― 日本の教育とどこが違うか ―
フィンランドの教育がなぜ成功したのか。フィンランド教育省は次のように説明しています。
①家庭、性、経済状態、母語に関係なく、教育への機会が平等であること
②どの地域でも教育へのアクセスが可能であること
③性による分離を否定していること
④全ての教育を無償にしていること
⑤総合性で、選別しない基礎教育
⑥全体は中央で調整されるが実行は地域でなされるというように、教育行政が支援の立場に立ち、柔軟であること
⑦全ての教育段階で互いに影響し合い共同する活動を行うこと。仲間意識という考え
⑧生徒の学習と福祉に対して個人にあった支援をすること
⑨テストと序列をなくし、発達の視点に立った生徒評価を行うこと
⑩高い専門性をもち、自分の考えで行動する教師
⑪社会構成的な学習概念(socio-constructivist learning conseption)
上記①~④に見られるように、高福祉国家の特徴として格差を生まない社会を目指し、あらゆる差別との決別、多様性の尊重を実現していることが、まず社会的背景として考えられます。事実、貧富の格差が最も少ない国だそうです。
フィンランドの学力の高さとして、(1)学力水準=平均点の高さ(2)学力格差の少なさ(3)社会経済的な背景の学力への影響の少なさ―が挙げられます。読解力における習熟度レベル別の生徒の割合(2004年)では、社会生活が困難と思われるレベル1未満が極めて少なく、世界の平均より上というレベル3~5がほとんどです(レベル1以下はフィンランド5.7%・日本19.0%、レベル3以上はフィンランド79.8%・日本60.1%)。この点を、PISA調査委員会は、1970年代の教育改革における「平等」の追求が高いレベルの「質」を実現したと評価しています。
どうも、在るべき国家像を求め、不断の努力と改革を行ってきた国と、国家像が示せない国との大きな違いがありそうです。これは、私たち大人が皆、責任を持って考えなければならない課題であるように思えてなりません。
次回は上記⑩の教師像を中心にお話させていただきます。
【参考】
「競争しなくても世界一 フィンランドの教育」 都留文科大学教授・福田誠治
「フィンランドの教育の優秀性とその背景」 東京大学教授・佐藤学
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To be continue・・・ |
教育用レゴブロックや算数ブロック、ロボットなどの教材で学ぶ科学教室トゥルース・アカデミー代表の中島晃芳です。 このブログは、当アカデミーが月に1回発行しているお知らせ「Truth通信」に、2004年より掲載している「トゥルースの視線」をまとめたものです。 科学教育や算数教育、ICT教育、ロボット教育、ロボカップジュニアなどについて私の雑感を書き記しています。ぜひご一読いただければ幸いです。