続・グローバル化時代の学力(2)
-プログラミング・スキル-
2012年度から学習指導要領が新しくなり、中学校の技術・家庭科の授業で「プログラムによる計測・制御」が必修になりました。文科省が公表している解説には下記のような記載があります。プログラムによる計測・制御について、次の事項を指導する。
ア)コンピュータを利用した計測・制御の基本的な仕組みを知ること。
イ)情報処理の手順を考え,簡単なプログラムが作成できること。
昨年12月アメリカで行われた“Computer Science Education Week”で、オバマ大統領が行った『全ての人よ、プログラミングを!』という演説が話題になりました。「プログラミングを学ぶことは、みなさんの将来にとって重要なだけでなく、アメリカにとっても重要です。アメリカが最先端であるためには、プログラミングや技術をマスターする若手が必要不可欠です。新しいビデオゲームを買うのではなく、作ってください。最新のアプリをダウンロードするのではなく、設計してください。それらをただ遊ぶのではなく、プログラムしてください。誰もがプログラマーとして生まれたわけではなく、少しのハードワークと数学と科学を勉強していれば、プログラマーになることができます。あなたが、誰であっても、どこに住んでいてもコンピューターはあなたの将来において重要な役割を占めます。あなたがもし勉強を頑張れば、その未来は確かなものとなるでしょう」と。
シーモア・パパートの下で98年に「レゴマインドストーム」を開発したミッチェル・レズニック(MITメディアラボ教授)は、03年に学習用プログラミング言語「スクラッチ」を発表しました。TEDカンファレンス『子どもにプログラミングを教えよう』で、彼はプログラミング学習の効果について次のように語っています。「子供たちは、スクラッチのプロジェクトを作りながらプログラミングを覚えていきますが、さらに重要なのはプログラムを書くことで学ぶということです。読み書きを学ぶことで他の多くのことを学ぶ可能性が開けます。同様に、プログラミングを学ぶことで他のいろいろなことを学ぶ機会が開けます。(中略)ビクターがこのプロジェクトに取り組みスクリプトを作っていたとき、彼はデザインのプロセスも学んでいました。ぼんやりしたアイディアから始めて、それを本格的な実際に機能するプロジェクトにする方法です。彼はデザインの核となるいろいろな概念を学んでいたのです。新しいアイディアをどうやって試すかとか、複雑なアイディアを単純な部分へと分割する方法や、他の人とどう協力していくかとか、期待したように動かないときにどうバグを見つけて直すかとか、物事がうまくいかない状況でいかに粘り強く方向性をもって前に進んでいくかなど、これはプログラミングに限らず重要なスキルです。いろいろな活動において重要なものです」
当アカデミーの「ロボット・サイエンス」のコースでは、オリジナルの自律型ロボットを製作するので、当然プログラミングの学習が中心になり、PDCAサイクルによるロボット開発を行います。ロボットコンテストに出場する時には必ずチームを組まなければなりませんので、活動を通して、コミュニケーション能力やチームワーク力、計画性やスケジュール管理、問題解決力、粘り強さを身につけていきます。それだけでなく、プレゼンテーションも要求されるので、プレゼンテーション力やデザイン力、表現力も必要になります。
「ブロック・サイエンス」のキッズ・クリエーターⅡ以上でも、製作物を自動制御するためにプログラミングを行っています。また、「リトル・ダヴィンチ理数教室」のダヴィンチ・ジュニアⅡでは、ミッチェル・レズニックが開発した「スクラッチ」を使って、図形を描くプログラミングを扱っています。どのコースでもプログラミングを組み入れていますので、在籍生の全員がプログラミングを学ぶことができます。
生まれたときからITやインターネットが当たり前にある今の子供たち=「デジタル・ネイティブ」の世代にとって、これからの時代を生きていくためには、プログラミング・スキルがますます必須となっていくことでしょう。また、プログラミングの学習を単なる目的に終わらすのではなく、「プログラミング学習を通して、何を学ぶべきか?」が問われる時代になっているのではないでしょうか?
トゥルース・アカデミー代表 中島 晃芳
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