明けましておめでとうございます。
オリンピックイヤーの2020年は、カルロス・ゴーンの国外脱出、イラン司令官殺害など、まるで映画のようなビッグニュースから始まりました。
昨年9月23日、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさん(16才)が国連気候行動サミットで地球温暖化に本気で取り組んでいない大人たちを「How dare you !」と叱責したことを機に、賛同者はどんどん増え、世界各地で若者を中心に気候変動・温暖化に具体的な政策・行動を求める国際的な抗議行動「グローバル気候マーチ」が広がっています。日本でもデモ行進を目にすることがあります。
彼女に対して批判的な意見もありますが、英国の環境担当大臣マイケル・ゴーブは、「私があなたの話を聴いたとき、大きく感嘆しましたが、責任と罪悪感も感じました。私はあなたの両親の世代であり、気候変動と私たちが生み出した広範な環境危機に対処するのに十分な努力をしていないことを認識しました」と賛同します。また、昨年12/31ドイツ・メルケル首相は国民への演説で、「われわれの地球が温暖化しているのはリアルな現実だ。温暖化による危機は人類が引き起こしたものだ。人類が原因となって、人類を危機に直面させているからこそ、人類があらゆる力を発揮してこの問題に対処しなければならない。その対処はまだ可能だ。今、政治家が何も行動しなかった場合に生じる気候変動の結果を受けるのは、われわれの子どもたちであり、孫たちの世代だ。私は、子どもたちや孫たちがそうならないように、ドイツが気候変動を制御するために、環境的にも、経済的にも、社会的にも貢献できるよう、私の全エネルギーをかけていく」と強い決意を表明しています。著書『不都合な真実』で地球温暖化の危機を訴えたアル・ゴア(元米副大統領)も「文明を終わらせるような壊滅的な損失を避ける能力はまだある。救えるものを救う決心をすべきだ。これは人間性を試すためのテストだ」と。
一方、昨年大型の台風に襲われた日本は、第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)で地球温暖化の被害を最も受けた国の一つに挙げられ、期間中に地球温暖化対策を妨げているとして「化石賞」が国際環境NGOから授与されました。
最近、「SDGs(エスディージーズ):Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」という言葉をよく耳にすると思います。これは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。日本でも企業が積極的に経営に取り入れたり、教育現場でも題材として取り上げられたりしています。
しかし、2018年7月に発表されたSDGs達成ランキングにおいて、日本が達成されていると評価されたのは、「目標4:質の高い教育をみんなに」の一つのみ。そのほかの目標は未達成となっており、特に「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」「目標12: つくる責任つかう責任」「目標13: 気候変動に具体的な対策を」「目標14: 海の豊かさを守ろう」「目標17: パートナーシップで目標を達成しよう」の5つに関しては、4段階の評価で最も低い達成度という評価です。12/17世界の政治や経済界のリーダーが集まる「ダボス会議」を主催する「世界経済フォーラム」が、社会進出めぐる男女格差について、日本は過去最低の153か国中121位と評価したことは、まだ耳新しいニュースではないでしょうか?
これらの問題に取り組むには、現在の自分だけが良ければいいのではなくて、まず自分を取り巻いている世界やそこに暮らす人々に目を向け、理解することの必要性が、その根本にあるような気がします。そこには当然「多様性(ダイバーシティ)」への理解も必要となります。
1/1朝日新聞「多様性って何だ?」という、プレイディみかこ氏(保育ライター)と福岡伸一氏(生物学者)の対談の中で、プレイディ氏は「エンパシー(empathy)」という言葉を紹介しています。これは「他人の感情や経験を理解する能力」という意味。似た言葉に「シンパシー(sympathy)」があり、「どちらも『共感』と訳されます。ただシンパシーは『かわいそう』や『共鳴する』という感情の動きで、対象となるのは特定の人です。一方、エンパシーは、他者の立場を想像して理解しようとする自発的で知的な作業です」と。また、「真の多様性とは、違う者の共存を受け入れるという、言わば利他的な概念です。本質的には自己の利益や結果を求めるものではない。多様性は、利己性より利他性になじみがあると思います」と述べています。
福岡氏も生物界にも利他性があることを指摘し、「自ら学ぼうとしないと自分の利他性に気づけないのです。何も知らないままでは他者の立場を考えられない。偏見や強者の支配にとらわれてしまいます。(中略)山に登ると遠くまで見渡せるように、勉強すれば視野は広くなる。すると、お互いの自由も尊重し合う力を持てるようになります」と述べます。
トゥルース・アカデミーも、日頃の授業やロボット・コンテストの活動を通して、より広い視野が持てるよう、指導しなければならないことを、改めて痛感いたしました。
本年もよろしくお願いいたします。
トゥルースアカデミー代表 中島晃芳
トゥルースアカデミー
http://truth-academy.co.jp/
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