2012年10月1日月曜日

【第72回】2012年度 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)


 ~理科実験における分析力の不足~


全国学力テストは、2007年より小学6年生と中学3年生を対象に、毎年4月に実施しています。去る88日に文科省が2012年度の結果を発表したことは、ご記憶に新しいことかと存じます。

 今回から従来の算数・数学、国語に加え、理科が初めて実施されました。理科の結果では、小中学生とも、実験や観察の結果を整理・分析して自分なりに解釈して考えをまとめたり、科学的な概念を正しく使って説明したりする力の不足が浮き彫りになりました。これは、今、世界が求めている「PISA型学力」の育成に、まだ日本の教育が対応しきれていないことを示しています。

 また、今回の結果では、「理科の勉強が好き」と答えた小学生は81.5%、中学生61.7%(積極的肯定と消極的肯定を含む。以下同様)。「理科の授業がよくわかる」は、小学生86.0%、中学生64.7%。「理科の勉強が社会に出た時に役立つ」と思うのが、小学生73.4%、中学生62.6%。小学校から中学校に進む過程で、理科に対する興味や理解の度合いが激減しています。さらに、「理科や科学技術に関係する職業に就きたい」と考えている中学生は23.9%(内、積極的肯定は9.7%)。「理科離れ」が叫ばれ始めてから久しいのですが、なかなか深刻な状況は改善されていないようです。

 日本の子供たちは理科実験が大好きです。なのに、どうして分析力が育たないのでしょうか?
また、理科に対する興味や関心を維持させ、将来の夢につなげていくには、どうしたらいいのでしょうか?

 今回の調査には、こんな興味深いデータもあります。
〇全教科の平均正答率が全国平均を上回っている都道府県はすべて、2011年度に少人数学級が実施されていた。
〇理科の指導として次のことを行ったと回答した学校には、理科の平均正答率が高い傾向が見られた。
・「発展的な学習の指導」や「実生活における事象との関連を図った授業」「生徒が科学的な体験や自然体験をする授業」を行った。
・観察・実験では、自らの考えた仮説をもとに計画を立てさせ、結果を整理し考察する指導を行った。
・理科の授業で発表や自分の考えを整理する際に、児童や生徒がコンピューターを使う学習活動を行った。

 当アカデミーでは、子供たちが自らの活動を通して自分の力で知識を獲得し構築していく学習を実現する「コンストラクショニズム」という教育理論に基づいた授業を行っています。これは、「推論→実験→検証」という正しい学びのサイクルの中から論理的思考力や洞察力、問題解決力を育成するものです。「Learning by Making」をモットーに、自分の手を使った、直接体験型の学び(ハンズオン・ラーニング)が基本。特に、ブロック・サイエンス(レゴ教室)では、世の中に実際に存在する建築物や機械を題材に、その構造や仕組みを通して、そこに潜む数学的・物理的な理論を学んでいきます。常に実社会との関わりを意識しながら学ぶことができるのです。

レゴ教室をスタートさせてから早12年が経った今、今回の全国学力テストの結果を見ると、当アカデミーの取り組みは決して間違っていなかったことを改めて確信すると共に、さらに発展させていかなければならないという使命感を一層強く感じました。


To be continue・・・