~ 高まるデータサイエンス教育の必要性 ~
2022年の東京は、北風が強く吹く晴天の元旦を迎えました。コロナ禍が発生してから早2年、一見落ち着きを見せていましたが、オミクロン株が猛威を振るう前の、束の間の嵐の静けさに過ぎなかったのかもしれません。ウィルスと人間の科学との戦いはまだ続きそうです。
昨年6/28スロバキアのクライン・ビジョン社が開発した「空飛ぶ車」が35分間の飛行テストに成功しました。「エア・カー」と名付けられた自動車兼飛行機です。スロバキアのニトラ国際空港からブラチスラバ国際空港までの70㎞を35分間で飛行に成功。着陸後、ボタンを押すとエア・カーは3分でスポーツカーに変身し、そのまま空港から市内へ移動しました。テストでは最高で高度2500メートルまで上昇し、速度も時速190キロまで出たということです。その映像は、まるでSF映画を見ているようです。
↓エア・カー飛行の様子
https://www.youtube.com/watch?v=a2tDOYkFCYo
「空飛ぶ車」の定義は様々ですが、経済産業省は、①電動②自動(操縦)③垂直離着陸を条件としています。
経産省の工程表では、2023年に離島の荷物輸送・観光地の遊覧飛行、25年頃に山間部や都市部の荷物輸送・旅客輸送、30年代に自動無人飛行・自家用を目指すとしており、2025年の大阪万博では、会場の遊覧飛行や会場と関西国際空港などを結ぶエアタクシーサービスを計画しています。
今後さらにAI(人工知能)やロボットの技術が進化し、それに携わる人材も当然必要となります。
昨年、「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」という文部科学省の認定制度が始まりました。数理・データサイエンス・AIに関する知識及び技術について体系的な教育を行うものを文部科学大臣が認定及び選定して奨励するというものです。昨年は大学・短期大学・高等専門学校から78件の応募があり、11件が認定されました。その中には、ロボカップジュニアにもご協力くださり、Truthの卒業生も通う金沢工業大学の「KIT数理データサイエンス教育プログラム」、長岡工業高等専門学校の「AIR Techエンジニア育成プログラム」も入っています。
「データサイエンス」という言葉を最近よく聞きますが、これはデータを用いて新たな科学的および社会に有益な知見を引き出そうとするアプローチのことで、数学・統計学・情報工学・機械学習など多岐に渡る分野と横断的に関係しています。このところ、経営戦略や販売促進にビッグデータや統計学が活用されるようになり、ビジネスシーンでも数学・統計学の必要性が高まっているようです。『数学独習法』の著者・富島佑允氏(大手外資系生保で資産運用部門に勤務)は、代数・幾何学・微積分学・統計学を「数学四天王」と呼び、その全体像をざっくりつかみ、俯瞰できるようになることの大切さを説いています。
また、教育の分野でも、欧米を中心に30年程前から統計教育の重要性が説かれ、データに基づく実践的な統計的問題解決力、思考力の育成を国家戦略として位置付けています。日本でも、平成20・21年度の学習指導要領では、小中高ともに統計教育が充実し、特に高校の数学や新教科の情報、大学入学共通テストではデータの活用内容に重点が置かれています。『こども統計学 なぜ統計学が必要なのかがわかる本』の監修者である渡辺美智子氏(理学博士/立正大学データサイエンス学部教授)は、「統計データを『調べる力』、そこから何かを『読み取る力』、その結果から『身の回りの問題を解決し改善する力』など、総合的な探求力が養える統計学では、すべての人に役立つ、生きる上で強力な武器になるのです」とその意義を説き、「日常の些細な事柄においても感情や思い込みではなく、エビデンスに基づき判断する」「統計リテラシーを育てるには、子どものうちからいろいろな文脈でデータを集め、データに基づいた判断を下す練習をしなければなりません」と、幼いころからの教育の重要性を訴えています。
コロナ禍において、様々なデータや統計、シミュレーションが報道されています。しかし、正しく統計を読む力、統計で考える力を持たなければ、正しい理解も正しい判断もできないのです。算数・プログラミングを扱っているリトル・ダヴィンチ理数教室でもデータサイエンス教育の導入を検討したいと考えています。
新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
― データは21世紀の刀、データ分析ができる人は21世紀のサムライ ―
Google元CEOエリック・シュミット
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳
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