2014年5月24日土曜日

トゥルースの視線【88回】


ロボット・ルネッサンス ①
Googleによるロボットベンチャー買収-
 
 
 
Googleで携帯端末OSアンドロイド開発を指揮した男アンディ・ルービンが1年ほど前に突然その地位を退き消息を絶った。そして昨年12月、同じGoogle社内でロボット開発の長となってその姿を現した。
 
4/30朝日新聞『のまれる日本のロボット技術―グーグル、次世代にらみ買収』では、昨年12Googleがロボットベンチャー8社を一気に買収し、その1社である東京大学発のベンチャー・SCHAFT(シャフト)社を取り上げています。SCHAFT社製のロボット「S-ONE」は、米国防高等研究計画局(DARPA)主催による世界初の人間大ロボットによる競技会『DARPAロボティクス・チャレンジ(DRC)』の予選会で、米航空宇宙局(NASA)マサチューセッツ工科大学(MIT)などの強豪がひしめく中、断トツの1位で予選通過をしました。
 
この予選会には、2年間にわたる厳しい事前調査の結果、世界150以上のチームから16チームが選抜され参加しました。来年、優勝賞金200万ドルを賭け上位8チームによる決勝が行われます。予選競技は、(1)自動車の運転(2)不整地踏破(3)階段踏破(4)瓦礫撤去(5)ドアを開き目的地まで移動(6)電動工具で壁に穴を開ける(7)バルブの閉鎖(8)消火ホースの接続の8種目。競技中のロボットは人間の操作を受けることなく、すべての動作を自律的に行わなければならないので、周囲の状況を判断するAI(人工知能)技術にも高いレベルが必要となります。
 
2001911日の同時多発テロ以降、米軍は戦場での使用を目的としたロボット開発に多額の予算と人材を投じてきましたが、ヒューマノイド(人間型)ロボットには興味を示してきませんでした。しかし、2011311日の東日本大震災と福島第一原発事故がその考えを一変させました。この未曾有の大災害の惨状とその対応状況について分析を続けた米国防総省は、災害現場において本来人間が行うべき作業のすべてを単独で行えるロボットの重要性を思い知り、米国防総省はDARPAを通じて災害対策用ロボットの開発に必要な技術を手に入れるため、世界初の人間大ロボットによる競技会DRC開催を20124月に発表したとのことです。DRC同様、SHAFT社が誕生したのも東日本大震災。東京大学の研究所に在籍していた中西飛雄氏と浦田順一氏が、災害援助活動や原発事故を収束させるため、これまで培ってきたロボット技術を役立てたいと大学を辞め、SHAFT社を立ち上げたとのこと。そのため、災害対策以外の目的を視野にロボット開発を進めてきた他チームとの開発のコンセプトの違いが勝因の一つに挙げられています。
 
GoogleはこのSHAFT社、DRC4部門の内2部門で使用されたヒューマノイドロボット「ATLAS」を開発したボストン・ダイナミック社、AI開発のディープマインド・テクノロジー社などを買収しています。Amazonも物流センター向け運搬ロボット開発会社を2012年に買収、小型無人機を使った配送サービス計画を昨年暮れに発表。グローバルIT企業が次々とロボット産業に参入してきているようです。Googleの真の目的はどこにあるのでしょう? 
 
 
【参考文献】
『軍事研究』20145月号「圧勝!日本の『人間型ロボット』」(ミリタリービジネス研究家・阿部拓磨氏)
DRC公式ホームページ:http://www.theroboticschallenge.org/
WIREDDRC予選の8つの課題を動画紹介):http://wired.jp/2013/12/23/darpa-challenge/
ガジェット通信(競技の様子を紹介):http://getnews.jp/archives/480260
 
 
 
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳
 
 


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