製造し、この4月からいすゞ自動車がシャトルバスで使用を開始するという事例もあります。中でも注目は<strong>水素燃料電池</strong>です。これは、「水素」と空気中の「酸素」を反応させて電気を起こす画期的な発電システムで、排出されるのは水だけです。原理は、簡単に言えば「水の電気分解」を逆にしたもの。水素の持つエネルギーの83%を理論的には電気エネルギーに変えることができる(ガソリンエンジンの最高効率が40%程度)、高いエネルギー効率をもつクリーンエネルギーです。最新の燃料電池車であるトヨタMIRAIは満タン状態で850kmを走ることができ、「水素ステーション」でタンクを満タンにするまで5分~10分程度で済むそうです。</p><img alt="" class="size-medium wp-image-450" height="394" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/04/a5c4b82e1f152fcc2287a2f4cd70ed03-600x394.jpg" width="600" /> <div>水素化プラント外観<p>しかし、水素ステーションはまだ全国で130カ所強しかありません。大量の水素を入手する必要があります。水素は宇宙に存在する元素の約70%を占めるほど豊富にある物質ですが、単体では自然界にほとんど存在せず、地球上では水や化石燃料、有機化合物などの形で存在するので、そこから水素を取り出す必要があります。そこで、川崎重工が<strong>オーストラリアの「褐炭」</strong>という石炭の一種に目を付けました。現在国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「褐炭水素プロジェクト」も推進されています。褐炭は、石炭と同程度の埋蔵量があるとされ世界に広く分布していますが、水分量が50~60%と多いうえ、乾燥すると自然発火するという少々扱いづらい資源なので、輸送が難しく、採掘地付近で発電に使う程度しか用途がありません。ただ、非常に安価に入手できるため、もっとも経済的な水素製造方法の1つと言えます。日本の発電電力量の約4分の1は石炭火力であり、2019年COP25の会期中2度も温暖化対策に消極的な国に与える不名誉な賞「化石賞」を小泉環境大臣に与えるなど、国際社会から批判されてきましたが、石炭から水素というクリーンエネルギーを取り出すとは!と大変驚きました。中でも日本の総発電量の240年分の褐炭が眠るとされるビクトリア州で、水素の採掘から製造、液化、輸送、そして、国がロードマップのフェーズ3で掲げるCCS(CO2の回収・貯留)までをトータルで行う『CO2フリー水素チェーン』を、現地政府と一緒に推進しているとのことです。2019年<strong>世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」</strong>の命名・進水式を行いました。水素を液化して800分の1の体積にして零下253度で日本へ運ぶそうです。</p><div><br /></div><img alt="" class="size-medium wp-image-449" height="340" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/04/0ecd41d3b508df8fe191b17a4ec271d6-600x340.jpg" width="600" /> <div>液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」進水式<p>やはり新しい社会を創り出すには「イノベーション(革新)」が必要です。革新的なものを生み出す能力のある人間に育つよう、多様なものの見方や考え方、創造力、問題解決力を育てるTruthの教育が資することができれば幸いです。</p><p style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳</p></div></div>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-85041052400558751002021-03-08T22:17:00.007+09:002022-03-08T22:28:47.591+09:00【第157回】教育用レゴブロックの歴史<p> </p><h3 style="text-align: center;"><span style="color: red;">~ MITから生まれた教育を次につなげよう! ~</span></h3><p>トゥルース・アカデミーは、2000年に日本における第1期のレゴとロボットの教室を開講し、メカニズムとプログラミングを中心するSTEM(科学・技術・工学・数学)教育を行っております。この20年間、使用している教育用レゴブロックは度々変遷してきました。</p><p><span style="font-size: 1rem; font-style: italic;">●ブロックビルダー(BB)Ⅰ・Ⅱ・Ⅲで使用している「アーリーストラクチャー」は、2015年に販売終了。</span></p><div><br /></div><img alt="" class="wp-image-431" height="196" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/03/49fd73070c2e8970aa44dcf0bbaea36d.jpg" width="285" /> <div>アーリーストラクチャー<p>●キッズクリエータ―(KC)Ⅰで使用している「アーリーシンプルマシン」は、他の教材が変遷する中、開講当初から変わらず販売されてきましたが、昨年12月末に廃盤。デュプロサイズでメカニズムを直感的に学べるとても優れた教材がなくなることはとても残念です。</p><div><br /></div><img alt="" class="wp-image-432" height="138" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/03/785c67607f8bd834733b4627429d535c.jpg" width="247" /> </div><div>アーリーシンプルマシン<p>●KCⅡでは、開講当初は「ミニセット」というテコ・車輪と車軸・歯車・滑車の4部門がそれぞれのセットになっていたものを使用していましたが、一時廃盤になり、その後現在使っている「シンプルマシンセット」にリニューアルし、ミニセット4セットが1つにまとめられました。シンプルマシンセットも昨年12月末に廃盤となりました。</p><div><br /></div><img alt="" class="size-full wp-image-433" height="189" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/03/b8d572f292fc5461e6ebed5c4e90ffe2.jpg" width="284" /> </div><div>シンプルマシンセット<p>●KCⅡで使用している2012年に発売されたロボティクス導入教材「WeDo1.0」は、16年WeDo2.0としてリニューアル。BluetoothでiPadからロボットにプログラムが送れるようになりました。</p><p>●ジュニアエンジニア(JE)Ⅰ・Ⅱでは、当初「シンプル&パワード」というポッチ付きビームを中心としたセットでしたが、2009年に今の「サイエンス&テクノロジー」にリニューアル。ポッチのないビーム中心になりました。そして、これも昨年12月末で廃盤。</p><div><br /></div><img alt="" class="wp-image-434" height="239" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/03/96e095efa11bc10ce0e4b7ba2a79c611.jpg" width="347" /> </div><div>サイエンス&テクノロジー<div><p>●ジュニアインベンター(JI)で使用している、「空気力学セット」と「エネルギーセット」は、10年に発売され、19年に廃盤。</p><p>●ロボットサイエンスでは、98年に発売されたMindstormsが、RCX→NXT→EV3と3代続き、今年6月でその歴史に幕を閉じます。</p><p>現在Truthで使用している教材がすべて廃盤となります。引き続き発売されるWeDo2.0に加え、「BricQ モーションベーシック」(6歳以上)と「BricQ モーションプライム」(10歳以上)が今年1月に新発売となりました。</p><img alt="" class="wp-image-439" height="379" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/03/BricQ-441x400.jpg" width="418" /> </div><div>BricQ<p>どちらもベーシックサイズの小さなブロックで、テクニック系のパーツが多いセットです。ブロックサイエンスで使用している教材の後継教材に当たります。どちらも家庭用学習教材が別売されます。</p><p>ロボット教材は、昨年発売開始した「<strong>SPIKEプライム</strong>」が主流になります。これまでのMindstormsは計測系のプログラミング言語LabVIEWをベースにし、データロギングもできましたが、SPIKEプライムはScratchでプログラミングするため、利用範囲は狭まるようです。また、Mindstormsに対応したサードパーティーのセンサー類が豊富にありましたが、まだSPIKEプライムに対応したものは見当たりません。そのため、これまでTruth生が参加できるロボットコンテストも比較的易しいものに限定される恐れがあります。</p><div><br /></div><img alt="" class="wp-image-435" height="290" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/03/24c9d249c1cd3e6eeae06de780c8a870.png" width="333" /> </div><div>SPIKEプライム<p>レゴ社が提供する新教材のカリキュラムは、WeDo2.0同様、どれもプロジェクト中心になっていて、これまでのようにメカニズムの研究を通して物理の世界を体験する、とはいかないようです。SPIKEプライムのプログラミングも予めプログラムが用意され、課題に沿ってプログラムの一部を変更して学習するようになっているので、体系的にプログラミングを学ぶ構成にはなっていないようです。<strong>レゴエデュケーションの教育は、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボが開発したカリキュラムと、レゴ社と共同開発した教材から始まりました。</strong>新教材が発売されるたびに、MITカリキュラムから遠退き、学問的な要素が失われていく気がします。</p><p>Truthでは当面1~2年は現在の教材を使用し、<strong>この間に新教材を使ったカリキュラム開発を行って、この教育の原点であるMITカリキュラムを活かしたTruthオリジナルカリキュラムをご提供する</strong>予定です。SPIKEプライムも、対応したサードパーティーのセンサー類が充実した段階でこれに切り替えたいと思っております。さらなるTruthの挑戦にご期待ください。</p><p style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳</p></div></div>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-53720109245537164872021-02-08T22:15:00.000+09:002022-03-08T22:16:57.885+09:00【第156回】スマホが脳をハッキングする<p> <strong style="text-align: center;"><span style="color: red;">~ 集中力こそ現代社会の貴重品 ~</span></strong></p><p><img alt="" class="alignleft size-medium wp-image-417" height="400" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/02/6dc5016e32ffde615c2f45b5ae5ab992-566x400.jpg" width="566" /></p><p> </p><p><strong><em>― Facebookの「いいね!」の開発者は、「SNSの依存性の高さはヘロインに匹敵する」と発言し、自らFacebookへのアクセス時間を制限した。スティーブ・ジョブズはiPadをわが子に与えるかを問われて「そばに置くことすらしない」と答えた。ビル・ゲイツは子供が14歳になるまでスマホは持たせなかった。―</em></strong></p><p>コロナ禍にあり、テレワークやオンライン授業が盛んに推奨されている中、こんな衝撃的な事実を紹介したのは、昨年11月に刊行され今世界的ベストセラーになっている<strong>『スマホ脳』</strong>。著者は、『一流の頭脳』で一躍世界的評価を受けたスウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンです。中でも衝撃を受けたのは教育大国として知られるスウェーデンの教育界。学校からの著者への講演依頼が急増、彼の提案する改善メソッドを現場に取り入れる学校が日に日に増えているそうです。</p><p>彼は、「大人は1日に4時間を、10代の若者なら4~5時間をスマホに費やす。この10年に起きた行動様式の変化は人類史上最速。現代社会は人類の歴史のほんの一瞬に過ぎず、地上に現れてから99.9%の時間を人間は狩猟と採集で暮らしてきた。人間の『脳』は今でも狩猟採集時代の生活様式に最適化されている。現代社会と人類の歴史のミスマッチが重要な鍵である」と言う。なぜチャットの通知が届くとスマホを見たい衝動にかられるのか?なぜ人はリンクを思わずクリックをしてしまうのか?SNSはお金儲けのためにいかに巧妙に私たちの脳をハッキングしているか?なぜネット社会ではフェイクニュースの方が正しいニュースより多く、拡散速度も速いのか?なぜスマホがポケットに入っているだけで集中力が阻害されるのか?なぜスマホを過剰に使うと、ストレスがたまったり睡眠不足になったり、健康に壊滅的な影響を与えるのか?そして、なぜ周囲の人に関心を持てなくなるのか?…様々な調査結果を基に脳科学の観点からそのメカニズムを解き明かしています。</p><p><strong>「基本的にすべての知的能力が、運動によって機能を向上させる。集中できるようになるし、記憶力が高まり、ストレスにも強くなる。長期記憶を作るには集中が必要であり、固定化するプロセスは睡眠中に行われる」</strong>という科学的根拠を基に、「睡眠、運動、そして他者との関りが精神的な不調から身を守る3つの重要な要素」「本当の意味で何か深く学ぶためには、集中と熟考の両方が求められる」と述べ、『第7章バカになっていく子供たち』では、衝動に歯止めをかける前頭葉は成熟するのが最も遅く、子供や若者のうちは未発達なためデジタルなテクノロジーをさらに魅力的なものにし、興奮を感じさせるドーパミンの量が多い10代は依存症のリスクが高くなると警告しています。そして、<strong>「子供たちが能力を発揮するためには、毎日最低1時間は身体を動かし、9~11時間眠り、スマホの使用は1日 最長2時間まで」</strong>と提言します。</p><p>また、持論を裏付ける様々な研究成果を紹介しています。2歳児は本物のパズルをすることで指の運動能力を鍛え、形や材質の感覚を身につける。そういった効果はiPadでは失われてしまう。就学前の子供を対象にした研究では、手で、つまり紙とペンで書くという運動能力が、文字を読む能力とも深く関わっているのが示されている。小学校高学年の半数に紙の書籍で短編小説を読ませ、残りの半分にはタブレット端末で読ませた。その結果、紙の書籍で読んだグループの方が内容をよく覚えていた。米国小児科学会は「衝動をコントロールする能力を発達させ、何かに注目を定めて社会的に機能するためには、遊びが必要だ」と指摘している。小児科医の専門誌も、普通に遊ぶ代わりにタブレット端末やスマホを長時間使っている子供は、のちのち算数や理論科目を学ぶために必要な運動技能を習得できないと警告している。…等々</p><p>これからますますデジタル機器が生活における存在が増していく中、自分の身は自分で守れるよう、子供たちの健全な体と頭脳を育てられるよう、流れに身を任せるのではなく、一歩立ち止まってデジタル機器との付き合いを考える必要性を痛感しました。ぜひご一読を。</p><p>【参考文献】『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン著/久山葉子訳(新潮社)</p><p style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳</p>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-20338698060057855662021-01-08T22:14:00.000+09:002022-03-08T22:15:43.305+09:00【第155回】2021年 新年のご挨拶~パンデミックという歴史の真只中に生きる<p> <strong style="text-align: center;"><span style="color: red;">~ パンデミックという歴史の真只中に生きる ~</span></strong></p><img alt="" class="size-full wp-image-403" height="372" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/01/29698188ea7c4e369dd0265e0824d177.jpg" width="582" /> 2020年希望を与えたはやぶさ2[/caption]<p><span style="font-size: 1rem; font-style: italic;">2020年はコロナに始まり、コロナに終わりました。東京都は大晦日に2,447人の感染者を記録し、年が明け、1/7に2度目の緊急事態宣言が発出され、2021年はさらに深刻なコロナ禍で幕を開けました。</span></p><p>1/16時点で世界の感染者数は93,844,190人 死者2,008,548人に達しています。14世紀のペストや第一次世界大戦時のスペイン風邪のような、歴史に刻まれるパンデミック(世界的大流行)が頭をよぎります。ペストをきっかけに農奴に依存した荘園制の崩壊が加速、当時の教会の権威が失墜し、中世という時代が終焉を迎えます。そして、ルネサンスを迎えて文化的復興を遂げ、強力な主権国家を形成する近代が生まれたのです。パンデミックは時として大きく歴史そのものを変えることがあります。この新型コロナウイルス感染症のパンデミックが今後どのような軌跡をとるのかは分かりませんが、パンデミックがさらに遷延すれば、私たちは、私たちが知る世界とは全く異なる世界の出現を目撃することになるかもしれません。私たちは今まさにその歴史の真只中に生きているのです。</p><img alt="" class="size-medium wp-image-406" height="338" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2021/01/b1bef6124e6d04f8c69051b6c32fc037-600x338.png" width="600" /> <div>世界の感染者状況<p>敗戦の1945年を起点とした場合、75年経った時点が2020年、逆に75年遡ると1870年。五箇条の御誓文が発表されて、元号が明治に変わった明治維新が、その2年前の68年。戦後国家と戦前の明治国家がほぼ同じくらいの時間になります。1/4日経新聞に掲載された、同紙論説フェローの芹川洋一氏「2021年から始まる日本」では、コロナによってコペルニクス的転回とも言えるくらい世の中が変わり、我々自身も行動様式の変容を迫られた2020年は歴史的転換期と捉え、近現代史における周期説を紹介しています。</p><p>まず代表的な「15年周期説」。■1915~30年=大正デモクラシー■31~45年=軍国主義■46~60年=戦後民主主義■61~75年=高度成長■76年~90年=低成長。氏はこれを以降に当てはめます。■91年~2005年=バブル崩壊後の「失われた」期間。国際的にはグローバル化の進展■06~20年=逆に振れた時代。経済は再生を目指し、政治は制度改革を行い、反グローバリズム化が加速。そしてコロナですべてが停止状態に陥る。</p><p>次に「25年単位説」。●1870~95年=開化と国家建設●95~1920年=帝国主義列強化と階級闘争●20~45年=経済恐慌と戦争●45~70年=復興と成長●70~95年=豊かさと安定●95~2020年=衰退と不安、と位置付けています。親と子の平均的な時間距離である25年が世代の間隔というのが、この見方の根拠になっているとのこと。また、資本主義経済では25年の上昇局面と25年の下降局面を持つ50年周期がこれにかぶさって長期波動と世代間隔の共振作用が起き、2020年がその節目だとすると、日本は今後25年間次なる段階に入ることになる。</p><p>芹川氏は、75は15と25の最小公倍数であり、歴史の切れ目には因縁めいたものを感じると述べています。「25年単位説」を唱える東大大学院情報学環の吉見俊哉教授は、「<strong>このままでは先がないと思ったときに初めて構造転換が起こり社会が変わる。</strong>コロナは黒船だと思ったらよい」と。</p><p><span style="color: #333333; font-size: 1rem;">コロナによって社会の格差が浮き彫りとなり、民主主義の後退、資本主義の行き詰まりが懸念されている現在、私たちはどこに向かって進んでいくのでしょうか?そして、どのような新しい時代が開けてくるのでしょうか?今、私たちの身の回りで起きていることをつぶさに見続けなければならないと強く感じます。そして、Truthが今できることは、これからどのような時代になろうとも、子供たちが新しい時代の担い手としてより良い社会を築く素養を育てることだと痛感します。自分の目でしっかり見て、自分の頭で考えて、人と協力しながら問題解決し、新しいものを創造していく力を養うことです。芹川氏は言います。「</span><strong style="color: #333333; font-size: 1rem;">明治の人たちもたぶんそうだったように、ここは令和のわれわれも子や孫のためにも歯を食いしばって踏んばっていく―。</strong><span style="color: #333333; font-size: 1rem;">そんなしんどい時代だろう」と。しかし、子供を育てることは楽しいことです。子供たちの好奇心で輝く目をいつまでも見ていられるよう、常により良い教育の提供に精進したいと思います。</span></p><p><span style="font-size: 1rem;">明けましておめでとうございます。</span></p><p>本年もよろしくお願いいたします。</p><p style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳</p></div>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-61611835793489438252020-12-08T22:12:00.000+09:002022-03-08T22:13:59.625+09:00【第154回】コロナに負けるな!輝け!子供たち!<p> <strong style="text-align: center;"><span style="color: red;">~ コロナ禍で表面化した社会の脆弱さや矛盾 ~</span></strong></p><p>去る11/15、ショッキングなニュースが流れました。「子どもの自殺大幅に増加」。NHKは、「厚生労働省が発表した統計によると、小中学生と高校生の自殺者は今年4月から先月までで246人と、去年の同じ時期より58人、一昨年の同じ時期よりも42人多くなり、深刻になっている」と伝えています。</p><p>日本では長年にわたり、自殺者の多さが問題となっています。世界保健機関(WHO)によれば、日本の自殺率は世界で最も高い水準にあり、日本で自殺により死亡した人の数は人口10万人当たり18.5人と、世界平均の10.6人と比べるとほぼ倍の数になっています(2016年)。日本の自殺率が高い理由は複雑ですが、長時間労働、勉強や進学に関する圧力、社会的孤立、精神衛生上の問題を抱えることを恥とする文化などが、これまで要因として挙げられてきました。</p><p>このコロナ禍で、日本の10月の自殺者は2153人(警察庁)と前月から急増し、前年同月比で39.9%(614人)の増加。一方、新型コロナ死者の合計は、11/27時点で20187名(厚生労働省)。自殺者は年初以来のコロナの死者を上回ってしまいました。厚労省によると、2019年までの10年間で自殺者の数は減少傾向にあり、同年の自殺者数は約2万人で、1978年に統計を取り始めてから最も少なかったのですが、コロナ禍はこの流れを逆転させたようです。</p><p>自殺の増加は女性においてより顕著です。自殺者全体に占める割合では男性を下回るものの、今年10月、日本における女性の自殺は前年同月比で約83%増加。これに対し、男性の自殺は同22%の増加でした。非営利の国際的な支援組織CAREが世界の1万人以上を対象に実施した調査では、収入の不安に加え、家事や育児の負担が急激に重くなったこと、子供の健康に関する不安もまた、ストレスとして母親たちにのしかかっているようです。</p><p><img alt="" class="size-medium wp-image-395 alignnone" height="319" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2020/12/japan-record-suicide-oct-600x319.jpg" width="600" /></p><p>日本は主要7カ国(G7)中唯一、自殺が若者(15~39歳)の死因で最も多い国であり、厚労省によれば、20歳未満の自殺はコロナ禍が起きる前から増加傾向にあったとのこと。国立成育医療研究センターが子どもと保護者8700人以上を対象にネットで実施した最近の調査では、日本の学童の75%からコロナ禍に起因するストレスの兆候が見られたとの結果が出ました。子供たちは感染対策の一環で学校に通えず、社会活動にも参加できない時期がありました。また、家から出られず、友達とも自由に遊べず、ストレスのたまる生活を強いられる他、大量に出される宿題を片付けなくてはならないプレッシャーを感じる子供もいるそうです。精神科医の衞藤暢明氏は「コロナの影響とみられる自殺未遂や自傷行為をする人の診察が急増している。特に思春期に入って親や先生に相談しづらい年齢に入る子どもたちの状況は深刻で、早急に支援や相談の体制を構築する必要がある」と警告しています。</p><p>今回のコロナ化で、日本のみならず世界全体で社会の抱える問題が露呈したように思います。できるだけ子供たちにはコロナ以前の生活を取り戻してあげたいと思っても、感染者が急増している第3波の中、なかなか難しいかもしれません。しかし、「NESTロボコン」や「ロボカップジュニア2021東京・神奈川ノード大会」、「宇宙エレベーターロボット競技会オンラインカンファレンス」のように、例年と同じ形にはなりませんが、子供たちの活動の場を必死に確保しようと頑張っている大人たちもたくさんいます。一刻も早く子供たちがこれまで過ごしてきた当たり前の日常生活に戻り、幸せを感じ、輝く笑顔で過ごせるよう、私たちも自分ができることに日々精進しなければと痛く感じます。</p><p style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳</p>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-90908896841884752692020-11-08T22:11:00.000+09:002022-03-08T22:12:49.247+09:00【第153回】第1回「きぼう」ロボットプログラミング競技会<p> <strong style="text-align: center;"><span style="color: red;">~ Truth高校生チームが世界一に輝く! ~</span></strong></p><!-- wp:paragraph {"align":"center","customTextColor":"#fe050d","fontSize":"medium"} -->
<p><span style="font-size: 1rem;"><img alt="" class="size-medium wp-image-385 alignnone" height="400" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2020/11/6aa760f8e9964e4eb75b1bd3c8403180-569x400.jpg" width="569" /></span><span style="font-size: 1rem;"> </span></p>
<p><span style="font-size: 1rem;">国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、アメリカ航空宇宙局(NASA)の協力を得て、2020年10月8日(木)、『第1回「きぼう」ロボットプログラミング競技会(Kibo-RPC)』決勝大会を国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」船内で開催しました。日本代表として、<strong>Truth高校生2名を含むチーム「Hypernova(ハイパーノバ)」</strong>の3名がJAXA筑波宇宙センターからオンラインで参加、他国のチームはそれぞれの国から参加しました。アラブ首長国連邦(UAE)ではパブリックビューイングの前に多くの人が集まり、熱狂している様子が後日報じられています。</span></p>
<p>今回の予選には、オーストラリア、インドネシア、日本、シンガポール、台湾、タイ、UAEからの313チーム、1168名(オブザーバのバングラデシュも加え61チーム、1340名)が参加。決勝戦では、各国・各地域の予選を勝ち抜いた日本を含む7つの国と地域の代表チームの学生がオンラインで参加し、シミュレーション環境でのプログラミングスキルの高さによる順位を競うとともに、実際に作成したプログラムを使って、「きぼう」船内のロボットの飛行結果による順位を競いました。決勝戦は、MCが山崎直子宇宙飛行士、解説員は東京大学中須賀真一教授、油井亀美也宇宙飛行士、そして、ISS「きぼう」船内では、軌道上ではNASAのChris Cassidy宇宙飛行士がロボットの準備・競技運営を行いました。そうそうたるメンバーです。<img alt="" class="size-medium wp-image-387 alignnone" height="400" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2020/11/d872c1fc491f52f609a3c2b9ecbd1852-588x400.jpg" width="588" /></p>
<p>第1回Kibo-RPCのミッションは、「ロボットでISSを救おう!!!緊急警報が発動!!隕石が国際宇宙ステーションに墜落し、空気が漏れています。ロボットを操作して空気漏れを止める独自のプログラムを作成します」という想定。「きぼう」船内の飛行カメラロボット「Int-Ball」のサポートを受け、自由飛行ロボット「Astrobee」を操作し、レーザーを向けることによって漏れを止めるプログラムを作成して、ミッション達成までの時間とレーザー照射の正確さを競います。船内の離れた場所にある壁と床に張られたQRコードを読み取り、目標物の位置情報を取得して移動し続け、最後に目標物である的(アーチェリーの的のようなもの)にレーザーを照射する内容です。</p>
<p><img alt="" class="size-medium wp-image-388 alignnone" height="343" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2020/11/239db92cfe2a3791955118edf88e312b-600x343.jpg" width="600" /></p>
<p>Hypernovaは床のQRコードを読み取るのに時間がかかりましたが、順調にスムーズな軌道を描いて、最短時間で目標物まで到達。UAEチームは的の中心から近いところにも照射しましたが、一部外れたものもありました。それに比べ、Hypernovaは、照射した位置にほとんどブレがない正確性を発揮していました。Hypernovaはその結果、最高の賞となる「プログラミングスキル賞(Programming Skills Award)」に輝きました。解説者からは、「(ほとんどの参加者が大学生である中で)高校生が優勝したのは快挙であり、未来に希望がある」というコメントがありました。本人たちも当然、大喜び。とても難しいチャレンジでしたが、チームの皆が協力した成果です、と述べていました。</p>
<p><img alt="" class="size-medium wp-image-386 alignnone" height="400" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2020/11/b65f3fb9e8d26712e22f39286a281533-523x400.jpg" width="523" /></p>
<p>11/16(月)に宇宙飛行士の野口聡一さんが、米国の新型民間宇宙船「クルードラゴン」で国際宇宙ステーション(ISS)に出発します。「きぼう」でiPS細胞を使った実験やフィリピン、パラグアイの留学生と日本の学生が開発した超小型衛星の放出などを行うそうです。野口さんは、<strong>「昨日までできなかったことを今日挑戦するという繰り返しで人間は大きくなっていく。失敗した時のリスクは当然あると思うが、挑戦することで得られる成長の方が、恐れより上回っている。これが挑戦し続ける鍵になっている」</strong>「みんなに明るい未来を感じてほしいという大きな目標に向かって、一致団結して全集中で臨みたい。夢と希望を分かち合えるミッションにしたい」と述べています。</p>
<p>今回のHypernovaの挑戦も実に立派なことだと思います。そして、歴代のTruthの先輩たちもジャパンオープンや世界大会を目指して、大いなる挑戦をしてきました。今通っている生徒の皆さんも、このチャレンジ精神を忘れずに、大きく成長し羽ばたいてくれることを願っています。</p>
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph --><!-- /wp:paragraph -->トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-65466245039275967092020-10-08T22:10:00.000+09:002022-03-08T22:11:37.040+09:00【第152回】 日本の教育のICT化「GIGAスクール構想」<p> <strong style="color: red; text-align: center;">~ 個別最適化された学び ~</strong></p><!-- wp:paragraph {"align":"center","customTextColor":"#fe050d","fontSize":"medium"} -->
<p style="text-align: center;"><img alt="" class="alignleft size-medium wp-image-364" height="345" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2020/10/gigaschool-600x345.jpg" width="600" /></p>
<p> </p>
<p>今回の新型コロナウィルス感染症により、行政を含め日本のICT化が遅れていることが露呈してしまいました。特に、休業を要請された学校については、文科省の調査によると、一斉休校中オンライン授業を行っていた公立学校は、同時双方向型でわずか5%、授業動画を作ったのが10%だったとのこと。教育における格差も問題となっています。</p>
<p>政府は、「1人1台端末は令和の学びのスタンダード」と銘打ち『GIGAスクール構想』を打ち出しています。この「<strong>GIGA」とは、“Global and Innovation Gateway for All”の略、つまり1人1台端末によるオンライン授業は、すべての子どもにとって世界とイノベーションへの入り口となるという発想</strong>です。その目的を文部科学省は、「1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たち一人一人に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を実現する。これまでの我が国の教育実践と最先端のICTのベストミックスを図り、教師・児童生徒の力を最大限に引き出す」としています。教育の情報化に取り組んできた東北学院大学の稲垣忠教授は、「GIGAスクール構想を語るときに、最近は<strong>『誰一人取り残さない、個別最適化された学び』</strong>という表現が増えてきました。『誰一人取り残さない』には、不登校の子どもたちや、障害のある子どもたち、外国籍の子どもたちなども含まれるはずです。そう考えると、個別最適化は単に教室で子どもが1人1台の端末を使って何をするかということだけが、重要なのではなく、多様性を意識したうえで子どもたち一人一人のニーズに応えていこうとするものであり、もっと広い意味で捉えることが求められます」(総合教育技術2020年6月号)と述べています。</p>
<p>トゥルースも学習塾の時代には、コンピューターの問題データベースからテストや演習問題を作成し、間違えた問題のバーコードを読み取って類題を自動的にピックアップし出題するといった、個別に対応する学習システムを導入していました。しかし、ここで言う「個別最適化の学び」とは、どのようなイメージなのでしょうか?</p>
<p>奈良教育大学大学院教育学研究科の小柳和喜雄教授は、『学習ログ(註:学習履歴)を活用した個別最適化学習の取組の評価に関する試行研究』の中で、「ここで取り上げている個別最適化学習とは、『個人の認知と性向の特性を踏まえた支援を行うために、総合的なエビデンスとして、<strong>教育ビッグデータを収集し、分析し、子供の学びの状況を観察し、個々人に応じた学びの実現を支援する方法を用いた学習</strong>』を意味している」と述べています。</p>
<p>上智大学総合人間科学部の奈須正裕教授は、警鐘を鳴らします。「ICTで『個別最適化』を進めることには、危うさもはらみます。個別最適化に注目した時に、特にこれから活用されるのは「AIドリル」のようなAIを使った学びでしょう。一人ひとりの解答をAIが分析し、次に取り組むべき問題を自動で出題してくれます。情報を選択するプログラムがどうなっているかは、使う子どもや親、教師には見えない。これって不安じゃないですか。課題は「情報の推奨」です。個別最適化の『最適化』を誰が認定するのか。できるだけ情報をフラットに提供し、何がどう『最適』かは教師や子どもが選択する仕組みにするべきではないでしょうか。ICTだけでなく、いろんな道具を子ども自身が使いこなして、自分に必要な学びを効果的にできるようにする。<strong>ICTも『個別最適化』も、主役はあくまでも子どもであることを我々は忘れてはいけません</strong>」と。(10/6朝日新聞)</p>
<p>教育のICT化は今や必須であり、ビッグデータやAIの活用も積極的に行わなければなりません。しかし、これらはあくまで子供の学習や成長のための一つのツールです。教育本来の目的を見失わず、このツールを最大限に活かす知恵をこれから築かなければならないことを、改めて認識する今日この頃です。</p>
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph --><!-- /wp:paragraph -->トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-69479298688720593682020-09-08T22:09:00.000+09:002022-03-08T22:10:23.938+09:00【第151回】新型コロナウィルスとデジタル監視<p> <strong style="text-align: center;"><span style="color: red;">~ 個人の尊厳と自由を守るためには? ~</span></strong></p><!-- wp:paragraph {"align":"center","customTextColor":"#fe050d","fontSize":"medium"} -->
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph -->
<p>今回の新型コロナ感染症(COVID19)の対応は、感染拡大防止・経済活動・デジタル監視という3つの要素の中でどれを優先させるかによって、各国の対応が異なっているようです。ヨーロッパの国々やニュージーランドなどは早期にロックダウン(都市封鎖)を行い感染拡大防止を優先。アメリカやブラジル、スウェーデンなどは個人の自由を尊重し、経済活動はほぼ従来通り。中国や韓国、台湾などは、スマホ等を利用したITによる行動・健康状態監視により感染者を隔離し、必要に応じて移動規制。日本やオーストラリアは、緩い規制と啓発により、感染拡大防止と経済活動の両立を図ろうとしています。デジタル監視(ITを活用した感染者追跡)は、個人の権利、プライバシー保護という観点から慎重に考えなければならない問題です。</p>
<p> </p>
<p> 中国では、各自治体が行動履歴や家族構成などから感染リスクを割り出し、健康状態を緑・黄・赤の3段階の「健康コード」を付けます。「赤」「黄」判定となった人は、交通機関の利用や入店が制限され、自宅での自主隔離が求められます。健康コードは、国内で9億人のユーザーを持つ電子決済サービス「アリペイ」のミニアプリなどから閲覧できます。また、「感染者情報」を積極的に市民に共有させることで、感染を防ぐ手法を採っていますが、民主主義からすると個人の権利に対する考え方がずいぶん異なるように思われます。民主主義国家の韓国でも、クレジットカードなどの利用履歴を追跡することによる行動監視に加え、携帯電話の位置情報・監視カメラから各個人の行動履歴を追跡し、感染疑いのある人物の追跡・隔離を実施しています。</p>
<p> </p>
<p> 日本人はデジタル監視について、どのように感じているのでしょうか?</p>
<p> 朝日新聞が6/1~16に「『安全』のため個人情報どこまで渡せる?」というアンケートを実施しました。<感染症予防や、私たちの安全のためなら個人情報が使われてもいいと思いますか>という問いに対して、52.7%が「共有したくない」、23.1%が「政府が使うならいいと思う」。<安心安全のためなら、あなたが政府に提供してもいいと思う個人情報はどれですか(三つまで選択可)>には、37.4%が「健康状態・病歴・通院歴」、36.9%が「すべて提供したくない」、34.3%が「氏名・住所・学歴」。情報提供により個人を特定されたり、情報が漏洩したりすることに不安を感じたり、自分の行動を監視されることに嫌悪感を覚える人が多いようです。</p>
<p> </p>
<p> 世界的ベストセラー「サピエンス全史」の著者、現代の知の巨人と呼ばれるユヴァル・ノア・ハラリ氏は、FINANCIAL TIMES誌で次のように述べています。「今日、人類史上初めて、テクノロジーを使ってあらゆる人を常時監視することが可能となった」「今回の感染症の大流行は監視の歴史における重大な分岐点になるかもしれない」「私たちは重大な選択に迫られている。全体主義的監視か、それとも国民の権利拡大か」と。そして、「監視政治体制を構築する代わりに、科学と公共機関とマスメディアに対する人々の信頼を復活させる時間はまだ残っている。新しいテクノロジーも絶対に活用すべきだが、それは国民の権利を拡大するものでなくてはならない」と訴え、「新型コロナ感染症の大流行は、公民権の一大試金石なのだ」「もし私たちが正しい選択をしそこなえば、自分たちの最も貴重な自由を放棄する羽目になりかねない」と警告します。</p>
<p> </p>
<p> 日本では今年6/19に厚生労働省が、「新型コロナウィルス接触確認アプリ(COCOA)をリリースしました。</p>
<p><img alt="" class="wp-image-358 alignnone" height="262" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2020/10/3031059591da250894b8edbc97593fc7-600x303.jpg" width="519" /></p>
<p>COCOAは、ブルートゥースの無線通信を使って定期的に近くのデバイスに信号を送り、信号の強さからお互いの距離を推測します。そして、1m以内に15分以上接近したデバイスと接触符号を交換します。COCOAの利用開始に当たって個人情報を入力することはありませんし、位置情報も取得されません。プライバシーに最大限配慮したものになっています。感染者も自分で登録するので、あくまで「国民の善意」に基づいたシステムであることが否めません。そのため、9/10時点でも登録者1,665万人であり、政府が目標とする国民の6割には程遠い状況です。しかし、私たちの自由を脅かす不安はあまりないように思われます。9/16(水)~18(金)幕張メッセで「第11回教育ITソルーションEXPO」にTruthが所属するNPO法人科学技術教育ネットワークが出展し、学校の先生が動画でロボット・プログラミンの指導法を学べる無料eラーニングサイト「<span style="color: #3366ff;"><a href="https://steming-j.org/" rel="noopener noreferrer" style="color: #3366ff;" target="_blank">STEMing(ステミング)</a></span>」を紹介します。そこでは関係者全員がCOCOAをインストールすることが入場の条件になっています。</p>
<p> 一日も早くWithコロナの時代が収束し、皆が個人情報やプライバシーの監視を受けることもなく安心して暮らせる日が、そして子供たちがマスクを着けずにお互いに触れ合い楽しく過ごせる日が来ることを望んでやみません。</p>
<p style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳<br /><a href="http://truth-academy.co.jp/" rel="noreferrer noopener" target="_blank">http://truth-academy.co.jp/</a></p>
<!-- /wp:paragraph -->トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-32666908127792302572020-06-08T22:04:00.000+09:002022-03-08T22:05:48.880+09:00【第150回】新型コロナが教育に投げかけたものは?<p> <strong style="color: red; text-align: center;">~ Online授業と子供たちの学び ~</strong></p><!-- wp:paragraph {"align":"center","customTextColor":"#fe050d","fontSize":"medium"} -->
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph -->
<p>Truth Academyでは、4/16~6/5の間、Onlineで授業を提供してまいりました。今年度から、児童・生徒に1人1台の端末を整備する「GIGAスクール構想」が始まっていますが、5/25朝日新聞では、「教師との双方向オンライン授業」を実施した学校は小学校で3.7%、中高校で6.5%、学習塾では小学生36.9%、中学生26.1%、高校生36%と報じています。学校や塾によることに加え、WiFi環境が整っていなかったり、両親の仕事の関係でPC操作などをフォローできなかったりなど、家庭環境によっても「教育格差」が問題となっており、日本財団「『18歳意識調査』 第26回 学校教育と9月入学」では、「休校措置により、教育格差を感じる」という回答は58.6%に達したそうです。学校が再開し、平日や土曜の授業を増やしたり、夏休みを短縮したりして、失われた授業時間を懸命に取り返そうとしています。</p>
<p style="text-align: center;"><img alt="" class="alignnone wp-image-343 size-thumbnail" height="190" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2020/08/66c19942ab4ba346fdb64ccc04cde373-310x190.png" width="310" /></p>
<p>新型コロナが浮き彫りにしたものは、教育格差だけではありません。加速させるアメリカと中国の覇権争い、中国による香港国家安全維持法の制定と施行、アメリカに端を発した人種差別問題、追い打ちをかけるように日本を襲ったこの梅雨の豪雨とその被害、医療体制の脆弱さ、遅れている日本のIT化、都会一極集中型の問題点、海外依存の生産体制、コロナクラスターの出た米軍基地の問題、ステイホームで増えるDV、増加する失業率(6/30時点で完全失業率2.9%)、中小零細企業を中心とした相次ぐ倒産(7/10時点で332件、東京商工リサーチは今年1万件を超える予想)や休廃業(東京商工リサーチでは今年5万件と推計)、働き方の在り方・・・、どれもこれまで抱えてきた社会の問題がコロナをきっかけに露わになった気がします。今の子供たちが待ち受けている社会は私たち大人が作ってきた、あるいは見て見ぬふりをして放置してきた矛盾に満ちた社会かもしれません。そのような社会に巣立っていく子供たちに、どのような「学び」が必要なのでしょうか?</p>
<p>教育研究家の鈴木大裕氏は、「休校を機に進むオンライン化の議論は、僕にとって、残念な意味で予想通りでした。議論の前提にある『学び』の概念が、あまりに貧弱なことです。重視されているのは、受験をゴールととらえた『お勉強』ばかり」「学校の目標が『点数』になったとたんに、子ども一人ひとりの違いは序列化され、競争社会に飲み込まれてしまいます。そうではなく、<strong>多様な幸福の形を示し、一人ひとりの自己実現を教育の目標ととらえる。</strong>それが『勝ち組』『負け組』という今の社会から脱却する道ではないでしょうか?学校は『人を育てる』場所です。授業はその一部にすぎない。オンライン学習だって、普段会えない人とつながるような、教育の可能性を広げる方法がたくさんあるはずです」と述べています(7/3朝日新聞「新型コロナ オンライン 学べるもの」)。そして、「人に魚を与えればその人は一日生き延びることができるが、人に魚の釣り方を教えればその人は一生生きていくことができる、という中国のことわざを思い出す。魚を与えるか、釣り方を教えるか…。もちろん、オンライン授業では学び方を教えられないというわけではない。ただ、学びの本質を変えずに媒体だけ変えて上から施しても意味がないということだ」(5/12朝日新聞デジタル論座)とも。</p>
<p>工藤勇一氏(横浜創英中学・高校 理事・校長)と日野田直彦氏(武蔵野大学中学・高校校長兼武蔵野大学付属千代田高等学院校長)との対談(6/9日経電子版)で、日野田氏は「ITは手段であって、目的ではないですよね。これを使ってどのように<strong>自主性のある個人を育成するのかに焦点を当てるべきです</strong>」と。工藤氏は「小学校時代に塾などで詰め込み教育を受けてきた子供たちが多いんです。散々与えられ続けると、自分で学ぶことを忘れてしまう。何をしたらいいか分からなくなってしまう。<strong>子供の自律性を復活させることが非常に重要</strong>」と。そして、日野田氏「いわゆるインプット型の授業は、当然オンラインでやれます。もし単純に知識を吸収して受験に勝とうという今までの教育が変わらなかったら、オンラインでいいコンテンツを流しているところの勝ちになっちゃいますよね。<strong>世の中を自分の力で歩いていける子供を育てることと、社会の幸福のために対話して合意していくことを学べる</strong>場所であるという、本質の部分に向かって学校が進んでいくことが大事です」。</p>
<p>本来群れをつくって暮らしてきた人類ですが、自分や周囲の人の命を守るためには、人との接触を避けなればならない「ニューノーマル(新しい日常)」に慣れていかなければなりません。当然、子供たちにも息苦しさを感じさせています。一方、政府も東京都も経済に軸足を移し、東京都の感染者数が増えつつある中、大規模イベントの開催やスポーツ観戦、そしてGo Toトラベルキャンペーンと行動規制の緩和策が相次ぎます。いつOnline授業に戻らざるを得ない日が来る日が来るか分かりません。その日のためにも、新しい教育を提供するためにも、本来の教育の目的を忘れないで、準備をしていきたいと存じます。</p>
<p style="text-align: right;">トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳<br /><a href="http://truth-academy.co.jp/" rel="noreferrer noopener" target="_blank">http://truth-academy.co.jp/</a></p>
<!-- /wp:paragraph -->トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-40813433133229658812020-05-08T22:03:00.013+09:002022-03-08T22:08:46.111+09:00【第149回】Truth20年の歴史史上、初めてのOnline授業<p> <strong style="color: red; text-align: center;">~ 「学びを止めない!」の一心で ~</strong></p><!--wp:paragraph {"align":"center","customTextColor":"#fe050d","fontSize":"medium"}-->
<!--/wp:paragraph--><!--wp:paragraph-->
<p> 世界中が新型コロナウィルス感染症COVID-19に襲われ、日本でも感染拡大が起こり、学校の休校、緊急事態宣言、東京都の学習塾への休業要請と、子どもたちの学びの場が奪われていきました。Truthも何とか3学期通常授業を乗り切ることができましたが、春休みサイエンス講座は一部開講したものの、ほとんどが中止となり、新年度授業をスタートすることもできませんでした。</p>
<p>「どうしたら、生徒たちに授業を届けることができるだろうか?遠隔授業しか方法はない。しかし、ものづくりをベースとする授業が成立するだろうか?・・・」などと逡巡しておりました。私共が運営するNPO法人科学技術教育ネットワークでは、『STEMing(ステミング)』という学校の先生向けのロボット・プログラミング指導方法を教授するe-ラーニングサイトを制作し運営しているので、コンテンツ制作や配信のノウハウは持っています。しかし、「YouTubeのような一方的な授業では、Truthが実践してきた社会構成主義に基づく対話型の授業が実現できない・・・」と思いを巡らしているときに、Web会議ツール「Zoom(ズーム)」の存在を知りました。ある講師に相談すると「研究室や学会でも使っているので、使えるかもしれない」と。その言葉に背中を押され、一部講師とどのように使えるかをZoom会議し、これをベースに全講師も参加して使い方や授業内容を検討しました。</p>
<p> </p><img alt="Zoom授業配信中の講師" class="wp-image-349 size-large" height="349" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2020/08/56728d30e7453a1fe711ee54c689034f-1024x681.jpg" width="525" /><div> Zoom授業配信中の講師<p> </p>
<p>生徒たちはそれぞれのご家庭にいるので、協働学習の一環としての共同作業はできません。ブロック・サイエンス(BS)にも共同作業の授業もあり、特にリトル・ダヴィンチ(LV)は複数人数で行う算数ゲームもあります。そのため、カリキュラムを組み直したり、新たなカリキュラムを作ったりする必要が出てきました。しかし、講師たちが皆熱心に取り組んでくれたお陰で、毎週授業ができる態勢ができてきました。そして、Zoomの授業設定、授業案内メールのフォーム作成とメール配信作業の定形化等々、事務的な作業の構築を行い、4/16(木)からOnline授業をテスト的に開始。パソコンの画面を通してですが、皆の元気な姿を見られて、ホッとすると共に嬉しく思いました。3週に渡る無料Online授業を実施し、生徒や保護者の皆様からのアンケート回答もご提出いただきながら体制を整え、5月GW明けから本格的に授業を開始することができました。一方、若干名、Online授業に参加できない方がいらっしゃったのは、残念で申し訳ない思いで一杯になりました。</p>
<p>実際に授業を始めてみると、在宅勤務が増えたせいか、インターネット回線が不安定になることもあり、Zoomの操作に十分慣れていないせいか、授業をしながら一人一人の生徒の様子を確認し、パソコン操作も同時に行う必要があるので、各講師とも悪戦苦闘したようです。また、モデルを<span style="font-size: 1rem;">作ったり動かしたりする様子が十分に見られないケースもあったため、指導やアドバイスに困ることもありました。</span><span style="font-size: 1rem;">特にロボット・サイエンス(RS)では、ある程度のスペースを必要とするフィールドで動か</span><span style="font-size: 1rem;">したいので、生徒たちも動作の様子を見せるのに苦労したようです。しかし、プログラミングについては、ある生徒のプログラムを画面共有し、皆で検討したり意見を出したり、場合によっては皆で操作しながら1つのプログラムを作っていくことができるので、長所もあったようです。また、RSではクラスごとに掲示板を設けて、プログラムを発表したり、ロボットの動く動画を見せたり、講師と質疑応答を行ったりすることによって、学習や開発の状況を共有することができました。</span></p>
<p> </p><img alt="zoom画面" class="size-large wp-image-351" height="315" src="http://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2020/08/7950cd522fd1547127ef7cd60cae97cd-1-1024x615.jpg" width="525" /> </div><div>zoom画面<p> </p>
<p>やっと東京都のロードマップでステップ2になり、教室授業を再開することができました。Online授業の期間中、授業案内メールが受信できない等のトラブルもあり、メールチェックや授業準備のご負担を保護者の皆様にはお掛けいたしましたが、多大なご理解とご協力、応援のお言葉をいただき、心より感謝申し上げます。今回得た経験を活かして、何らかの形で新しい授業のご提供ができればと存じます。今後ともよろしくお願いいたします。</p>
<!--/wp:paragraph--><!--wp:paragraph {"align":"right"}-->
<p style="text-align: right;"><br />トゥルースアカデミー代表 中島晃芳</p>
<!--/wp:paragraph--><!--wp:paragraph-->
<p style="text-align: right;"><span style="color: #3366ff;"><a href="http://truth-academy.co.jp/" rel="noreferrer noopener" style="color: #3366ff;" target="_blank">http://truth-academy.co.jp/</a></span></p>
<!--/wp:paragraph--></div>トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-62013211975628570942020-04-08T22:01:00.003+09:002022-03-08T22:02:48.344+09:00【第148回】国際的学力到達度調査「PISA2018」-その2<p style="text-align: left;"> <strong style="color: #fe050d; text-align: center;">~ </strong><span style="color: #fe050d; text-align: center;"> </span><strong style="color: #fe050d; text-align: center;">日本の子供たちの読解力の現状</strong><span style="color: #fe050d; text-align: center;"> ~</span></p><!--wp:paragraph {"align":"center","customTextColor":"#fe050d","fontSize":"medium"}-->
<!--/wp:paragraph--><!--wp:paragraph-->
<p>前回、日本の子供たちの「デジタル読解力不足仮説」についてご紹介しましたが、果たして、本来の意味での「読解力」は低下していないのでしょうか?「ロボットは東大に入れるか」プロジェクト(視線132回)を行った、『AI vs教科書が読めない子どもたち』の著者・新井紀子氏(国立情報学研究所教授)が、『AIに負けない子を育てる』を昨年9月に出版し、前作同様、日本の子供たちの読解力低下に警鐘を鳴らしています。「読解力低下仮説」も決して看過できる問題ではありません。</p>
<!--/wp:paragraph--><!--wp:image {"id":287,"align":"center","width":353,"height":153}-->
<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter is-resized"><img alt="" class="wp-image-287" height="153" src="https://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2020/03/視線RST画像-1.png" width="353" /></figure>
</div>
<!--/wp:image-->
<p><span style="white-space: pre-wrap;">新井氏は、一般社団法人「教育のための科学研究所」を立ち上げ、「リーディングスキルテスト(RST)」(</span><span style="color: #3366ff;"><a aria-label="https://www.s4e.jp/ (新しいタブで開く)" href="https://www.s4e.jp/" rel="noreferrer noopener" style="color: #3366ff; white-space: pre-wrap;" target="_blank">https://www.s4e.jp/</a></span><span style="white-space: pre-wrap;">)を全国展開しています。このテストは、</span><span style="font-weight: 600; white-space: pre-wrap;">基礎的・汎用的読解力として、知識を問う問題ではなく、「事実について書かれた短文を正確読むスキル</span><span style="white-space: pre-wrap;">」を6分野に分類して設計されています。</span></p>
<!--wp:paragraph-->
<p>① 係り受け解析:文の基本構造(主語・述語・目的語など)を把握する力</p>
<!--/wp:paragraph--><!--wp:paragraph-->
<p>② 照応解決:指示代名詞が指すものや、省略された主語や目的語を把握する力</p>
<!--/wp:paragraph--><!--wp:paragraph-->
<p>③ 同義文判定:2文の意味が同一であるかどうかを正しく判定する力</p>
<!--/wp:paragraph--><!--wp:paragraph-->
<p>④ 推論:小学6年生までに学校で習う基礎知識と日常生活から得られる常識を動員して文の意味を理解する力</p>
<!--/wp:paragraph--><!--wp:paragraph-->
<p>⑤ イメージ同定:文章や図やグラフと比べて、内容が一致しているかどうかを認識する能力</p>
<!--/wp:paragraph--><!--wp:paragraph-->
<p>⑥ 具体例同定:言葉の定義を読んでそれと合致する具体例を認識する力</p>
<!--/wp:paragraph--><!--wp:paragraph {"align":"left"}-->
<p>その結果が、「照応」の正答率が中学生6割・高校生7割、「係り受け」は中学生7割弱・高校生8割弱で意味を理解できないAI並み。「同義文判定」中学生6割弱・高校生7割、「イメージ同定」1~2割・高校生3割前後というものでした。鉛筆を転がして選択肢を選ぶ程度のランダムさしか示していない結果もあったのです(視線133回)。</p>
<!--/wp:paragraph--><!--wp:paragraph-->
<p>十分なサンプル調査から科学的にわかったこととして、次の5つを上げています。</p>
<!--/wp:paragraph-->
<p> 1. 高校のRST能力値の平均と高校の偏差値には極めて高い相関がある。</p>
<p> 2. 中学生は学年が上がるに従ってRSTの能力値が全体として上がる傾向がある。</p>
<p> 3. 高校生では、全体としても個人としても、RSTの能力値が自然に上がるとは言えない。</p>
<p> 4. 中学生では個人のRSTの能力値と学力テストの成績には中程度の相関がある。</p>
<p> 5. 中学生の学校外の学習時間(自己申告)とRSTの能力値に相関はない。</p>
<!--wp:paragraph-->
<p> 要するに、<strong>基礎的・汎用的読解力は、中学3年までは学力が上がるに従って能力値も上がる傾向にあるが、高校生になると上がらない</strong>、ということになります。では、新井氏は日本の子供たちの読解力がなぜここまで落ちてしまったと考えているのでしょうか? 氏は、その原因がアクティブラーニングと関係しているのではないかと考えているようです。次回、氏が指摘した問題点をご紹介いたします。</p>
<!--/wp:paragraph--><!--wp:paragraph-->
<p>【参考資料】「AIに負けない子どもを育てる」(新井紀子著・東京経済新報社)</p>
<!--/wp:paragraph--><!--wp:paragraph {"align":"right"}-->
<p style="text-align: right;"><br />トゥルースアカデミー代表 中島晃芳</p>
<!--/wp:paragraph--><!--wp:paragraph-->
<p>トゥルースアカデミー<br /><a href="http://truth-academy.co.jp/" rel="noreferrer noopener" target="_blank">http://truth-academy.co.jp/</a></p>
<!--/wp:paragraph-->トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-37283233176568996132020-03-08T21:58:00.000+09:002022-03-08T22:01:13.344+09:00【第147回】国際的学力到達度調査「PISA2018」-その1<p> <strong style="color: #fe050d; text-align: center;">~ 日本の子供たちのデジタル読解力不足 ~</strong></p><!-- wp:paragraph {"align":"center","customTextColor":"#fe050d","fontSize":"medium"} -->
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph -->
<p>皆様も驚かれたと思いますが、昨年12/4朝日新聞朝刊第1面に<strong>「『読解力』続落 日本15位」</strong>というショッキングなタイトルが躍りました。OECDが行う15歳を対象とした国際的な学習到達度調査「PISA2018」の結果です。</p>
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:image {"id":264,"align":"center","width":355,"height":358} -->
<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter is-resized"><img alt="" class="wp-image-264" height="358" src="https://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2020/03/PISA2018日本の順位.png" width="355" /></figure>
</div>
<!-- /wp:image --><!-- wp:paragraph -->
<p>今回の調査は79の国・地域で約60万人が参加。日本からは183校・約6100人が参加しました。2015年以降、コンピューターを使ったテストとなっています。日本は「数学的リテラシー」は順位を1つ落とし6位、「科学的リテラシー」は2つ順位を落とし5位と、以前トップレベルを維持。しかし、「読解力」は8位から15位に落ちてしまいました。今回は3教科とも、「北京・上海・江蘇州・浙江省」(中国)が1位、シンガポールが2位、マカオ(中国)が3位。</p>
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph -->
<p>「読解力」では、既存の問題72問にコンピューター用の新規問題173問を加えた計245問が出題されました。最初に出題される問題の結果によって、その後の問題の難易度が変わる「適応型テスト」を初めて導入しました。日本については、<strong>コンピューターを使ってネット上の多様な文章を読み解く力、テキストの中から情報を探り出したり、質と信ぴょう性を評価したりする能力の弱さや、根拠を示しながら自分の考えを他者に伝わるように記述する力の低さ</strong>が指摘されました。自由記述形式の正答率は前回より12ポイント下がっています。また、前回、前々回と比べ、習熟度の低い生徒の割合が増えました。</p>
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph -->
<p>記述式問題については、昨年末「大学入学共通テスト」で紛糾したことは記憶に新しいかと思います。これまでPISAで日本の子供たちの記述式問題の弱さが指摘されてきたこともあり、「記述式問題の導入により、解答を選択肢の中から選ぶだけではなく、自らの力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述したりする思考力・判断力・表現力を評価することができます。また、共通テストに記述式問題を導入することにより、高等学校に対し、『主体的・対話的で深い学び』に向けた授業改善を促していく大きなメッセージとなります。大学においても、思考力・判断力・表現力を前提とした質の高い教育が期待されます」(文科省)という御旗を掲げました。しかし、「採点ミスの完全な解消」「自己採点と実際の採点の不一致の改善」「質の高い採点体制の明示」について現時点では困難という判断から、無期限の見送りとなりました。</p>
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph -->
<p>耳塚寛明・青山学院大学コミュニティ人間科学部特任教授は、PISA読解力低下の謎に迫る仮説として、「読解力低下仮説」と「デジタル読解力不足仮説」を挙げています(1/27日経新聞)。前者は従来の議論の延長線上にあるとし、後者は新たな発見として知見を読み解くことつながると言います。まず、日本は学校の授業におけるデジタル機器の利用時間が短く、OECD加盟国で最低であること。小中高校のパソコンは児童生徒5.4人に1台(練馬区は16.5人/台と東京23区で最低、新宿区6.1人/台)、教室の無線LAN整備率は4割しかありません。また、「関連資料を見つけるために授業後にインターネットを閲覧する」生徒は、OECD平均23%に対して日本は6%にすぎません。<strong>コンピューターを学習や思考の道具として使う日常生活が圧倒的に不足している</strong>ことを指摘しています。加えて今回の結果は「格差」の問題も提起しました。デジタル読解力は家庭の社会経済文化的背景(ESCS)が強く影響しているとのこと。家庭の経済状況4段階の最も厳しい層では、読解力の最下位水準の子が4人に1人いました。耳塚教授は<strong>「調査結果は日本の学校教育がデジタル社会への対応に失敗したことを教えている」</strong>と文章を結びます。</p>
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph -->
<p>しかし、『AI vs教科書が読めない子どもたち』の著者・新井紀子氏(国立情報学研究所教授)が、『AIに負けない子を育てる』を昨年9月に出版し、前作同様、日本の子供たちの読解力低下に警鐘を鳴らしています。「読解力低下仮説」も決して看過できる問題ではありません。</p>
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph -->
<p> </p>
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph {"align":"right"} -->
<p style="text-align: right;"><br />トゥルースアカデミー代表 中島晃芳</p>
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph -->
<p>トゥルースアカデミー<br /><a href="http://truth-academy.co.jp/" rel="noreferrer noopener" target="_blank">http://truth-academy.co.jp/</a></p>
<!-- /wp:paragraph -->トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-69043833833126643762020-01-08T21:56:00.000+09:002022-03-08T21:58:00.923+09:00【第146回】 新年のご挨拶 ~ 持続可能な社会を創るのに求められる能力とは? ~<p> <img alt="" class="wp-image-248" height="336" src="https://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2020/01/グレタ-768x1024.jpg" width="252" /></p><!-- wp:image {"id":248,"align":"center","width":252,"height":336} -->
<!-- /wp:image --><!-- wp:paragraph -->
<p>明けましておめでとうございます。</p>
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph -->
<p>オリンピックイヤーの2020年は、カルロス・ゴーンの国外脱出、イラン司令官殺害など、まるで映画のようなビッグニュースから始まりました。</p>
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph -->
<p>昨年9月23日、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさん(16才)が国連気候行動サミットで地球温暖化に本気で取り組んでいない大人たちを「How dare you !」と叱責したことを機に、賛同者はどんどん増え、世界各地で若者を中心に気候変動・温暖化に具体的な政策・行動を求める国際的な抗議行動「グローバル気候マーチ」が広がっています。日本でもデモ行進を目にすることがあります。</p>
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph -->
<p>彼女に対して批判的な意見もありますが、英国の環境担当大臣マイケル・ゴーブは、「私があなたの話を聴いたとき、大きく感嘆しましたが、責任と罪悪感も感じました。私はあなたの両親の世代であり、気候変動と私たちが生み出した広範な環境危機に対処するのに十分な努力をしていないことを認識しました」と賛同します。また、昨年12/31ドイツ・メルケル首相は国民への演説で、「われわれの地球が温暖化しているのはリアルな現実だ。温暖化による危機は人類が引き起こしたものだ。人類が原因となって、人類を危機に直面させているからこそ、人類があらゆる力を発揮してこの問題に対処しなければならない。その対処はまだ可能だ。今、政治家が何も行動しなかった場合に生じる気候変動の結果を受けるのは、われわれの子どもたちであり、孫たちの世代だ。私は、子どもたちや孫たちがそうならないように、ドイツが気候変動を制御するために、環境的にも、経済的にも、社会的にも貢献できるよう、私の全エネルギーをかけていく」と強い決意を表明しています。著書『不都合な真実』で地球温暖化の危機を訴えたアル・ゴア(元米副大統領)も「文明を終わらせるような壊滅的な損失を避ける能力はまだある。救えるものを救う決心をすべきだ。これは人間性を試すためのテストだ」と。</p>
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph -->
<p>一方、昨年大型の台風に襲われた日本は、第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)で地球温暖化の被害を最も受けた国の一つに挙げられ、期間中に地球温暖化対策を妨げているとして「化石賞」が国際環境NGOから授与されました。</p>
<!-- /wp:paragraph --><!-- wp:image {"id":249,"align":"center","width":388,"height":388} -->
<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter is-resized"><img alt="" class="wp-image-249" height="388" src="https://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2020/01/SDGs-1024x1024.png" width="388" /></figure>
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<p>最近、「SDGs(エスディージーズ):Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」という言葉をよく耳にすると思います。これは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。日本でも企業が積極的に経営に取り入れたり、教育現場でも題材として取り上げられたりしています。</p>
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<p>しかし、2018年7月に発表されたSDGs達成ランキングにおいて、日本が達成されていると評価されたのは、「目標4:質の高い教育をみんなに」の一つのみ。そのほかの目標は未達成となっており、特に「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」「目標12: つくる責任つかう責任」「目標13: 気候変動に具体的な対策を」「目標14: 海の豊かさを守ろう」「目標17: パートナーシップで目標を達成しよう」の5つに関しては、4段階の評価で最も低い達成度という評価です。12/17世界の政治や経済界のリーダーが集まる「ダボス会議」を主催する「世界経済フォーラム」が、社会進出めぐる男女格差について、日本は過去最低の153か国中121位と評価したことは、まだ耳新しいニュースではないでしょうか?</p>
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<p>これらの問題に取り組むには、現在の自分だけが良ければいいのではなくて、まず自分を取り巻いている世界やそこに暮らす人々に目を向け、理解することの必要性が、その根本にあるような気がします。そこには当然「多様性(ダイバーシティ)」への理解も必要となります。</p>
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<p>1/1朝日新聞「多様性って何だ?」という、プレイディみかこ氏(保育ライター)と福岡伸一氏(生物学者)の対談の中で、プレイディ氏は「エンパシー(empathy)」という言葉を紹介しています。これは「他人の感情や経験を理解する能力」という意味。似た言葉に「シンパシー(sympathy)」があり、「どちらも『共感』と訳されます。ただシンパシーは『かわいそう』や『共鳴する』という感情の動きで、対象となるのは特定の人です。一方、エンパシーは、他者の立場を想像して理解しようとする自発的で知的な作業です」と。また、「真の多様性とは、違う者の共存を受け入れるという、言わば利他的な概念です。本質的には自己の利益や結果を求めるものではない。多様性は、利己性より利他性になじみがあると思います」と述べています。</p>
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<p>福岡氏も生物界にも利他性があることを指摘し、「自ら学ぼうとしないと自分の利他性に気づけないのです。何も知らないままでは他者の立場を考えられない。偏見や強者の支配にとらわれてしまいます。(中略)山に登ると遠くまで見渡せるように、勉強すれば視野は広くなる。すると、お互いの自由も尊重し合う力を持てるようになります」と述べます。</p>
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<p>トゥルース・アカデミーも、日頃の授業やロボット・コンテストの活動を通して、より広い視野が持てるよう、指導しなければならないことを、改めて痛感いたしました。</p>
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<p>本年もよろしくお願いいたします。</p>
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<p style="text-align: right;"><br />トゥルースアカデミー代表 中島晃芳</p>
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<p>トゥルースアカデミー<br /><a href="http://truth-academy.co.jp/" rel="noreferrer noopener" target="_blank">http://truth-academy.co.jp/</a></p>
<!-- /wp:paragraph -->トゥルース・アカデミーhttp://www.blogger.com/profile/15477948310266137414noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-404130400446167535.post-51176772964206751962019-12-08T21:55:00.000+09:002022-03-08T21:56:02.074+09:00【第145回】 NHKスペシャル「AIでよみがえる美空ひばり」を観て(その2)<p> <img alt="" class="wp-image-235" src="https://truth-academy.jp/truth-shisen/wp-content/uploads/sites/2/2019/12/美空ひばり3.jpg" /></p><!-- wp:image {"id":235,"align":"center"} -->
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<p>9/29放映NHKスペシャル「AIでよみがえる美空ひばり」は、AIで美空ひばりを蘇らせて新曲を披露するというプロジェクトです。「新曲を歌わせる」ということにより、このプロジェクトにはさらにさまざまな難問が待ち受けていました。</p>
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<p>作詞を担当した秋元康は、曲の中に「語り」を入れることを希望しました。しかし、ひばりの語りは生前歌った1500曲の中にはほとんどなく、「悲しい酒」にしかありません。決定的に教師データが不足しています。そこに救世主が現れました。ひばりは、養子縁組をした甥の加藤和也を溺愛しており、地方公演のときは必ず連れて行ったものの、小学校に入るとそれもかなわず、代わりに童話をカセットテープに吹き込みました。和也はひばりの留守中それを聞いていたそうです。そのカセットテープが残っており、和也が提供。これを教師データとしてAIが自己学習を繰り返し、新曲の語りの部分を作ったのです。</p>
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<p>曲が完成し、晩年のひばりを支えた美空ひばり後援会のメンバーが視聴。しかし、「力が感じられない」など厳しい意見が浴びせられます。秋元も「人間味がない。的確にデータで作っているので、雑味というか、人間臭さとか温かみとかに欠ける。これでは、人を感動させることはできない」と。これを聞いたAIプログラマーであるヤマハの大道龍之介は、「泣きそうになる」と言いつつも、「特徴はたぶん捉えていると思う。でも、ディテールが本物のそれではない。本当に細かい何かに再現出来ていない部分があるのではないか?」と決して諦めることはしません。 </p>
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<p>そこで、歌声分析の専門家に依頼したところ、モンゴルの「ホーミー」という歌唱法と同じように「高次倍音」がひばりの歌声には出ていることが判明。通常1000~5000ヘルツで歌っている声の他に、7000ヘルツを超える(数オクターブ上)のもう一つの音「高次倍音」を同時に出して一人でハーモニーを作っていた。しかも、必要な箇所だけピンポイントに出して、一音ごとに音色を変えていたというのです。AIプログラマー大道は何度も楽譜と照らし合わせながら歌を聞いて、音程やタイミングのズレを見つけました。AIは楽譜に忠実に歌うことに留まっていたのだ。そして、楽譜から周波数(声の高さ)を作るAI、周波数から音色を作るAI、ビブラートのAI、タイミングのAIなど、何段階かのひばりAIを作り、それらを協調して動かし、音程とタイミングのAIの関与を強めてみました。そして1年近く経って、高次倍音が出現したのです。</p>
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<p>そして、30年ぶりに3DCGに映し出された美空ひばりが、100人のスタッフ、200人近いファンの前で新曲「あれから」を歌います。皆涙を流して感動し「無限の可能性を感じる」「神様に出会ったような気がする」と、このプロジェクトは大成功を収めました。11/19日本コロムビアは、CD/カセットテープで12月18日リリースすることを発表。大晦日の「第70回NHK紅白歌合戦」で歌声が披露されることも決定しました。</p>
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<p>AIに人間が支配されるのではなく、人間が何をAIに学ばせるのか?AIをどうコントロールするのか?が大切なことをこの番組は伝えました。AIにはない想像力を持った人間が、その創造性と革新性を発揮し、たゆまぬ努力をすることでAIを進化させ、活用することができるのです。Truthの子供たちを、これらができる人間に育てなければならないという思いを一層強くしました。</p>
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<p class="inyou">―人間の思いを科学がサポートする。科学や技術は人間の夢とか願いを具現化して奇跡を起こすのだと思う― 作詞家・秋元康</p>
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<p><br />AI美空ひばり「あれから」</p>
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<p> <a aria-label="https://www.youtube.com/watch?v=nOLuI7nPQWU (新しいタブで開く)" href="https://www.youtube.com/watch?v=nOLuI7nPQWU" rel="noreferrer noopener" target="_blank">https://www.youtube.com/watch?v=nOLuI7nPQWU</a></p>
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<p style="text-align: right;"><br />トゥルースアカデミー代表 中島晃芳</p>
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<p>トゥルースアカデミー<br /><a href="http://truth-academy.co.jp/" rel="noreferrer noopener" target="_blank">http://truth-academy.co.jp/</a></p>
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