2015年3月18日水曜日

トゥルースの視線【96回】


テクノロジーが学校の姿が変える
-反転授業とオンラインスクール-
 
 
2011年にTEDカンファレンスで、非営利の教育ウェブサイト「カーンアカデミー(Khan Academy)」の創始者サルマン・カーン(Salman Khan)の「ビデオによる教育の再発明」というプレゼンテーションは、同席していたビル・ゲイツも絶賛し、大きなインパクトを与えました。
 
いとこに遠隔で家庭教師をしていたカーンは、復習に使えるおまけのようなものとしてYouTubeにビデオ(授業映像)をアップしました。すると、いとこから「YouTubeビデオの方が直接習うよりいい」という感想が。それもそのはずです。授業を一時停止したり、繰り返し再生したりできます。退屈な部分は飛ばすこともできます。「分かった?」という、子供にとって一番嫌な質問をされることもありません。ビデオを公開していたため、世界中の人からコメントや手紙や様々な反応を受け取るようになり、その輪が広がり地区全体の学校に導入されるようになったのです。
 
ここでは、一律的な講義を教室からなくし、事前に自宅で生徒にカーンアカデミーのビデオ講義を受けさせ、その後教室で先生のいるところで宿題をさせて、先生や他の生徒と交流できようにしたのです。いわゆる「反転授業」です。つまり、授業を受けることが宿題。学校においては先生の指導のもとにディスカッションや質疑、発展的な課題に取り組む。学びのインプットとアウトプットの場が逆になったのです。その結果、対話型の協働的な学習を増やし深度と応用力を高めることが期待されます。
 
カーンアカデミーでは、ICT技術を駆使し、それぞれの生徒が何をやっているか?毎日の勉強時間は?見ている講義ビデオは何か?いつ止めたか?やめたのは何か?どの練習問題をしているか?どこに集中しているか?できる問題は何か?できない問題は何か?リアルタイムで正確に分かります。カーンは、「先生たちには 可能な限り情報の武器を渡します。金融やマーケティングのような分野同様、教育にもデータが必要です。先生は生徒の抱えている問題を把握して、生徒との対話を効果的に行えます。教室をテクノロジーによって、より人間的なものに変えたのです。教室というのはこれまで非人間的な場でした。子どもたちは口を閉じ互いにおしゃべりすることができず、先生はいかに優れていようと、十把一絡げの授業を30人の無表情で少し反抗的な生徒相手に進めなければなりません。それが今や人間的な体験へと変わり、 互いにコミュニケートできるのです」と述べています。
 
一方、オンラインスクールが急速に広がっています。20039月、アメリカの理工系大学マサチューセッツ工科大学が世界初のオープンコースウェア (Opencourseware; OCW) サイトを立ち上げました。OCWとは、大学や大学院などの高等教育機関で正規に提供された講義とその関連情報を、インターネットを通じて無償で公開する活動。その後世界中の大学にその活動が広がっています。また、最近話題となっているMassive Open Online Course (MOOC、ムーク)は、インターネット上で誰もが無料で受講できる大規模な開かれた講義で、代表的なプラットフォームとしては「Coursera」や「edX」「Udacity」など、日本版としてはJMOOC(一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会)が提供する「gacco」「OUJ MOOC」があります。
 
ロボカップジュニアに参加しているある高校生が、通学する県立トップ校のスーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)からオンラインスクールに転校することを宣言しました。「自分が今一番やりたい学習をするには別の選択が必要だと思うようになりました。通学や高校の団体学習にかかる時間を自分の研究に費やし、全国、世界を飛び回って大会や勉強会に参加し、ロボットの研究をしたいと強く思っています。オンライン学習は時間が有効に使え僕にとって現在大変有効な学習スタイルです」と。
 
反転授業は、同じ時間、同じ空間に先生と生徒たちが集う教室という『実空間』は何のために存在するのか、いわば学校教育の存在意義を問い直した産物と言えますが、一方、OCWMOOCは、学校でしか体験できなかった教育活動を『仮想空間』でどう実現するかを追求する試みで、学校教育にとって破壊的イノベーションになる可能性も秘めているようです。
 
 
 
トゥルース・アカデミー代表 中島 晃芳
 

 
トゥルース・アカデミー ブロック・サイエンス
 
トゥルース・アカデミー リトル・ダヴィンチ理数教室
 
トゥルース・アカデミー ロボット・サイエンス



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