2011年12月1日木曜日

【第65回】ロボット教育・指導者養成講座

~ ロボットが創る白熱教室 ~

以前いろいろなロボット講座に通っている小学生の女の子がいて、私が手がける科学館講座やRISE科学教育研究会(視線10回参照)主催「こどもロボット研究室」にも何度も通ってきていました。彼女はロボット講座用のノートを作っていて私の講座のページもあり、『熱血先生』というタイトルがついていました。

私が『熱血』かどうかはさておき、講座では子供たちが『白熱』して活動に取り組んでいるのは確かです。小学高学年でも休憩時間を設けても、あまり白熱しすぎて休憩を取らずにオモラシをしてしまう子もいるほどです。小学校にボランティアでロボット講座で行うときなど、「ウチの子供たちは集中力がないので頻繁に休み時間を取ってください」とおっしゃる先生が多いのですが、蓋を開けてみると子供たちは夢中で試行錯誤し、集中力が途切れることはありません。学校の先生でしょうか?科学館などの授業で熱心に私の授業をメモしている父母の方もいらっしゃいます。

これは、ロボット教材という優れた「ハンズオン教材」(視線8・9・63・64回参照)と「コンストラクショニズム」(視線2~4回参照)という教育理論が合致してなせる業なのです。しかも、活動は「オープンエンド」(視線11・12回参照)であり、課題の答えは1つではなく、子供たちの考えにより千差万別なアプローチが可能となります。
当然、課題設定には「発達の最近接領域」(視線44・60回参照)が考慮されなければなりません。これらが綿密な計算のもとにデザインされ、上手く融合された時に初めて子供たちの『白熱』が生まれます。そして、この『白熱』の中から子供たちは多くのものを学び取ることができるのです。要するに、「教材」と「カリキュラム」、そして「指導方法」が三位一体となって初めて『白熱授業』が実現できるということです。

「科学的リテラシーを向上させる優れた理科授業に関する教師用ビデオ教材の開発(平成22年 研究者代表 小倉康(国立教育政策研究所)」というA4版426頁に及ぶ分厚な、平成19年~21年科学教育研究費助成金・研究成果報告書が手元にあります。この内容は改めてご紹介する機会もあるかと存じますが、最後の方に「『ロボットを取り入れた科学的リテラシーの指導法』ワークショップ」という章があり、ここには私共が実践してきたアクティビティ(活動)がいくつも紹介されています。
国立教育製作研究所は「教育政策に関する総合的な国立の研究機関として、学術的な研究活動から得た成果を、教育政策の企画・立案にとって有意義な知見として集約・提示する立場にあります。また、国際社会において日本を代表する研究機関であるとともに、国内の教育に関係する機関や団体等に対して、情報を提供したり必要な助言・支援を行う立場にあります」(http://www.nier.go.jp/index.html)。
すなわち、国の教育政策を決定する機関となります。私共の教育実践が国の教育政策に微力ながら影響を与えつつあるのを感じます。

私共の教育実践を広く普及しなければならないという使命感を常に持っていました。しかし、私共が築き上げてきたカリキュラムが独り歩きし、「コンストラクショニズム」という指導方法が伴わなければ、真に「科学的リテラシー」を育てる教育にはなりません。そこで、RISE科学教育研究会では指導者を育成することを目的に『ロボット教育・指導者養成講座』(http://www.rise-j.net/)を始めました。初回は今年9月に行いましたが、参加者はわずか3名でしたが、学校の先生、学習塾の先生、一般の方というように異なった立場で関心を持たれたようです。次回は、2012年1月22日(日)になります。ご興味がある方は奮ってご参加ください。

To be continue・・・