2013年9月15日日曜日

トゥルースの視線【80回】

ICT夢コンテスト受賞「NESTロボコン」の思想①
~ 学年を超えて、世代を超えて、みんなで創るロボットコンテスト ~
 
 
Truth通信2013年3月号でも紹介いたしましたが、『NESTロボコン2012』は、ICT(情報通信技術)を使った教育事例コンテスト「ICT夢コンテスト」でCEC奨励賞を受賞しました。

この9月から「FLL(ファーストレゴリーグ)」や「ロボカップジュニア」というロボットコンテストに向けての活動が本格的に開始します。受賞理由を考えながら、私共がどのような教育思想の下に指導しているか、ご理解いただければと存じます。

「NESTロボコン」は次のようにデザインしたロボットコンテストです。(以下、レジュメより抜粋)


1.チーム編成
ロボットコンテストは、「これまでの学習成果の発表の場」であると同時に、別々の地域や環境で学んできた参加者同士がお互いに学び合ったり刺激し合ったりする「絶好の学習の機会」でもある。学年の境を超えた者がチームを組むことによって、年少者は年長者から学び、年長者や豊富な経験を持つ者は年少者・初心者に教え、1つのチームとして協力・協働の場を創出したいと考えた。

2.ロボットとプログラミング
参加者は異なる学習環境で、様々なキットや素材でロボットを作っており、ソフトや言語で制御プログラムを組んでいるため、ハードやソフトの制約は一切設けないことにした。このことにより、課題達成のためのアプローチも異なるので、実に多様なロボットの形状や機構、デザインが見られ、また使用するセンサーも学習の達成度や戦略によってかなりの違いがある。当然プログラムの組み方も実に千差万別であり、オープンエンドの問題解決学習の実現を目指した。プログラミングの学習レベルや経験に応じて競技が選べるように3種類の競技を用意した。また、得点条件も複数段階設定した。さらに、初心者向けのKokohore!WanWan!では、宝の隠し場所を発見した時に行うパフォーマンスを審査員が評価する「ベスト・パフォーマンス賞」を用意し、独創性を発揮させるようにした。

3.プレゼンテーションポスター
プログラム開発のオープンソースの考えを援用し、競技中に他チームのロボットとその動きを実際に見るだけではなく、その背景となっている多様な考え方や問題に対するアプローチの仕方、様々な技術を学び合える環境を作り出そうと考えた。

4.運営スタッフ
子供がやっている競技をただ観戦しているだけではなく、自らも参加することによって、子供たちがどんなことをしているかを理解し、子供たちの活動を応援している気持ちを目に見える形で子供たちに伝えることができるのではないかと考え、先生や父母にスタッフとして運営に携わっていただいた。このことによって、子供の学習意欲が向上するだろうし、教室や家庭でも共通の話題としてより多く上ることで、コミュニケーションの機会を増やすことができるのではないか、という期待を抱いたからである。
参加者の子供たちが副審を担当する意義は、競技運営者としてルール運用の実際を経験することによって、よりルールに対する理解を深めることにある。また、主審担当の先生や父母の審判助手をすることにより、コンテストの成功という同一の目的に向かって大人と子供が協力し合える状況を作り出すことを意図した。


このようなデザインを基に行った「NESTロボコン」の成果、私共がロボット・サイエンスだけでなく、ブロック・サイエンスやリトル・ダヴィンチ理数教室でも貫いている教育の考え方について、次回お話ししたいと存じます。

トゥルース・アカデミー代表 中島 晃芳
 
 

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