― 義務教育課程「フリースコーレ」―
デンマークの義務教育の特徴は実にユニークな面があります。 ●就学義務はなく、自分で学ぶ権利がある ●第7学年(中1)まで試験は禁止 ●1クラス28名以下 ●公立学校に不満があったり閉鎖されたりした場合、自分たちで私立学校を作ってよい ●行政は私立学校の経費の75%を補助しなければならない ●私立学校の教員は教員資格がなくても構わず、普通の人でもなれる ●転校は自由。学区制はない ●公立、私立とも理事会が運営する(公立では通常12名の理事の内、生徒代表委員2名の参加が義務) ●第10学年があり、自分の意思で義務教育期間を10年にできる(半数以上が選択) ●公立、私立とも放課後4年生までの集う施設を持つ これらは、フォルケホイスコーレの義務教育課程「フリースコーレ」の影響が公立学校にまで及んだ成果です。 最初の私立小学校「フリースコーレ」は、グルントヴィの教育方針に基づき、伝説的な一人の偉大な教師クリステン・コル(1816-1870)によって約160年前に作られました。コルは、「学校は、子どもたちが他のどの場所にいるよりも一番幸福で自由でなければならない」「子供は国家に帰属するのではなく親に属するのだ。だから両親は、子供の一時期に責任があるのではなく、そのすべての精神的な成長にわたって、責任があると理解しなければならない」と宣言しています。 フリースコーレでは、1クラス平均11名。普通は7年間、中学過程を持つ学校は9年もしくは10年間通う。授業科目やカリキュラムは自由度が高く、各校で異なるが、共通点としては創造的な科目(音楽・美術・陶芸・木工・金工・染物・ダンス・身体表現・演技・デンマーク体操など)を重視。また、「生きた言葉」の思想を受け継ぎ、教師や生徒が様々なことを語る「お話の時間」が必ず設けられているとのこと。理科は実験中心で、数学や英語でも模型や人形を作らせるという形で、創造的な手仕事(ハンズオン・ラーニング)をさせ、集中度や興味を高めているそうです。 フリースコーレでは原則最後まで試験はしませんが、卒業時に義務教育の過程を修了したことを証明する国家試験は受けなければならないそうです。次回、さらにユニークで世界的にも注目されている「エフタスコーレ」を紹介します 【参考】『生のための学校』(清水満著:新評論) |
To be continue・・・ |
教育用レゴブロックや算数ブロック、ロボットなどの教材で学ぶ科学教室トゥルース・アカデミー代表の中島晃芳です。 このブログは、当アカデミーが月に1回発行しているお知らせ「Truth通信」に、2004年より掲載している「トゥルースの視線」をまとめたものです。 科学教育や算数教育、ICT教育、ロボット教育、ロボカップジュニアなどについて私の雑感を書き記しています。ぜひご一読いただければ幸いです。