2005年5月1日日曜日

【第8回】ハンズオンラーニング①


― 知能の発達とハンズオン ―

これまで6回にわたって「コンストラクショニズム」を扱いましたが、今回は当アカデミーの教育を支える2つ目の柱である「ハンズオンラーニング」についてお話いたします。

「ハンズオン(Hands-on)」とは、文字通り「手で触って」というのが元々の意味ですが、現在では「体験的な」「直接参加の」という意味合いで使われており、「ハンズオンラーニング」とは「具体物を通した、手や体を使った体験的な学び」と言ってよいではないでしょうか。

ハワード・ガードナー教授(ハーバード大学)は、その著書「Intelligence REFRAMED-Multiple Intelligences for the 21th Century」で「Multiple Intelligence(多元的知能)理論=MI理論」を提唱し、ハーバード大学教育大学院では、特長ある教育ツールとして新しい教育の提言を行っています。

MI理論の最大の特徴は、知能は単一の因子では説明できず、現実の社会で見られる様々な行為を司るものとして無数に考えられる知能の候補から7つのものを選び出したことにあります。その7つの知能とは、①言語的知能②論理・数学的知能③空間的知能④音楽的知能⑤身体・運動的知能⑥対人関係知能⑦内省的知能(これに博物学的知能が加えられることもあります)を指します。また、知能は教育され得るものであり変化し成長するもので、ある知能を使うことにより多くの時間をかけるほど、そして、指導と教材が良ければよいほど賢くなると唱えています。

ハーバード大学のあるボストンには「子ども博物館」があり、子ども達が実際に体験したり実験したりできるインターラクティブな展示がひしめき、まさにHands-onの世界で、「なぜ?どうして?」という疑問を抱かせ、その謎解きをするような魅力的なものが多いそうです。ガードナーは、学習のために極めて良い学習環境だと推奨しています。最近では、日本でもHands-onの手法を用いた科学館や博物館が増えているようです。


To be continue・・・