~ パンデミックという歴史の真只中に生きる ~
2020年希望を与えたはやぶさ2[/caption]2020年はコロナに始まり、コロナに終わりました。東京都は大晦日に2,447人の感染者を記録し、年が明け、1/7に2度目の緊急事態宣言が発出され、2021年はさらに深刻なコロナ禍で幕を開けました。
1/16時点で世界の感染者数は93,844,190人 死者2,008,548人に達しています。14世紀のペストや第一次世界大戦時のスペイン風邪のような、歴史に刻まれるパンデミック(世界的大流行)が頭をよぎります。ペストをきっかけに農奴に依存した荘園制の崩壊が加速、当時の教会の権威が失墜し、中世という時代が終焉を迎えます。そして、ルネサンスを迎えて文化的復興を遂げ、強力な主権国家を形成する近代が生まれたのです。パンデミックは時として大きく歴史そのものを変えることがあります。この新型コロナウイルス感染症のパンデミックが今後どのような軌跡をとるのかは分かりませんが、パンデミックがさらに遷延すれば、私たちは、私たちが知る世界とは全く異なる世界の出現を目撃することになるかもしれません。私たちは今まさにその歴史の真只中に生きているのです。
敗戦の1945年を起点とした場合、75年経った時点が2020年、逆に75年遡ると1870年。五箇条の御誓文が発表されて、元号が明治に変わった明治維新が、その2年前の68年。戦後国家と戦前の明治国家がほぼ同じくらいの時間になります。1/4日経新聞に掲載された、同紙論説フェローの芹川洋一氏「2021年から始まる日本」では、コロナによってコペルニクス的転回とも言えるくらい世の中が変わり、我々自身も行動様式の変容を迫られた2020年は歴史的転換期と捉え、近現代史における周期説を紹介しています。
まず代表的な「15年周期説」。■1915~30年=大正デモクラシー■31~45年=軍国主義■46~60年=戦後民主主義■61~75年=高度成長■76年~90年=低成長。氏はこれを以降に当てはめます。■91年~2005年=バブル崩壊後の「失われた」期間。国際的にはグローバル化の進展■06~20年=逆に振れた時代。経済は再生を目指し、政治は制度改革を行い、反グローバリズム化が加速。そしてコロナですべてが停止状態に陥る。
次に「25年単位説」。●1870~95年=開化と国家建設●95~1920年=帝国主義列強化と階級闘争●20~45年=経済恐慌と戦争●45~70年=復興と成長●70~95年=豊かさと安定●95~2020年=衰退と不安、と位置付けています。親と子の平均的な時間距離である25年が世代の間隔というのが、この見方の根拠になっているとのこと。また、資本主義経済では25年の上昇局面と25年の下降局面を持つ50年周期がこれにかぶさって長期波動と世代間隔の共振作用が起き、2020年がその節目だとすると、日本は今後25年間次なる段階に入ることになる。
芹川氏は、75は15と25の最小公倍数であり、歴史の切れ目には因縁めいたものを感じると述べています。「25年単位説」を唱える東大大学院情報学環の吉見俊哉教授は、「このままでは先がないと思ったときに初めて構造転換が起こり社会が変わる。コロナは黒船だと思ったらよい」と。
コロナによって社会の格差が浮き彫りとなり、民主主義の後退、資本主義の行き詰まりが懸念されている現在、私たちはどこに向かって進んでいくのでしょうか?そして、どのような新しい時代が開けてくるのでしょうか?今、私たちの身の回りで起きていることをつぶさに見続けなければならないと強く感じます。そして、Truthが今できることは、これからどのような時代になろうとも、子供たちが新しい時代の担い手としてより良い社会を築く素養を育てることだと痛感します。自分の目でしっかり見て、自分の頭で考えて、人と協力しながら問題解決し、新しいものを創造していく力を養うことです。芹川氏は言います。「明治の人たちもたぶんそうだったように、ここは令和のわれわれも子や孫のためにも歯を食いしばって踏んばっていく―。そんなしんどい時代だろう」と。しかし、子供を育てることは楽しいことです。子供たちの好奇心で輝く目をいつまでも見ていられるよう、常により良い教育の提供に精進したいと思います。
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳
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