2005年10月1日土曜日

【第11回】― オープンエンド・アプローチ① ―


真に高度な思考力とは?

これまで当アカデミーの基本教育理念である「コンストラクショニズム」「ハンズオン・ラーニング」についてお話してきましたが、今回は第3の柱「オープンエンド・アプローチ」について。

学習、特に勉強と言うと、与えられた問題に対して必ずたった一つの正しい答えを求めること(クローズド・エンド)が従来も現在も中心です。一方、「オープンエンド」とは目的(エンド)が開かれている(オープン)こと、すなわち、「正解がない」あるいは「多様な正解が存在しうる」という意味であり、「オープンエンド・アプローチ」とは、オープンエンドの課題を設定し、子どもの柔軟な考え方を引き出す指導法を言います。

この指導法の意義は、以下のように考えられています。
①学ぶ力:自ら考えることのできる力を育成できる
②本当の思考:豊かな創造力と柔軟な思考力を育て、思考の質を高める
③学ぶ意欲:主体的な活動を導き、学ぶ楽しさや充実感を感じ学ぶ意欲を刺激する

端的にいえば、「考えるプロセスに働きかけ」「多様な考えを引き出す」指導法なのです。

18歳学力世界1位であり、OECD(経済協力開発機構)のPISA(学力到達度調査)でも読解力と科学的リテラシー1位、数学的応用力3位、問題解決力3位の教育大国フィンランドの授業風景を以前NHKが紹介していましたが、生徒が答えを言うと先生は「答えを聞いているのではない。なぜか?を聞いているんだ」「それは本に書いてあることだろ?先生が聞きたいのは君の考えなのだ」と、あくまで自分の考えや考えた過程を大切にしていることが分かりました。

実社会では答えは一つではありません。中東のような国際紛争などを考えると、答えがない場合の方が多いのかもしれません。多様で複雑な社会で生きていく上において、自ら問い、自らの頭で考え、「自分の考え」を持つことにより、「自立した個人」としての生きる力を育成する必要があるのではないでしょうか?

「若い成人が未来の調整に対処すべく、果たして充分に準備されているだろうか。彼らは分析し、推論し、自分の考えを意思疎通できるだろうか。彼らは生涯を通して学習を継続できる能力を身に付けているだろうか」(2000年OECD報告書「生徒の知識と技術の測定」序文)
To be continue・・・