2012年4月2日月曜日

【第68回】NPO法人『科学技術教育ネットワーク』誕生


~ 新しい科学技術教育へさらなる挑戦 ~

1998年にLEGO社からロボット製作キット「Mindstorms」が発売され、当アカデミーは2000年からレゴとロボットを教材とした教室をスタートしました。当時、Mindstormsを使ったロボット教育に関するカリキュラムや指導方法論はほとんど皆無といった状態だったので、志を同じくする「エルプレイス」の玉水氏、「エレファントアリー」の長田氏たちと、2003年に任意団体として『RISE(ライズ)科学教育研究会』を立ち上げ、カリキュラム開発と普及活動を行ってきました。

「こどもロボット研究室」(03年~)、「サマーチャレンジ」(05年~)、「サイエンス・キャンプ」(05年~)、「ロボットの鉄人合宿」(09年~)、「オーシャン・プロジェクト」(10年~)、「ロボット教育指導者養成講座」(11年~)と活動の幅を広げ、独立行政法人 国立青少年教育振興機構の「子どもゆめ基金」助成活動として認定された活動も数多くあります。また一方で、2004年以来『ロボカップジュニア』の関東ブロック運営委員会設立の中心メンバーとして、関東圏内各都県の地区大会、関東ブロック大会、ジャパンオープンの運営を全面的に協力しております。

年々活動の幅と規模が拡大し賛同者が増える状況において、さらなる活動範囲拡大と日本のICT教育の一翼を担うという目標実現のために、この度内閣府NPO法人『科学技術教育ネットワーク』(略称:NEST)を立ち上げました。理事長には中西佑二氏(東京都立産業技術高等専門学校名誉教授)が、副理事長には井上徹氏(東京都立産業技術高等専門学校教授)が就任して下さいました。

このNPO法人『NEST』(ネスト)は、幼児~高校生を対象に、ICT(Information and Communication Technology)を活用し、科学に対する新鮮な驚きと好奇心・探究心を育てること、科学を身近で楽しいものとして感じられること、科学者や技術者が実際に行っている実験や開発の方法論を身につけること、実生活との関連の中で科学を実感し実践できることを目標に以下のような活動を行います。

(1) 与えられた手順で行い、予定された結果が出て満足するといった現在の理科実験では「考える力」は育ちません。まず実験の方法や手順(アルゴリズム)を考えるところから始める必要があります。また、実験中に五感を使っての観察はもちろんのこと、データを取ることも不可欠です。そのデータ結果を読み取り分析することによって、ものの性質を考えたり、法則性や規則性を導き出したりする。この一連の流れが体験できる科学実験を提唱します。世界の科学実験の潮流は、教育用のデータロガー(各種センサーを用いて実験データを計測・保存するデジタル計器)を使って取得したデータを読み取ることを重視する方向にあるのです。

(2) 「ものづくり」を通した科学技術教育の実践は、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)の手法を身につけるのに、最も適しています。最近ではロボットを教材とした科学技術教育が世界の教育現場では多く採用されています。特に自律型ロボット製作は、構造やメカニズム、電子工学そしてプログラミングによる機械制御などの最先端科学技術が学べるだけではなく、様々な「問題解決力」が要求されます。ロボット教育の普及はもちろんのこと、「チームによるプロジェクト学習」としてのロボットコンテストの企画運営を通して、チームワークの大切さを学ぶ機会を提供し、コミュニケーション能力の向上を図ります。

(3) 実験室の外に飛び出し、自然に囲まれた地方の廃校の再生を手作りで行うことによって、学習の成果を社会的実践に結びつける活動を行います。土壌と植生、水質などの地域の自然環境データを収集・把握し、これらのデータに基づく自然エネルギーの活用、排水の浄化システム、ビオトープや農園づくり、家畜の飼育などのプロジェクトを企画・実践します。これは、子供だけでなく大人も、都市に住んでいる人々だけでなく地域の人々も協力し合って行うプロジェクトとなります。そこを地域における新たな科学技術教育の拠点として、自然を対象とする科学活動を展開すると共に「科学技術教育を中心とした、世代や地域の枠を超えた新たなコミュニティの形成」を目指します。

「RISE科学教育研究会」が行ってきた活動をより発展させ強力に推し進めると共に、新たな分野へのチャレンジを図っていくつもりです。近日中に、『NEST』のホームページを公開します。ご期待ください。


To be continue・・・