2011年9月1日木曜日

【第62回】RISEサイエンス・キャンプ2011報告

~ 科学三昧の3日間 ~

高尾は暑かった。『サイエンス・キャンプ』(子どもゆめ基金助成活動)を行った8/9~11、高尾は猛暑日を記録。初日のうだるような暑さの中での高尾山登山に始まり、最終日にはスコールのような雷雨で戸外から慌てて室内に逃げ帰ったり、一瞬の停電に驚いたり。しかし、そんな暑さに負けないくらい熱い科学活動を行いました。

2005年にスタートし、2007年に場所を高尾に移したRISE科学教育研究会(中島晃芳代表)主催の『サイエンス・キャンプ』は、普通のキャンプとは一味もふた味も違います。テントを張ったり、飯ごう炊さんのご飯を食べたり、キャンプファイヤで楽しんだりするのは当り前。専門家による自然観察、昆虫採集、食育講座は毎年恒例です。
定番の中でも最も特徴的な活動は、「データロギング」。レゴ社製のロボット製作キットを用いて、各種センサーが取得したデータをパソコンにアップロードし、データを読み取る活動です。センサーを使った「暗号解読ゲーム」も、子供たちが熱中するメニューの一つです。

今年は、エネルギーや環境問題と関連付けながら「データで探る山の自然」をテーマとしました。登山の最中に光センサーと温度センサーでデータを収集し、道中の環境や体感温度の変化との関連を考察しました。チームごとに登山ルートが異なるので、それぞれのルートの特徴が表れた異なるデータが得られたことは、とても興味深いことでした。
自然観察の専門家からは高尾山の環境の変化と生物の変遷について学びました。また、エネルギーを自分で作る火起こし体験や、自分たちで制作したソーラークッカーを使ってのゆで卵づくり。二酸化炭素の発生実験や温暖化実験、植物の光合成実験、風力や太陽光による発電の実験。これらをデータロギングと組み合わせて行いました。そして、燃料電池カーの製作と実験、競技も。

アメリカで開発された環境教育プログラム『プロジェクトワイルド』は、昨年導入しました。これは「自然を大切に」と理解するだけでなく、「自然や環境のために行動できる人」を育成することを目的としています。今回のキャンプのフィナーレとして、『トンボ池』というアクティビティを行いました。
トンボ池という美しい自然を残す池に水力発電所をつくる計画が持ち上がりました(設定はオリジナルのものをアレンジしています)。参加生徒たちは電力会社や関連企業、住民などの立場に立って自分の意見を主張し、最終的にどこにどんな施設をつくるかを決めなければなりません。これは単なるディベートではなく、相手の主張を打ち負かせばいいという訳ではありません。自分の立場を主張しつつ合意形成を図らなければならないのです。
各チームは合意形成の結果に基づく地図を手にして、修了式の場で父母の皆様の前で発表しました。しかし、話はそれだけれは終わりません。周辺地域や国、世界との関わりを最後考えなければならないことに到ります。生徒たちは皆真剣に考えて議論し、短い時間の中で多くのことを学んだようです。

目まぐるしいスケジュールでしたが、参加生徒は朝早くから原っぱを駆け巡ったり、ツリーハウスで飛び跳ねたりと到って元気です。活動中もうつらうつらと舟をこぐ子もいません。よほど充実した時間を過ごしていたのでしょう。帰宅してから一気に疲れが出たのではないでしょうか?

年間を通した教育活動『こどもロボット研究室』の一環として、9月には2泊3日の『ロボットの鉄人』合宿、10月・11月には『自律型ロボット製作講座』を開催予定。子供たちの輝く笑顔と未来を思い描きながら、RISEは新しい学びを提言し続けます。


To be continue・・・