~ トヨタ「ウーブンシティ」プロジェクトがスタート ~
昔から未来の夢の一つとして「未来都市」という言葉はよく使わ れていますが、最近は現実的な意味を帯びてこの言葉をよく聞きます。
『SDGs未来都市』。これは、「SDGs達成のため積極的に取り組 む都市」として内閣府地方創生推進室に選定された都市のこと。 もともとは日本を低炭素化社会に転換するため、温室効果ガス の削減などに対する取り組みが評価された自治体が選出される 『環境モデル都市』(2008~)に、環境・超高齢化対応等に向け た、人間中心の新たな価値を創造する都市であるという要素が 加わり,『環境未来都市』に(2010)。そして、首都圏への人口の 一極集中を改善し、それぞれの地域で住みやすい環境を確保 することで、日本の活力維持につなげることを目的とした『地方創生』が言われ始めました(2014)。これらが複合されて『SDGs未来都市』の募集が始まったのです(2018~)。以来、SDGs未来都 市には毎年30前後の自治体が選定されています。また、SDGs未 来都市のなかでも特に先進的な取り組みをする都市は、『自治体SDGsモデル事業』として選定されます(年間10件)。
『SDGs未来都市』は、SDGsが達成される未来の創造に画期的 な取り組みをしている自治体を指しているので、「未来に出現する都市そのもの」ではありません。一方、「未来の都市そのものの姿を創造しよう」というのが、トヨタの未来の実証都市『ウーブンシティ(Woven City)』プロジェクトです。『ウーブンシティ』は、昨年1月7日、ラスベガスで開催される世界最大規模のエレクトロニクス 見本市「CES 2020」で発表されました。場所は、昨年末に閉鎖さ れたトヨタ東富士工場(静岡県裾野市)の跡地。東京ドーム約15個分に値する175エーカー(約70.8万m2)の範囲で街づくりになり ます。そして、今年2月23日に地鎮祭が行われ、造成工事が本格的に始まりました。2025年までに高齢者や子育て世代の家族 、研究者などを中心に360人程度、将来的にはトヨタ従業員を含む2千人以上が暮らす予定です。
このプロジェクトの目的は、ロボット・AI・自動運転・MaaS(バス、 電車、タクシーからライドシェア、シェアサイクルといったあらゆる 公共交通機関を、ITを用いてシームレスに結びつけ、人々が効 率よく、かつ便利に使えるようにするシステム)・パーソナルモビリ ティ・スマートホームといった先端技術を人々のリアルな生活環境の中に導入・検証出来る実験 都市を新たに作り上げること。まさに、スマートシティです。
「ウーブンシティ」は、日本語に直訳すると「編まれた街」。これは、①スピードが速い車両専 用の道として、完全自動運転かつゼロエミッションのモビリティのみが走行する道 ②歩行者とスピードが遅いパーソナルモビリティが共存するプロムナードの ような道 ③歩行者専用の公園内歩道のような道 の3種類の 道が、網の目のように織り込まれたデザインに由来しています。 地下にも物流用の自動運転車走行道を設置する計画。街の建物は主にカーボンニュートラルな木材で建設、屋根には太陽光発電パネルを設置するなど、環境との調和やサステイナビリティを前提とした街づくりが基本。住民には、室内用ロボットの他、AIで健康状態をチェックするなど、日々の暮らしの中に先端技術を取り入れます。また、街の中心や各ブロックには、住民同士のコミュニティ形成やその他様々な活動をサポートする 公園や広場も整備されるそうです。
今のところ、パートナー企業としては,NTTが「スマートシティ プラットフォーム」を構築し、自動運転技術などを搭載したトヨタ の「CASE車」とNTTの5G(第5世代移動通信方式)、IoT(モノの インターネット)技術を融合。5月10日、ENEOSをコアパートナーに迎えて、水素エネルギーの利活用について検討を進める と発表。ウーブンシティ内に定置式の燃料電気(FC)発電機を設置し、ウーブンシティおよびその近隣における物流車両の燃料電池化の推進を目指すだけでなく、水素需要の実用化に向けての検証および需給管理システムの構築といった目的も兼ねているとのこと。既にトヨタとパナソニックは2019年、街づくり事業に関する新会社を設立しています。まさに日本企業が一丸となってこのプロジェクトを推進していくようです。これよって、 開発のスピードアップが期待されます。
今の子供たちが大人になった時、どのような街に住んでいるのでしょうか?どのような街を創造していくのでしょうか?
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳
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