― 日本の教育とどこが違うか ―
以前にも取り上げましたが、15歳を対象にした「経済協力開発機構(OECD)生徒の学力到達度調査」(PISA 2003)でフィンランドは、数学的リテラシー2位(日本6位)・読解力1位(日本14位)・科学的リテラシー1位(日本2位)・問題解決力3位(日本4位)とすべての項目でトップクラスに位置しており、「学力世界一」「教育大国」として世界の注目を集めています。日本を模範とした六・三制の義務教育、7~14歳児の総標準授業時間は加盟国で最短、学校外の学習時間も最も短い国の一つ。なのに、なぜこれほどまでに高い学力を実現できるのでしょうか?
日本では今年1月24日、政府の教育再生会議の第一次報告が安部総理に提出されました。ゆとり教育を見直し、授業時間の10%増加、読み書き計算能力などの基礎徹底、教員免許に更新制の導入、全国統一テストの実施、いじめっ子に対する出席停止処分など、その内容はマスコミでも大きく報道されました。
そもそもPISAが測定した学力は、知識が高度化・複合化し、流動する社会を見通して、教科の枠を横断しての能力(Cross Curriculum Competence)・問題解決力・批判的思考(critical thinking)・自己肯定感(self esteem)といった、21世紀に求められるリテラシーであって、旧来の「学力」とは異なるのです(視線12回参照)。しかし、日本のマスコミでは、「2+3×4=20と解答する子供が多くなっているから、学力が低下している」といった取り上げ方が多く、PISAの学力観を正しい紹介はほとんど見られません。
かつては「自殺大国」とまで言われたフィンランドは自殺率を劇的に減らし(今や日本はロシア・ウクライナ・ハンガリーに並ぶ自殺大国)、教育大国と呼ばれ、世界一の携帯電話メーカー・キノアに代表されるように経済面でも国際競争力は、世界経済フォーラム(WEF)によると2001年1位(日本21位)・02年2位(日本13位)・03年1位(日本11位)・04年に1位(9位)と、トップクラスです。
数回にわたってフィンランドの教育をご紹介し、日本の教育とどのように違うかを考えてみたいと思います。
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教育用レゴブロックや算数ブロック、ロボットなどの教材で学ぶ科学教室トゥルース・アカデミー代表の中島晃芳です。 このブログは、当アカデミーが月に1回発行しているお知らせ「Truth通信」に、2004年より掲載している「トゥルースの視線」をまとめたものです。 科学教育や算数教育、ICT教育、ロボット教育、ロボカップジュニアなどについて私の雑感を書き記しています。ぜひご一読いただければ幸いです。