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2025年3月26日水曜日

【最終回】Truthは36年の歴史に幕を閉じます

~長い間ありがとうございました~

 トゥルース・アカデミーが教室として36年、教育用レゴブロックやロボット教材を活用したSTEAM教育の教室として25年が経ち、今月末でその歴史に幕を下ろします。STEAM教育を始めたころは、なかなか教育としての意義を認めていただけませんでした。しかし、科学館や学校での普及活動、ロボットコンテストの運営、生徒たちのロボコンでの活躍などを通して、今では、ロボット教育やSTEAM教育のパイオニアとかレジェンドとか言われるようになりました。最後に歴史を振り返ってみたいと思います。


1988年 板橋区にて「トゥルース進学アカデミー」という名称で、進学塾としてスタート
子供たちには、高い目標を掲げ、自分の可能性が無限であることを知り、その目標に向かって自らが責任を持ち誠実な努力を行うことを体得してもらいたく、「高き目標を掲げよ! 学習とは自らとの闘いであり、学力とは自らが生きてきた軌跡である」をモットーとしていました。
2000年 レゴとロボットの科学教室を城北教室(板橋区)でスタート
プログラミング教育を模索している中、ロボット教材「レゴ・マインドストーム」と出合い、今で言う「STEAM教育」をスタートさせました。プログラミング教育・ロボット教育の始祖・シーモア・パパート(MIT)が説く「コンストラクショニズム(構成主義)」という教育理論を日本の教育に広げることを使命としました。「子どもたちは生まれながらにして科学者であり、芸術家。輝ける個性と才能を思いっきり伸ばし、世界の舞台に羽ばたいてほしい ― それがトゥルース・アカデミーのモットーです」を掲げました。知的好奇心と探求心を刺激し、気づきや発見の感動を通して創造力と問題解決を育成する、独自のカリキュラムを築いてきました。その後、2001年に日吉校(2018年に閉校)、2004年に飯田橋校を開校しました。城北教室は2005年練馬に移転。
2001年 ロボカップジュニアと出合う
関東での初めてのロボットサッカー競技会が日本科学未来館7階の小さな会議室で行われて、城北教室の生徒1人が参加。池田・中島が初めて審判を務めました。その後、FC日吉の4人組の活躍から始まり、多くのトゥルースの生徒たちが大会で活躍するようになりました。私も2004年関東ブロック大会、2005年日本大会(どちらも日本科学未来館で開催)の総指揮を執り、2004年に関東ブロック運営委員会を立ち上げ初代ブロック長を務めました。また、予選となる神奈川ノード(現在の神奈川・西東京ノード)を立ち上げ、運営。そして、2014年からロボカップジュニア・ジャパンの理事を務めております。一方、普及活動として杉並区立科学館、日本科学未来館で毎年の講座を担当したり、小中高校への出張授業(場合によっては1年間担当)を行ったりしてきました。その後、FLLやRoboRAVE、宇宙エレベーターロボット競技会と、子供たちの活躍の場が広がっていきまた。
ロボカップジュニア関東ブロック
中央林間小へロボット出張授業
2002年 夏期特別授業(夏休みサイエンス講座)がスタート
通常授業は週1回50分授業ですが、もっと時間を取ってじっくりと「プロジェクト学習」を行いたいと考え、
70分~90分×2回の授業を夏休みに行う「夏期特別授業」をスタートしました。冬休みはこの年から各教室で「クリスマスパーティ」を行い、レゴのゲームや作品コンテスト、生徒が製作したレゴを使った映画の上映を行いました。2003年からはロボットコンテストなどを加えて会場を品川区の「きゅりあん」に移し、7階全フロアを借り切り、毎年生徒やご家族、友人などで数百名が楽しみました。しかし、ロボカップジュニアの大会が前倒しになり時期が重なったため、2009年最後となりました。その後「冬休み特別授業」に切り替えました。なお、1か月かけたクラスのメンバーがチームとなってプロジェクトの取り組む「卒業制作」は2006年から始まっています。
夏期特別授業「学ぼう!耐震構造」
レゴムービーで映画製作
オリジナル競技で開催、NESTロボコン
クリスマスパーティーで開催したロボコン「「X'masチャレンジ」表彰式(2008年)
2003年 NESTの前身RISEを立ち上げる
2001年から「こどもロボット研究室」というロボット講座を都内各地で開催してきましたが、現在のエレファントアリー(八王子)とエルプレイス(戸田・浦和)、フォルツァ(野田)を運営する仲間と任意団体「RISE科学教育研究会」を設立しました。そして、都立産技高専の名誉教授や教授が参加して下さり、2012年「NPO法人科学技術教育ネットワーク」(NEST)へ。現在でも続く「NESTロボコン」「ロボットの鉄人」(2泊3日の合宿)の他、「サイエンスキャンプ」(2泊3日)や「オーシャンプロジェクト」(1泊2日)という、山や海でのデータロギング活動やロボットでのシミュレーション活動、指導者養成講座を行いました。これらの活動は、ICTを活用した教育実践事例の全国コンテスト「ICT夢コンテスト」で2011~13年、3年連続で「CEC奨励賞」を受賞。また、モンゴル高専(ウランバートル)にも2回訪問し、1年生全クラスに授業を行いました。
サイエンスキャンプでデータ分析
サイエンスキャンプでデータ採取しながら自然観察
サイエンスキャンプでエネルギー実験
オーシャンプロジェクトで海洋観察
シュノーケリングで海中観察、オーシャンプロジェクト
ICT夢コンテストでNESTの活動をプレゼンする中島
ICT夢コンテスト受賞
2004年 初の世界大会出場
城北教室のサッカーチーム「クイック&スロー」がトゥルース初の世界大会出場を果たしました。リスボンで行われ、4位の成績を残しました。その後、06ブレーメン、07アトランタ、10シンガポール、11イスタンブール、12メキシコシティ、13オランダ、14ブラジル、15中国合肥、16ライプツィヒ、19シドニーに出場。最大数チームが参加することもあり、世界チャンピオンも多数輩出しました。また、アジアパシフィック大会にも17バンコク、19モスクワ、21愛知に参加しています。
2010シンガポール世界大会で優勝「3t-robot」
世界チャンピオンAmalgam(2013年)
振り返ってみると、2000年からの数年間で現在のTruthの基礎がほとんどできていたことに我ながら驚きます。その数年でまいた種が大きく成長し、現在のTruthにつながっていることを実感します。子供たちの輝く笑顔に毎日囲まれ、そして、保護者の皆様が私共の教育理念をご理解下さり、ご支援、ご協力くださったからこそ、Truth独自の教育を25年間も続けてこられたのだと思います。

通われている皆様には、最後まで責任をもって学習を続ける機会をご提供することができませんこと、心よりお詫び申し上げます。Truthの教室はなくなりますが、今後もNESTやロボカップジュニア、RoboRAVE、宇宙エレベーターロボット競技会の役員は続けていきますので、これからも皆様と顔を合わせることがあるかと思います。またお会いできることを楽しみにしております。

改めて、皆様のご支援とご協力に心より感謝申し上げます。お子様たちが成長し、大きく羽ばたいてくれるよう、陰ながら応援してまいります。本当にありがとうございました。

<ブログでTruthの歴史が見られます>
■Truth通信(2010年以降):https://truth-tsusin.blogspot.com/
■トゥルースの視線(初回から):https://truth-shisen.blogspot.com/

トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳

2025年2月4日火曜日

トゥルースの視線【第198回】卒業生からの言葉

 ~ 熱い日々を共に生き、皆立派に社会に巣立ちました! ~

 

 トゥルースが閉校することを知った卒業生からも、温かい言葉をもらいました。トゥルース最初のロボットの生徒(後に「FC日吉」と名乗った4人:視線117https://truth-shisen.blogspot.com/2017/04/117.html)からは、LINEでメッセージを送ってくれました。出会った当初は小学低~中学年くらいの子たちがもう30才台になり、結婚をしていたり、子供ができていたり、世界を飛び代わっていたり、研究に励んでいたり、立派になりました。

 

●帰る場所が一つ減った気がします。フィールドは変わりましたが、今でも世界各地で暴れ回ることのできる素地をつくっていただいた先生方、仲間たちには本当に感謝しています。 

Truthは今の活動の原点だと思っています。 

●今でも初めて教室に行った時のことを鮮明に覚えています。今では当たり前のようにプログラミング教室が多く存在しますが、自分たちが小学生だった当時においては振り返ると最先端の教育を受けさせて貰っていたんだと思います。レゴで学んだ授業は、今の4人がものづくりで世の中に貢献してることの礎になったのは間違いないと思います。社会人となった今、より深く感謝しています。

 

 また、卒業してから講師として後輩指導を行ってくれ社会人として活躍しているOBや、今年の4月に社会に巣立つOBからもメッセージをもらいました。

 

●教室閉鎖とのこと、突然のお話に驚くとともに36年間という長い間、常に新しい教育を行ってきた先生に改めて尊敬の念を抱いております。私は生徒としても講師としてもトゥルースに通い、多くのことを学びました。私の思考力や自己管理能力の大部分はトゥルースで身に付けられたものであり、もしトゥルースに通っていなければ、今の私にはなれていなかったです。長きにわたり、多くの生徒に貴重な学びを提供してきた先生のご尽力に深く敬意を表するとともに、私自身多くのことをトゥルースで学べたことに心より感謝申し上げます。 

●私が生まれたのが1998年、トゥルースがSTEM教育を開始したのが2000年ということで、本当に良いタイミングで生まれ、良いタイミングでトゥルースに出会い、中島先生・池田先生をはじめとする良い師、良い仲間、そして良い教材に恵まれて、生徒としても講師としても楽しく過ごすことができました。高専進学をはじめ、その後の進路にも大きく影響を受け、トゥルースとの出会いが人生の最大の分岐点といっても過言でないです。

12歳でトゥルースに入って、先生方や先輩、同期から沢山刺激を受けました。先輩のロボットを真似しながら取り組んだ最初のレスキュープライマリ、最高の先生方に教えて頂いたメイズの授業が懐かしく思い出されます。質問をすれば一緒に考えてくれる環境があったこと、成果を発表できる場があったことが、答えのない課題に対して学びながら取り組む姿勢を自然に身につけることができたと感じています。

●講師になってからは、生徒の時以上に学びが多かったように思います。特にメンターの業務では、自分がただ教えるだけのティーチャーにならず、生徒が自分で考えて取り組むのを助けるファシリテーターである事の大切さを痛感させられました。偉大な先輩方の後任は私には荷が重く、期待された働きをできたかは分かりません。ただ、トゥルースの教育の一端に携われたことは私の誇りです。

 

 トゥルースと出会って、それが人生の方向性を決めるきっかけとなったという話を聞くと、教育の大切さ、その責任の重さを改めて感じます。一歩も逃げないで生徒と真正面から向き合うことを信条としてきました。時には、これでよかったのか?もっと違う方法があったのではないか?と悩み苦しむときもありました。今は、共に過ごした時間、そして、今過ごしている時間の大切さをかみしめて、トゥルースの揺るぎない理念を最後まで貫こうと思います。残り少ない日々となりましたが、よろしくお願いいたします。
2002年当時のFC日吉


2025年1月26日日曜日

【第197回】新年のご挨拶

 ~トゥルース・アカデミー36年の歴史を閉じます~

明けましておめでとうございます。

 年末に在籍生と保護者の皆様にはお知らせいたしましたが、トゥルース・アカデミーは今年の3月をもって閉校いたします。教室として36年間、レゴとロボットの教室として24年間、皆様に支えられ、歩んでまいりましたが、ここで歴史を閉じることといたしました。

 お知らせしてから、多くの保護者の皆様からメールをいただきました。 ●もうショックで、ショックで言葉になりません。大変なご決断であったとは十分承知しておりますが、残念としか言いようがありません ●閉鎖の件、拝読し大変驚き残念に思っています ●正直とても悲しい気持ちでいっぱいです。昨晩閉鎖の話を〇〇にしましたが、泣いて『いやだよ。トゥルースじゃなきゃもうやらない』と言っていました ●親子共々心からトゥルースの授業を楽しんでいたので本当にショックです ●家族でショックが大きく、親子で泣きました」…。1/5ロボカップジュニアの活動に来た中3男子が「俺、マジ泣いた。だって本当にちっちゃい頃から通ってるんだよ。

多くの方々を落胆させてしまったこと、本当の申し訳なく思っております。温かいお言葉もたくさんいただきました。

●長い間、日本の草分けとしてのご活躍、感謝しかございません。トゥルース・アカデミーがなければ、今の息子もだいぶ違った形で成長していたかもしれません ●問題提起、目標を立てレゴを作って最後に発表というスタイルで学べるのは非常に有り難かったです。学習塾よりも大切な個性や感覚を育ててくれるカリキュラムで、この教室の貴重な資産だと思います ●いつも全力で子どもに数学、科学、物理の楽しさを教えていただき大変感謝しておりました ●他の習い事は行きたくないと言う日もありましたが、トゥルースだけは必ず行くと言っていました ●たくさんのロボット教室、科学教室はありますが先生は唯一無二で、子どもと一緒に楽しんでくれる先生に出会えて本当に良かったと思っています ●まず、先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。自分で考えて行動する楽しさ、モノづくりの楽しさをトゥルース・アカデミーで体感できたと思います。〇〇にとっても唯一無二の場所でした ●Truth AcademyのSTEAM教育の方針に感銘を受け、幼少期よりお世話になり、これまで先生方に育てて頂いた事に感謝の気持ちでいっぱいです ●〇〇がレゴブロックを習いたいと言ったとき、私はTruth Academyが近所にあって良かったと思いましたし、近所でなくても通わせたいと思ったくらい理想的な教室でした ●我が家の子育てにおいて、トゥルース・アカデミーは重要な伴走者で、本当に沢山助けていただいたと思っています。ここでの学びは、単にSTEM教育、ロボットプログラミングというだけでなく、人格形成や社会性の成長にも大きく良い影響を与えて下さったと感じています。特に長男はトゥルースに出会わなければ、将来への展望もこれほど明確にはならなかったと思います。やっと時代が追いついて来て、高いレベルの先駆者としてトゥルースが存在しているのは意義深いことだと考えていましたが、それも先生方の情熱と献身の賜物。我々も頼りにしすぎてきてしまったなと反省する気持ちもあります。

その後教室でもロボカップジュニアの会場でも、お会いした保護者の皆様からも「Truthの教育は唯一無二」という言葉を多く頂きました。ブロックサイエンス、リトルダヴィンチ、ロボットサイエンスの全ステップの全授業、夏冬春の特別授業の全てをオリジナルで作ってきた甲斐があったことを改めてしみじみと感じ、私共が行ってきた教育に対し、深いご理解とご協力をいただいたことに、感謝の念しかありません。また同時に、ご期待に応えられない状況になってしまったことに対し、お詫びの気持ちでいっぱいです。

 卒業制作やロボカップジュニア2025ジャパンオープン名古屋と3月末まで活動は続きます。残り僅かな期間になりますが、講師一丸となってTruthらしい授業を最後までご提供いたします。何卒宜しくお願い申し上げます。
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳
中島

2024年11月26日火曜日

【第196回】ノーベル化学賞もAI研究者に!

 ~ AIが生み出すブラックボックスの可能性~

10/9(水)スウェーデン王立科学アカデミーは、2024年のノーベル化学賞をワシントン大学のデイビッド・ベイカー教授と、グーグルのグループ会社で、ロンドンに本社のある「DeepMind」(ディープマインド)社のデミス・ハサビスCEO、研究チームのジョン・ジャンパー氏を合わせた3人に授与すると発表しました。たんぱく質の立体構造の高精度な予測や新たなたんぱく質を人工的に設計できるAI技術を開発し、生命科学の研究や創薬に革新をもたらした功績が評価されたとのことです。AIでヒトの体を構成するタンパク質の形を簡単に予測できるようになることで、その体に効果的に働く薬を見つけることがより簡単になります。がんや難病などに効く薬や、治療法のさらなる開発につながると期待されています。

これで、今年のノーベル賞は、物理学賞と化学賞の両賞がAI研究者に与えられたことになります。AI研究の第一人者である東大の松尾豊教授は、「2日連続のAI関連の授賞は、科学のパラダイム(規範)が変わりつつあるということかもしれない。従来の理論や実験科学から、データやAIを使って新しい領域を切り開く方向にシフトしなくてはいけないという意味合いも感じる」(日経新聞)「科学は今まで、人間が〈仮説〉を立て、〈実験〉をしてトライ&エラーを繰り返すことで〈結果〉を出してきた。それが、AIを使うことで“トライ&エラー”が無くなり、簡単に短時間で〈結果〉が出てくる。ただ、なぜその〈結果〉が出たのか、その部分はブラックボックスになってしまう。しかし、人間の理解を超えた“ブラックボックス”ができてしまうが、今後AIが発展していけば、より一層こうした傾向が強まる。ノーベル賞は“これも一つの科学の形だ”と示した」(テレビ朝日)と述べています。

前回予告しました、ホリエモンチャンネルで紹介された、千葉工業大学未来ロボット技術教育センター(fuRo)所長であるロボットクリエーター・古田貴之氏の「異世界転生」の技術も、このブラックボックスにつながります。fuRoでは、中国製の安価な四足歩行ロボットをトレーニングすることに取り組みました。物理的なロボットをトレーニングするのには時間とコストがかかるので、4096台のロボットが厳しいトレーニングを受け、何千世代にも渡って能力を進化させることができるデジタル空間に仮想環境「仮想世界」を作りました。なんと、2万世代のトレーニングがわずか5時間程度でできるそうです。しかし、問題は仮想世界で学んだスキル(AI)を現実の世界(物理的なロボット)に移行(転生)させるか?―その異世界転生をどうしたら可能となるか?両者では物理法則や摩擦などが異なるのでその違いを克服するため、仮想世界で訓練されたAIが現実世界に適応し、機能するための「ゲート」を編み出したそうです。

これが驚くべき成果を生みました。ロボットはどんな段差の階段を上り下りすることも倒されても起き上がることも自由にできて、どんな段差や障害物があっても自分で巧みに体を操って歩いて行けます。驚くべきは、カメラやセンサーを使用していないことです!ロボットは激しいトレーニングによって培われた「筋肉の記憶」や「反射神経」にのみ依存しているのです!さらに、屋外でも、行き先を指示さえすれば、自分の力でそこまで移動できるのです。屋外において自動操縦でまともに動く四足歩行ロボットは、世界初とのこと。これらは、仮想世界のブラックボックスでAIが自分で身に付けた成果なので、人間にはどのように学んだのかは分かりません。AI自身が見つけた最適解なのでしょう。

これまではセンサーやモーターなど様々な計算に基づいてプログラミングしていたのが、その必要がなくなってしまうのではないか?この「異世界転生」の技術は、ロボット開発の在り方そのものを変えてしまうように思えます。

ぜひ、動画をご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=Nx82jnOQDU0&t=2s
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳
異世界転生4足歩行ロボット

2024年10月26日土曜日

【第195回】AIの基礎を築いた2氏がノーベル物理学賞受賞!

~ 今では身近となったAI やAIロボット~


ノーベル賞発表写真
スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は、日本時間の8日午後7時前、今年のノーベル物理学賞の受賞者にアメリカのプリンストン大学のジョン・ホップフィールド教授と、カナダのトロント大学のジェフリー・ヒントン教授の2人を選んだと発表しました。2人は、現在のAI=人工知能の技術の中核を担う「機械学習」の基礎となる手法を開発し、その後「ディープ・ラーニング」など新たなモデルの確立につながったということです。

この受賞は多くの人工知能研究者に驚きをもって受け止められました。「コンピューターのアルゴリズムの研究はこれまでの常識から考えるとノーベル物理学賞の範ちゅうではない分野で、非常に驚いている」(東京大学・樺島祥介教授)、「ノーベル賞は情報分野が無いので、どうなるかなと思っていたが、物理で持ってきたのは意外だった」(人工知能学会会長・慶応大学・栗原聡教授)、「物理学賞はふつう、AIなどの情報系から遠い分野に贈られるので、すごくうれしい。社会的なインパクトが評価されているのだと思う」(東京大学・松尾豊特任教授)
人工ニューラルネットワーク(朝日新聞デジタルより)
NHKの報道によると、2人の研究は次のようなものだそうです。「ホップフィールド教授は人間の神経回路を模倣した『人工ニューラルネットワーク』を使って、物理学の理論から画像やパターンなどのデータを保存し、再構成できる『連想記憶』と呼ばれる手法を開発しました。この手法によって、不完全データから元のデータを再現できるようになりました。ヒントン教授はこの手法を統計物理学の理論などを使って発展させ、学習した画像などの大量のデータをもとに可能性の高さから未知のデータを導き出すアルゴリズムを開発しました」。また、ノーベル財団が公表した受賞した研究の説明資料には、現在ファジィシステム研究所の特別研究員である福島邦彦氏と東大名誉教授の甘利俊一氏の2人の日本人がこの分野に大きく貢献したことが記載されていたとのことです。

これらの研究のお陰で、現在ではChatGPTなどの生成AIやAIが搭載されたロボットなども身近になりました。AIロボットは、従来型のロボットと比べてより複雑なタスクを実行できることが特長です。各種センサーやカメラなどのハードウェアから入力された情報をもとにAIが学習を行い、動作を最適化できます。状況に応じた判断が必要な作業や、人間との言葉を通じたコミュニケーションなどがAIロボットの主な用途です。

工業や農業、接客業などの現場で活用されている業務用のAIロボットは、生産性を高めたり、人手不足を補ったりしてくれています。くら寿司がAIで解析した「魚の食欲」に応じて給餌するスマート給餌機を開発し、AIやIoTを活用したハマチのスマート養殖に日本で初めて成功したというニュースも記憶に新しいかと思います。家事をしてくれるロボット掃除機「ルンバ」や、人を癒すソニーの「aibo(アイボ)」やGROOVE Xの「LOVOT(ラボット)」、MIXIの「Romi(ロミィ)」などの家庭用のAIロボットも身近な存在になっています。

自動車部品サプライ―あの最大手のデンソーは、人とロボットの協働に向け生成AIを使った自律型ロボット制御技術を開発しているとのこと。人が自然言語を使って口頭で指示できるロボット制御技術の開発プロジェクトを2023年4月に立ち上げたそうです。日常の中で人間とロボットがコミュニケ―ションを取り、共同作業ができる社会が近づいていることは、とても楽しみです。

しかし、最近驚いたのは、ホリエモンこと堀江貴文氏の「ホリエモンチャンネル」で昨年8月に紹介された、ロボットクリエイターとして有名な古田貴之氏が所長を務める、千葉工業大学の未来ロボット技術研究センター(fuRo)の「異世界転生」と呼ばれる技術です。次回、じっくり紹介しいたいと思います。
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳
アイボ
ラボット

2024年9月26日木曜日

【第194回】科学技術の進化と戦争

 ~ 戦争の在り方を変えたドローン ~

ウクライナでの戦争でドローンが戦争の在り方を変えたといわれています。戦地でドローンが果たす役割は、偵察や監視、攻撃まで実に幅広く、いま世界中の軍事シーンでドローンが大きな存在感を示しています。

 8/11放映TBS「つなぐ、つながるSP 科学が変えた戦争 1945⇒2024」では、ウクライナ軍の攻撃用ドローン工場(工場と言ってもどこかの地下室のようなところ)では3Dプリンターで部品を作り、1台7万円程度だそうです。今年6月にドローン専門部隊を作り、100万台の製造を目指すというが、現場の兵士たちはそれでも足りない、ドローンが多い方が戦争に勝つのだといっています。一方ロシアでもこの2年間でドローンの製造台数が17倍に増えたとのこと。
 
 そもそもドローン自体、もともと軍事利用を目的として開発が始まったものだそうです。「ドローン(Drone)」とは「雄の蜂」を意味しますが、これも一説によると、イギリスの無人飛行機「Queen Bee」に対抗して名付けられた名称だといわれています。1940年代アメリカが開発した爆弾を搭載したドローン「TDR-1」は機首にテレビカメラが付けられ、遠隔操作ができたそうですが、技術的な課題や費用対効果などから実用には至らなかったものの、その後もドローンの軍事開発は続きました。1970年代ごろからは偵察用途での開発が進み、1990年代には攻撃機が実戦に投入されます。2001年にはアルカイダの幹部に向け、無人攻撃機「プレデター」から対戦車ミサイル「ヘルファイア」を発射。これが世界初のドローンによる攻撃だといわれています。
無人攻撃機プレデター
同TBS「科学が変えた戦争」では、19歳で軍隊に入り、アメリカの基地で働く男性をインタビュー。彼の任務委は、スロットルレバーとジョイススティックで1万キロも離れたイラクやアフガニスタンに飛ばしているドローンを操縦し、カメラでとらえた映像を10台ほどのモニターで人物を監視し、命令があれば攻撃すること。彼は4年半の間、4325件の攻撃を行い、殺害した敵の数は1626人。その間徐々に心を病んでいき、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になり、自殺しかけたこともあるという。彼はモニター越しに攻撃した人間が負傷してのたうち回っている姿や、ある家を攻撃した際、その家に駆けこんできた子供が巻き込まれて死んだ姿を目の当たりにしていた。

 攻撃用ドローンには、爆弾を投下するだけはなく、爆弾を積んで対象物に突っ込む自爆型ドローンもあります。太平洋戦争末期、「特攻隊」では多くの日本の若者が海軍の戦闘機「零戦」に乗り、アメリカ軍の艦艇へと体当たりして死んでいきました。しかし、今やわずか6機のドローンでロシア軍艦を撃沈。しかも、ドローンが自爆した際にカメラの映像は途切れるため、敵が死ぬ瞬間を見ることもありません。TBS「科学が変えた戦争」で、ゲーム用ゴーグルを付け、コントローラーでドローンを操るウクライナのドローン部隊の隊長は、敵を殺すときの気持ちについて聞かれると「嬉しいとか悲しいとかという感情はない。強い感情がある訳ではない。ドローンがあれば、ほとんどの人は標的を攻撃することにためらいも感じないだろう」と話していました。

 現在は人間が最終的に攻撃の判断をしていますが、人の指示を受けることなく、人工知能(AI)を駆使して自ら標的を選択し、攻撃するロボット兵器のことを「自律型致死兵器システム(LAWS)」と呼びます。イスラエルが開発したAIドローン兵器は、相手機に敵意があるかどうかを判断して自ら攻撃するとのこと。2021年6月、リビアの内戦で軍用ドローンが、人間から制御されない状態で攻撃をした可能性があることが、国連の安全保障理事会の専門家パネルによる報告書で指摘されていたことが分かり、AIを用いて、自動的に相手を攻撃する兵器が戦場で用いられたとしたら、世界初のケースになるとみられています。

 2022年2月に始まったロシアによるウクライナ戦争、2023年10月に始まった2023年パレスチナ・イスラエル戦争、どちらも終わる気配が一向に見えません。また、人を殺すのが戦争であることも人類史上一向に変わってはいません。一体いつになったらこの地球上から戦争がなくなるのでしょうか?



戦争が起きてほしくない。
戦争は、自国、敵国の差なく、ただ若い兵士と無辜の民を傷つけ殺す。
なぜ戦争がなくならないのか。
なぜ戦争を起こそうとする人間がいるのか。
戦争で利益を得ることに倫理的に耐えられる人間がいるのか。
今も世界のあちらこちらで子供の上に爆弾が落とされている。
なぜ私たちは止められないのか。

坂本龍一
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳
イスラエルが世界で初めて、戦闘でAI制御の自律型ドローン群を使用していた可能性
リビアで使用された自律型AI兵器

2024年7月27日土曜日

【第192回】新たな麻雀ブーム?①

 

 頭脳スポーツとしての麻雀 ~

なかよし麻雀セット
今年、講談社の少女漫画誌「なかよし」2月号で、カード型の麻雀セットが付録になったことが話題となりました。今年1/6~3/23にTBSで放映されたテレビアニメ「ぽんのみち」(全12話)に先駆け、同誌では昨年10月~今年4月までマンガ掲載をしていました。広島県尾道市の元雀荘を遊び場にする女子高生たちの日常を描いたものです。新たな麻雀ブームになっているようです。
なかよし_ぽんのみち
「レジャー白書2023」では、いわゆる雀荘に通う麻雀人口が、ピーク時(1982)2140万人の比べものにはなりませんが、2021年450万人から22年は500万人に増加したとのこと。コロナの影響で「天鳳」や「雀魂(じゃんたま)」などの麻雀アプリゲームが急速に流行り、天鳳の登録者数は現在700万人近く、雀魂は昨年6月1000万人を突破。その影響か、早稲田大や慶応大など首都圏17大学の麻雀部・サークルが競った新歓イベント「皐月祭」は250人が参加。コロナ前の100人ほどから大幅に増えたとのこと。各大学で部員が増え、東京都市大では部員がこの2年で5人から約120人に急増したそうです。

 これまで麻雀と言うと、紫煙が立ち込める雀荘で行う不健康・不健全な賭けマージャンのイメージでしたが、
最近では、「頭脳スポーツ」として人気が高まっているようです。 この新たな麻雀ブームの背景には、競技麻雀のチーム対抗戦のナショナルプロリーグ「Mリーグ」の誕生があります。麻雀のプロスポーツ化を目的とし、2018年7月に発足。運営は一般社団法人Mリーグ機構。初代チェアマンにサイバーエージェント社長の藤田晋氏、最高顧問にJリーグ初代チェアマンの川淵三郎氏が就任しました。2023-24シーズンに参加するチームは9チーム、「1チーム4名構成」「男女混合」がルール化されています。チームの優勝賞金は5000万円、準優勝2000万円、3位1000万円、個人賞もあります。Mリーグに参戦する選手を「Mリーガー」と呼ばれ、俳優の萩原聖人氏もその一人ですし、アイドル的な女流プロ雀士も誕生しています。このMリーガーが人気を博し、子供たちの憧れの的になっているようです。全試合の様子はインターネットテレビ局AbemaTVで配信されてます。その影響か、最近では一般の大人の麻雀も、「賭けない・飲まない・吸わない『健康マージャン』」が流行っており、Mリーグのルールを採用した競技系のノーレート(賭けない)麻雀店も若い人には人気のようです。

 最近では小中高生の間でも流行っており、このGWではいくつかのTV局のニュースなどで取り上げられたり、新聞や雑誌にも掲載されたりしました。また、昨年8月朝日新聞と子ども向け雑誌「コロコロコミック」などが協力した「コロコロカップ争奪!Mリーグ夏休み小学生麻雀大会」では、それぞれ32名の参加枠に対し、大阪大会にはおよそ100名、東京大会にはおよそ140名の応募があったとのこと。優勝は、東京は小3、大阪は小2、どちらも女子だったそうです。

私も教育的関心から、子供麻雀教室に行ってみました。「ニューロン麻雀スクール大井町校」で、イトーヨーカドー6階にあり、12卓もある教室です。代表理事で設立者の池谷雄一氏は、認定心理士の資格を持ち、全国に直営校15校、提携157校、内子供教室13校を展開。日本初の大学公認麻雀部・文教大学競技麻雀研究会に入会し、世界麻雀選手権2002個人三位の実績を持っています。池谷氏とお話し、教育論では同感するところが多々あり、1日ボランティアとして子供麻雀教室のお手伝いをしてみました。日曜日の10:30~15:00。開店前には行列が出来、回転同時に全席が小学生~高校生で埋まりました。中には5歳の子もいますし、男女比もほぼ半々。小さい子は自分の番になると「○〇ちゃんの番だよ」と声を掛けたり、質問に答えたりとなかなか手がかかりましたが、小学高学年以上になると大人顔負けの打ち方をします。やはりMリーガーを目指しているも子もいるようです。

 では、麻雀にどのような教育効果があるのでしょうか?次回考えてみたいと思います。
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳
Mリーグポスター
Mリーグ試合風景

2024年5月27日月曜日

【第191回】ロボカップジュニア関東ブロック20周年記念OB・OG会

 

~ 人生の転機となった思い出を大いに語り合った一日 ~

関東20周年OB会2024_全体写真
4/28(日)日本青年館ホテルにて、「ロボカップジュニア関東ブロック20周年記念OB・OG会」が開催され、ロボカップジュニアのOB・OG、関東ブロック運営の功労者、保護者など60余余が参加しました。

 私とロボカップジュニアの出会いは2002年に遡ります。日本科学未来館7階の小さな会議室で関東最初のサッカー競技会が行われ、Truth生の一人が参加、池田と私が関東初の審判を務めました。そして、04年3月日本科学未来館での関東ブロック大会の実行委員長の任命を受け、全体を統括運営。同年9月、現産技高専名誉教授の中西先生や井上先生の多大なご協力をいただき、「ロボカップジュ二アジャパン関東ブロック運営委員会」が組織され、「公平かつ公正な運営」「教育的観点を大切にする運営」をスローガンに初代委員長を拝命しました。05年5月には日本科学未来館でのロボカップジュ二ア日本大会を運営しました。

私が委員長を3年務めた後、産技高専の黒木教授を始め数名の方々が引き継いで下さり、近年は産技高専の富永教授が2011年~22年の長期にわたり、東東京ノード長と兼務しながら務めてくださいました。23年に産技高専OBでTruth講師も務めてくれた宮下さんが委員長に就任。20才代ならではの新しい発想で関東ブロックの未来の基礎を作ってくれています。その一環として、今回のOB・OG会を企画してくれたのです。この企画にはTruthのOBで講師も務めた名村さんや嶋本さんも加わり、皆社会人として忙しい日々の中奮闘してくれ、実現に至りました。

初期の頃からサッカーに参加していた「FC日吉」のメンバーや高専OBを始め、ジャパンオープンを共にしたり、ドイツ・ブレーメン(2006)やアメリカ・アトランタ(07)、シンガポール(10)、トルコ・イスタンブール(11)、メキシコ・メキシコシティ(12)、オランダ・アイントホーフェン(13)、ブラジル・ジョアソペッソア(14)などの世界大会、タイ・バンコク(17)、日本・愛知(21)のアジアパシフィックに共に参加した多くのOB・OGと再会し、楽しい思い出話をすることができました。世界大会で優勝した世界チャンピオンも何人も来てくれました。多くは社会人になり、自分の専門性を活かしてそれぞれの分野で活躍している様子で、その姿に頼もしさを感じました。まだ大学生や院生のOB・OGもいましたが、自分の進むべき進路を目指し研究に勤しんでいるようです。また、会の最中に第一子が誕生したとの知らせが入り、急遽病院に向かったOBもいました。
 
 企画としては、この20年間撮りためたノード大会・ブロック大会・ジャパンオープン・世界大会の写真をスクリーンに流したり、ジャパンオープンや世界大会の記念Tシャツを飾ったりしましたが、一番盛り上がったのは「ロボカップジュニア歴史テスト」。ジャパンオープンや世界大会にまつわる問題や競技ルールの歴史について問う10問が出題されました。それぞれがスマホで解答するので、即座に集計結果が発表されました。優勝は、2010年ダンスからスタートし、その後産技高専のロボカップ研究部部長を務め、レスキューで世界大会やアジアパシフィックで活躍した、Truth卒業生で講師も務めてくれた小林さんでした。ロボカップジュニアとTruthの生き字引の実力を発揮しての優勝でした。

 私はロボカップジュニアに参加することの意義として、「〇〇年のジャパンオープンに出たよ」「〇〇年の世界大会に出たよ」と言うだけで、その大会に参加した全員とつながることができる、すなわち、全国や世界に膨大な人脈を作ることができることを挙げています。まさに青春時代に、苦楽を共にしたり、お互い競い合ったりした同士であり、競技・ロボット・プログラミングといった共通の話題を有する同世代人や先輩後輩でもあります。これは他ではめったに得られない人生のおける貴重な財産ではないでしょうか。Truthに通う皆がこの素敵な世界に仲間入りできるよう、指導に邁進しなければと強く思い直す機会でもありました。


【参考】ロボカップジュニア初期について (写真のリンクが外れておりますがご容赦ください)
    https://truth-shisen.blogspot.com/2008/
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳
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2024年4月27日土曜日

【第190回】ボードゲームの教育的効果

~ 楽しいからこそ伸ばせる子供の能力 ~

協力ゲーム 「ゾンビキッズ」
リトル・ダヴィンチ理数教室では、様々な算数ゲームを取り入れていますが、「ロボットタートル」や「コリドール」などのボードゲームも行っています。練馬校のフリースクールi-schoolでも「インカの黄金」や「街コロ」「カタン」など、たくさんのボードゲームを用意しています。

戦略性や推理性などから大人もはまるボードゲームですが、コロナ禍の巣ごもりによってさらに人気が高まり、今、日本でちょっとしたブームになっています。10年前は1万人程度だったボードゲーム愛好家の数は、5年前に10万人、そして2022年には27万人にまで膨れ上がったと言われています。東京都でボードゲームを遊べるカフェやプレイスペースは現在確認できるだけ130点を超えているそうです。

 矢野経済研究所は、日本ではボードゲームはコロナ禍のステイホーム需要による伸びは+17%にとどまり、その後は微減傾向となっていると指摘していますが、市場調査会社SDKI Inc.(本社:渋谷区)は、昨年2024年と2036年の予測期間を対象とした世界規模の「ボードゲーム市場」に関する調査を実施し、ボードゲーム市場規模は 2023 年に約 93億米ドルと記録され、2036 年までに市場の収益は約228.9億米ドルに達すると予測しています。さらに、市場は予測期間中に最大 10.67% の CAGR (年平均成長率)で成長する態勢が整っているとしています。
 
 SDKI 市場調査分析によると、市場は教育的価値の増加により大幅に成長すると予想されています。多くのボードゲームは教育的であり、批判的思考、問題解決、戦略的スキルを促進する効果があるため、貴重な学習ツールであると考える親や教育者にとって魅力的であると。また、ボードゲームをプレイすることは、論理的思考の向上と言語作業記憶の向上に直接関係しており、言語スキルや感情スキルなどの社会スキルを向上させることが証明されていると分析しています。日本ボードゲーム教育協会は、「ボードゲームの活用が子どもの豊かな学びた、につながる」と考え、ボードゲームが持つ「学びの要素」について研究しています。その中で、子どもがボードゲームで遊ぶことによって身につく力には、「論理的思考力(システム思考・情報処理力等)」「コミュニケーション能力(リーダーシップ・共感力等)」「創造力(発想力・想像力等)」の3つがあると考えています。実際、最近では、勝敗を重視するのではなく、コミュニケーション型や協力型のゲームが増えてきています。

 ボードゲームやカードゲームなどコンピューターを使わずに、相手の顔を見ながら遊ぶゲームを総称して「アナログゲーム」と呼ばれています。私が師事しているアナログゲーム療育アドバイザーの松本太一氏(東京学芸大学大学院障害児教育専攻卒業)は、発達心理学者ジャン・ピアジェの「認知発達段階論」や心理学のモーツァルトと言われたレフ・ヴィゴツキーの「最近接発達領域」などの理論を基にゲームの選定や指導の方法を説いています。この二人の心理学者は、Truthの教育理念に深くかかわる心理学者です。

ピアジェの提唱する発達段階は、①0歳~2歳:感覚運動期(五感の刺激を求め認知の枠組みの同化・調節を繰り返す) ②2歳~7歳:前操作期(物事を自分のイメージを使って区別・認識できるようになる) ③7歳~11歳:具体的操作期(論理的思考が発達し、他者の立場に立って行動できるようになる) ④11歳~:形式的操作期‘(知識・経験を応用し、結果を予測して行動や発言ができるようになる)の4段階。小学生に当たる③では、「他者視点の獲得」を重視しており、現実の人間関係で他者視点を得るのは難しいが、確固たる枠組みのゲームの中で繰り返し成功体験を積み、他者と関わる自信につなげることの大切さを挙げています。

また、「最近接発達領域」とは、「子どもが自力で問題解決できる現時点での発達水準と、他者からの援助や協同により解決可能となる、より高度な潜在的発達水準のずれの範囲」を意味します。要するに、「一人ではできないけれど、誰かと一緒ならできること」です。この領域に当たる課題であれば、子供は意欲的に課題に取り組み、発達すると説きます。

 最近保護者の方から、ボードゲームをやらせたいけれども一人っ子なのでできない、兄弟姉妹と年齢が離れているのでできない、といった声を時々聞きます。アルゴ大会やトリンカ大会といった算数ゲームのイベントはあるのですが、他のボードゲームができる機会を作れればと思っています。
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳

2024年3月24日日曜日

【第189回】AIとお友達になれるか?

 ~ 問われるAI時代の人間の尊厳 ~

人間が話すような自然な文章を生成できるChatGPTなどの進歩で、「AIと友達になる」という試みが始まっています。1月、来場者が人気コミック・アニメ「邪神ちゃんドロップキック」のキャラクターと、画面越しの会話を楽しむというNTTドコモの技術展がありました。「邪神ちゃんロイド」と名付けられた3Dモデルに話しかけると、音声認識AIで質問を読み込んだ対話型AIが、「まるで邪神ちゃんが言いそうなせりふ」を生成。アニメの音源で学習した音声合成AIを使って、せりふをしゃべる。邪神ちゃんロイドNは、早ければ3月までにドコモが手がけるメタバース「MetaMe(メタミー)」に登場するとのこと。国際電気通信基礎技術研究所の高橋英之・専任研究員は、映像を見た脳の働きを機能的磁気共鳴画像法で調べる実験を通して、「私たちが人間に対して感じる心と、AIやロボットに対して感じる心は、脳のレベルでは大きな差がないのかも知れません」と述べ、人間がAIと友達になれる可能性を示唆しています。一方、先端科学技術のガバナンスに詳しい川村仁子・立命館大教授は、今後は人間社会の仕組みを決めるプロセスにAIの影響が強まる可能性があるため、人間の尊厳に関わることも想定した議論を始めるべきだと警鐘を鳴らしています。人間がAIとどのような関係を結べばいいか?-いよいよ現実的な課題となってきたように感じます。
邪神ちゃんロイドN
「白熱教室」で日本でも有名になった、ハーバード大学政治学教授マイケル・サンデル氏は、「真の問題はAIによって、私たちが現実と仮想の区別を失うかどうかだ。手のひらの中の画面が人間関係やコミュニケーションの中心になっていると、人々のつながりは単にバーチャルなものだと思い込みがちだ。だが実際は、人間であることの意味は生身の現実の人間の存在にある。仮想の存在ではなく、今ここにいる人間と一緒にいて、相手を思いやり、コミュニケーションをとるということだ。実際の友人や祖父母とそのアバターの違いがわからなくなるとすれば、私には人間の真正性(本物であること)が失われるように思える。これは人間性の根幹にかかわる問題だ。だが私たちはこの区別を失うかもしれない。AIが突きつけるこの問いは、平等や民主主義といった価値観をめぐる議論よりも重要なテーマだ」と指摘します。

 最近では、まるで本物の人物と見まがうほどリアルな、生成AIを使ったフェイク動画が大きな問題となっています。政治的な目的で、ヒラリー・クリントンやバラク・オバマなどの有名人を使ったフェイク動画が作られ、話題となりました。日本でも昨年11月、岸田総理のフェイク動画が拡散されました。一方で、日本の生成AI技術を手がけるスタートアップ企業「オルツ」では、本人の容姿や声だけでなく、答えの内容も似ている、米倉社長始め社員全員のデジタル・クローンを作り、クローンの労働にも賃金を支払っているとのこと。「僕らのクローンは、本人といかに一致しているかというところに焦点をあてています。より人間らしいクローンを作るためには、それが必要なのです」と述べます。デジタルの世界で、人間は永久に生き続け、死後も生きている時の本人と変わらぬ表情で、変わらぬ口調で、その人らしい言葉を発し続けていくことも、かなり現実味を帯びてきたように感じます。

その一方、米倉社長は「物事を決める権限を持っているのは人間で、クローンは一切の権限を持っていない。常に自分のために働くAIというものが何なのかを選別していくことが今後の人間に必要なことだと思います」とも語っています。サンデル教授も、「私たちが発明したはずの道具である技術が、私たち自身や人間であることの意味を変え始めたように感じられることがある。だが私たちの生活や未来は自分たち次第だということを忘れないでほしい。技術を制御できなくなるのは、我々が手放したときだけだ。人間の価値ある目的を達成するために技術をどのように使うべきか』という命題は、どんなに賢い機械も私たちに代わって決めてくれることはないだろう」と。

あくまで人間の主体性と責任が私たち人類の進んでいく方向を決めるのだということを、今生きている私たちが強く意識して、身の周りに急速に増えていくAIと付き合っていく必要があることを実感します。
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳

2024年2月27日火曜日

【第188回】国際的学力調査PISA2022の結果

 ~ 日本はトップレベルに!しかし、その実態は…? ~

昨年12月初旬に、国際機関「経済協力開発機構」(OECD)が3年に1度行う「OECD生徒の学習到達度調査PISA(Programme for International Student Assessment)」の結果が発表されました。PISAは、世界各国の15歳を対象とし、単純に知識量を問うのではなく、学びと実生活を結びつけた思考力や読解力などを問うのが特徴。3分野に分かれています。

22 年調査では、数学的リテラシーと読解力において、生徒の解答結果に応じて出題内容が変わる「多段階適応型テスト(Multi Stage Adaptive Testing : MSAT)」手法が導入されました。これにより、生徒の能力をより高い精度で測ることができ、生徒の能力の高低差についての実態が把握しやすくなります。また、3分野以外にも、革新分野としてクリエイティブ・シンキング調査が新たに導入されました。25年にはデジタル社会での学習能力調査も行われる予定です。この革新分野について、日本では18年以降の参加を見送っています。

日本は「読解力」が前回の15位から3位、「数学的リテラシー」も6位から5位、「科学的リテラシー」も5位から2位へと浮上。3分野すべてが世界トップレベルでした。また、前回3分野ともトップだった北京・上海・江蘇省・浙江リージョンに代わり、シンガポールがすべてトップとなりました。
PISAは前々回15年調査からコンピューターで出題・解答する形式になり、前々回、前回と読解力の順位が落ち、要因の一つに端末操作に日本の生徒が不慣れだった点が指摘されました。その後、政府のGIGAスクール構想で端末が1人1台になり、文部科学省は、端末を使い慣れたことも順位を押し上げた要因の一つとみています。実際、授業でのICT機器の活用調査について、18年の時点で日本はOECD加盟国で最下位の利用率でしたが、22年調査ではOECD平均を上回り5位まで上昇しています。また、コロナによる休校期間が他国より短かったことも影響した可能性があると言われています。

一方、PISAでは毎回、3分野のうち1分野を重点調査しており、今回は数学的リテラシーが対象となりました。日本は「数学的思考力の育成」の指標値が、OECD加盟国の中で下から2番目。数学の授業で日常生活と絡めた指導を受けておらず、数学を用いて生活で直面する課題を解決する自信も低い傾向が浮かびました。

また、通信制高校は対象外。テスト日に不登校などで欠席した生徒も受けていません。通信制高校の生徒は近年増えており、23年度の学校基本調査の速報値では、高校の全生徒数の1割近くを占めるまでになっています。また、高校の不登校の生徒は22年度の「児童生徒の問題行動・不登校調査」では約6万人で、2年前と比べて4割も増えています。PISAが、「学校への所属感」で生徒のウェルビーイング(幸福度)を測っているだけに、これらの生徒を除外した調査は、日本の高校生全体の実態をふまえていると言えるかどうか疑問だと、指摘する人もいます。なお、小・中学校における不登校児童生徒数は299,048人であり、前年度から54,108人(22.1%)増加し、過去最多。認定NPO法人「カタリバ」は、中学生の約15%に、授業不参加や「形だけ登校」といった「不登校傾向」があるという調査結果を発表しました。

 Truthも不登校児の問題に取り組むため、昨年10月フリースクールを飯田橋校で開校する予定でしたが、諸般の事情で開校できず、今年2/6に練馬校でフリースクール「i-school」(https://ischool-ta.jp/)を開校いたしました。できるだけ多くの子供たちに学びを届けたいと思います。周囲に不登校でお困りの方がいらしたら、ご紹介いただけると幸いです。よろしくお願いいたします。
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳

2024年1月27日土曜日

【第187回】新年のご挨拶

 ~ 混迷する時代に生きる ~

2022年2月から続いているロシアによるウクライナ侵攻は収束を見せることもなく未だ続き、市民の死者は少なくとも10,058人(国連12/11時点)、世界各地に滞在しているウクライナ難民は634万300人(UNHCR1/3現在)達しています。また昨年10/7、パレスチナのガザ地区を支配するハマスによるイスラエルへの攻撃によってガザ側の武装勢力とイスラエルの武力紛争が勃発。パレスチナ自治区ガザ地区の保健省は1/13時点でパレスチナ側の死者数が2万3843人、負傷者が6万317人に上ったと明らかにし、1/11国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」は、約100日間の戦争で1万人以上の子どもが殺されたと伝えています。毎日悲惨な戦場の映像が流されているせいでしょうか、教室では毎回の授業の初めに、「今日のテーマ」という自己紹介の時間を設けていますが、「もし、タイムマシンがあったらどんな時代に行ってみたい?」というテーマに対して、「戦争のない時代に行ってみたい」と答える子が多く見受けられました。また、混迷を極める情勢を象徴するように、正月のテレビの特番や新聞の特集では、毎年行われている新年の展望についての座談会や討論会などがほとんど見られませんでした。

 そして、元旦に能登半島地震が発生。続いて1/2羽田空港で日本航空が着陸した直後に海上保安庁の航空機と衝突して炎上。2024年は予期せぬ大災害と大事故で幕開けました。未だ地震が絶え間なく続いている中、徐々に明らかになってきた能登半島の被害は想像を絶するものです。地震のメカニズムについても検証が行われ、北岸の広い範囲で地盤の「隆起」が確認され、能登半島では陸域がおよそ4.4平方キロメートル拡大しているとのこと。専門家は「4メートルもの隆起はめったにないことで数千年に1回の現象だ」と述べています。
私は、日本で起きた2つの災害と事故を見て、ある疑問を持ちました。

ロシア・ウクライナ戦争では、「ドローンは現代戦の形を変えた」と言われています。戦地でドローンが果たす役割は、偵察や監視、攻撃まで実に幅広く、両国が大量のドローンを使用していることが報じられました。最近ではAIを搭載したドローン兵器や多数の自律型ドローンを制御する技術も実現されています。しかし、災害後の能登半島は道路が分断され、孤立している集落もあり、物資が届けられていない状況で、「なぜもっとドローンが使えないのか?」。その理由は、通信インフラの障害もあるかもしれませんが、1/2に国土交通省が能登半島全域の陸地を緊急用務空域に指定し、ドローンやラジコンなど無人航空機の飛行を原則禁止にしたことだそうです。捜索、救難活動のヘリコプターなどが飛行する可能性があるためと説明しています。これは、まだ自律型ドローンに求められている安全性への信頼を得ていないことを意味するのではないでしょうか?

羽田空港での事故原因調査は長期化しそうですが、ヒューマンエラーを含む複数要因が重なった疑いが浮上しています。管制官は通常、管制塔から滑走路の状況を目視し、無線で指示を出して復唱してもらうアナログな手法で離着陸を管理しているとのこと。事故が起きた滑走路と誘導路の境には、赤色のランプを備えた停止線灯も導入されているそうですが、これも人間による目視に頼っています。「画像認識AIが、自動運転車、セキュリティシステム、医療画像解析、物体検出と追跡、顔認証、農業など幅広く活用しているこの時代に、大惨事が起こりかねない空港に、なぜ画像認識AIが使われていないか?」。南紀白浜エアポート(和歌山県白浜町)は1/11、富士フイルムとNEC、日立製作所と組んで画像認識AIを使って障害物を自動で検知するシステムの実証実験を始めると発表しました。滑走路の飛行機の運行状況をリアルタイムで画像認識AIを使って監視し、異常があれば知らせるというシステムができるのには、まだ時間がかかりそうです。
能登半島地震発生から1週間後、 災害直後にドローンでの物資輸送は全国初とい

世界経済フォーラムが1/10に発表した調査報告書によると、リスク専門家らは今後2年間に世界的な危機を引き起こす可能性が最も高い要素として「異常気象」と「誤情報」を挙げました。生成AIを使ったフェイクニュースがさらに大きな問題となりそうです。
グローバルリスク 2024年版
発達はしているもののまだ現実の問題を解決するに至っていない技術、発達することによって逆に社会に対して悪影響を及ぼすことに利用されてしまう技術・・・。混迷する時代に生きる今の子供たちには、日々進歩する知識や技術を身につけ、さらに自分たちが取り巻く世界に侵入してくる新しい技術の正しい利用方法を模索し、現実の問題を解決する新しい技術を生み出す力が求められます。混迷する21世紀を逞しく生きるには、「学習するスキル(Learning Skill)」が重要となります。教えられるのではなく、自らの活動を通して自分の力で知識を獲得し構築する力を育てる―それがトゥルースの教育理念です。

新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳

2023年12月27日水曜日

【第186回】NESTが新たなステージへ

 ~ 共励プレイパークができました! ~

NEST(ネスト)は、NPO法人科学術教育ネットワークの略です。NESTの運営母体は、私共Truth Academyと、Truth同様にレゴとロボットの教室を運営する「エルプレイス」(埼玉県)、八王子の共励こども園を母体とする「エレファントアリー」です。さらに東京都立産業技術高等専門学校(産技高専)の名誉教授や教授などの皆さんが参加して下って運営しております。前身は、2003年に結成したRISE科学教育研究会。当時六本木の貸し教室で上記3団体の生徒たちが集まってロボットサッカーの競技会を行い、学習の成果を発表したり、お互いの交流を通して学び合ったりしたところから始まりました。

NESTは現在、2003年~「自律型ロボット講座」、04年~「NESTロボコン」と09年~「ロボットの鉄人」合宿を行っていますが、コロナ禍以前は、8月に05年~「サイエンスキャンプ」や10年~「オーシャンプロジェクト」、ロボット教育指導者養成などの事業を行っていました。「サイエンスキャンプ」は、光センサーや温度センサーを搭載した機器をもって高尾山に各班別々のルートで登り、そのデータを分析したり、野外での実験データを解析したりするデータロギングの活動、ロボットを作ってシミュレーションを行う活動など、ICTを活用した科学活動三昧の2泊3日の合宿です。「オーシャンプロジェクト」は真鶴の海をフィールドとして、生物を採取して分類しデータにまとめたり、プランクトンを採取して観察したり、潮の満ち引きや風向風速のデータを採取して分析したり、シュノーケリングで海底の観察をしたりしました。
コロナ禍が明けたらまた休止していた活動を復活させたいと願っていたころ、今年5月共励こども園が「共励パーク」(https://www.kyorei.ed.jp/playpark.html)をオープンさせました。グラウンドやじゃぶじゃぶ池、ターザンワイヤーロープ、ハイジのブランコ
Go!Go!すべり台、丸太登り、ハンモック、レンジャーネットなど野外で思い切り遊べ、工作室もあり、管理棟はプレイルームとして子供には楽しい仕掛けもあって、室内遊びができます。「自然に触れる感動や、自然の危険性を体感しながら、自ら遊びを探し出したり、自発的に遊ぶ体験をする活動」を可能とする自然の遊び場を目指して作ったそうです。栗畑と裏山を買い取り、コロナ禍で生徒がなかなか来られない期間にこども園の職員が力を合わせて木の伐採から整地など開拓し、管理棟など一部の施設を除いて、じゃぶじゃぶ池やグラウンド、石垣、などの施設はすべて手作りで作ったとのこと。毎日が問題解決の連続だったそうです。その結果として出来上がったプレイパークは、共励こども園の教育哲学が込められた、素敵な施設になりました。

 今後も草刈りや薪の処理などの手入れが常に必要となりますが、一方でこの施設をどのように活用していくかが課題となります。そこで、「サイエンスキャンプ」をこのプレイパークで行えないか?模索しているところです。「ロボットの鉄人」「NESTロボコン」「サイエンスキャンプ」は、ICTを活用とした教育実践事例の全国コンテストで、ICTを活用して21世紀の教育の在り方として求められている社会的教育主義を実現したことが評価され、「CEC奨励賞」を受賞しています。久しく21世紀の科学教育には「制御」と「データロギング」が必要と言われていますが、プログラミングによる「制御」は広く認知され普及されたものの、「データロギング」はまだまだといった状況です。最近では小型化し手に入れやすくなったデータロガー教材も出てきていますし、データロギング教育でも先駆的な存在であるNESTですので、共励プレイパークという新たな地で、さらに進化したデータロギングを中心とした「サイエンスキャンプ」が早々に復活できるよう、新たなカリキュラム開発にチャレンジしたいと思っております。楽しみにお待ちください。
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳
共励プレイパーク
自然あふれる共励プレイパークに、NEST理事ら集結(5月)

2023年10月27日金曜日

【第184回】飯田橋校でフリースクールを開校!

 ~ 教科の学習とSTEAM教育、学び放題のフリースクール「i-school」 ~


東京都内の公立校で2021年度に不登校だった小中学生は2万1536人。統計のある1966年度以降、初めて2万人を超えました。不登校の子の割合は小学生が全体の1.3%、中学生は全体の5.3%にあたり、9年連続で増加しています。過去5年で小学生は2.6倍、中学生は1.6倍に増え、小学生の増加率が目立ちます。背景には、いじめの低年齢化があるようです。いじめの認知件数は、都内の学年別の統計が公表され始めた14年度は中1が最多でしたが、今は小1が最多とのこと。しかし、不登校の原因はいじめだけではありません。学業負担とストレス、学校生活への適応困難、家庭環境、精神的な健康問題、学校への不安感など様々です。

 一方、不登校の子の受け皿は、都内は既存の学校以外の選択肢が他県より多いです。ただ、都教委によると、不登校の小中学生のうち、フリースクールなどに通った記録がある子は5%弱。自治体が設置する教育支援センター(適応指導教室)も14%。選択肢があっても、大半の親子は選んでいないことがわかります。「こうした施設に通うことをポジティブに評価できない風潮が社会的にまだあり、精神的なハードルがある、ことなどが挙げられる」と、全国不登校新聞社・代表理事の石井志昂さんは指摘しています(朝日新聞6/17)。

 トゥルースの視線でも不登校の問題を取り上げてきました。これまでトゥルースにも不登校児は何人かいましたし、現在もいます。この問題を考えるたびに何かできないかと長年心を痛めてきました。考えればトゥルースはアフタースクールですので、昼間の時間は教室が使えます。このコロナ禍で不登校児が急速に増え、いよいよこの問題に着手しなければならないと感じ、フリースクールを立ち上げたいと思う気持ちが強くなりました。

教育歴34年、STEAM教育歴23年のトゥルースがフリースクールとして何ができるか?と考えた時、教科の学習とプログラミング学習、ロボット学習が思う存分できる第3の学び場を提供できれば、という考えに至りました。
フリースクールの名前は、「i-school(アイスクール)」 ⇒https://ischool-ta.jp/。名前の由来は次のような思いからです。
i-schoolのiは、I(私)私が主役! i-schoolのiは、identity(アイデンティティ)のi 自分らしく! i-schoolのiは、individuality(個性)のi 自分の個性を発揮して! i-schoolのiは、idea(考え)のi 自分の考えを大切に!
i-schoolのiは、ideal(理想)のi 自分の理想に向かっていこう!


 教科の学習は、AI学習システムを導入して個別最適化を図り、小学4教科、中学5教科が学び放題。学校の出席認定70%以上の教育システムです。プログラミング学習は、映像授業を活用した完全個別指導で、Scratch・マインクラフトを始め、HYML・CSS・JavaScript・Unityなどのプログラミング言語、LINEスタンプ・3Dイラスト・映像クリエイター・Word・Excelのコースも。ロボット学習は、レゴエデュケーションのSPIKEベーシック、SPIKEプライムを使用。もちろん、算数数学ブロック、算数ゲームも自由に遊べ、個人的に大好きなカードゲームやボードゲームなどを使って生徒同士のコミュニケーションを図りたいと思います。現在、NPO法人科学技術教育ネットワークや、学校の理科実験教材を扱い、レゴエデュケーション日本正規代理店でもある株式会社ナリカ、共励プレイパーク、理科実験を提供する一般社団法人ダイレクトフォースなどの協力を得ています。

 10月スタートを目指し、現在鋭意準備中です。もし身の周りに不登校で悩んでいる小中学生がいらしたら、選択肢の一つとしてご紹介くだされば幸いです。応援の程、よろしくお願いいたします。
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳
QRコー

2023年7月27日木曜日

【第183回】ChatGPTと教育②

 ~ 生成AI(人工知能)とどう向き合うべきか?  ~

7/4文部科学省は生成AIについて、学校で使う際の留意点をまとめたガイドラインを公表しました。学校での適切な使い方、不適切な使い方の例を示し、基本的な考え方として「生成AIを近い将来使いこなすための力を意識的に育てる姿勢は重要」として、学校教育に取り入れていく方針を打ち出しました。その上で、生成AIにすべてを委ねるのではなく、自分の判断や考えが重要であることを子どもたちに理解させることが必要だと強調。子どもの発達の段階を踏まえて利用が効果的かを考慮すべきだとし、特に小学校段階で使わせることには慎重な対応が必要としました。

 ドイツ南西部のフランケンタールにあるカロリネン・ギムナジウム(日本の中学・高校に相当)は「ChatGPTは『重力』と同じで逆らえない。ならば、コントロールを考えるべきだ」というポリシーを掲げ、「いずれ生徒はChatGPTを家で使うようになる。だったら、学校が先手を打ってコントロールすべきだ」と早々に授業に取り入れています。歴史の授業では、第1次世界大戦前夜、ドイツ帝国最後の皇帝ウィルヘルム2世の支持者ならどんなスピーチをするかがテーマとし、ChatGPTに架空の草稿を書かせ、当時の歴史的事実と一致しているか?を検証。英語の授業で取り上げたのは2021年の米連邦議会議事堂襲撃事件。トランプ元大統領だったら支持者にどんな演説をするか?ChatGPTが英語の表現やスタイルがトランプ流か?生徒全員と考えたとのことです。

 日本でも、授業でAIをどのように活用したらよいか、模索が始まっています。愛媛大学教育学部附属中学校の中3理科の授業では、水溶液の性質を学ぶ実験の後に、振り返りをChatGPTに投げかけフィードバックをもらう。東京学芸大学附属小金井小学校の小4道徳では、「転校した友達から届いたはがきが料金不足だったことを友人に伝えるかどうか悩む」をテーマにChatGPTとのやり取りを通して一緒に考える。函館市立万年橋小学校では、学芸会の出し物として劇を行うため、学級活動の時間に台本をAIに作らせる。京都府八幡市立有都小学校の図工では、Text to ImageとMagic Editという画像生成AIを利用して「妖怪お面作り」を。これは余談ですが、東大ではChatGPTを裁判官にした模擬裁判のイベントが開かれ、とても興味深く感じました。
東大「AIによる模擬裁判」
では、家庭ではどのように対応したらいいのでしょうか?東大合格を目指すAIを作る「東ロボくん」プロジェクトを主導した新井紀子・国立情報学研究所教授は、親の向き合い方について、ChatGPTの意義と不可避性を認めつつも、こう話します。「私に10代の子どもがいたら、使わせませんね。子どもにChatGPTを使わせることは、YouTubeを使わせるのと同じ感覚です。他の子がゲームをする姿を見ているだけの子もいます。YouTubeは可能性があるけど、多くの人にとっては可能性を奪う道具です」としたうえで、「ChatGPTをそのまま子どもに使わせたら、作文を書いてもらうとか、調べ物の学習の答えを書かせるとか、楽なことをするに決まっています。そのせいで、時系列に物事を書く能力とか、つじつまが合うように何かをまとめる能力とか、本来、狙っていた教育効果が白紙になってしまいます」「今わが子をChatGPTを使いこなせる大人にするためには、小さい頃はサルとして育てる必要があると思います。鉛筆を使う。消しゴムを使う。物差しをしっかり押さえて線を引く。こうした原始的な体験を積むことが大事、というところに戻るのではないかと思います」と。

今年3月下旬、気候変動問題に悩んでいたベルギーの男性が、ChatGPTではないのですが、AIチャットボットEliza(イライザ)と6週間対話を続けているうちに地球の未来を託せるのはAIしかないと思い詰めるようになり、「自分が犠牲になるから地球を救ってほしい」とElizaに言い残して自らの命を絶ってしまいました。危険性を忘れてはなりません。私も日常的にChatGPTが欠かせなくなりましたが、問いの設定の仕方、返答内容の検証と吟味が必要であること実感しています。確かな国語力、正しく検証する手法、論理的整合性を判断する力などが求められます。現段階では学校や教育現場での正しい指導の下に使用させるべきであり、子供たちに安易に使わせてはならないと感じています。
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳