-世界大会関東遠征チーム-
去る6月13日(木)~18日(日)、ドイツ・ブレーメンでロボカップ2006世界大会が行われました。日本代表としてジュニア18チームが選抜され、内9チームが関東(都立高専3チーム・当アカデミー3チーム含)と圧倒的な数を占めました。しかし残念ながら2チームが辞退。関東7チームでブレーメン入りを果たしました。 ブレーメンは「音楽隊」で有名なドイツ北部の都市ですが、街の中心は市庁舎(世界遺産)周辺の狭い範囲だけで、こじんまりとした治安もよい街です。会場は中央駅近くのMesse Bremen。何棟にもなる大きな会場の全面で行われ、大ステージや休憩所だけでなく、教材を含むロボット関連の企業ブースも多数ありました。 ジュニアは世界23カ国から247チームが参加。開催国ドイツと中国のチーム数が非常に多かったようです。ダンスは1日、休息日がありましたが、サッカー・レスキューは連日試合。さらにWelcomeパーティーやSocial Event,Outdoor Event,Farewell Partyも夜7時頃から催され、スケジュール的にはハードな面もありました。 サッカーとレスキューは、ドリームチーム方式が採られました。異なる国のチームが組んで競技する方式ですが、レスキューに関しては賛否両論が分かれました。中・高校生では自主的な活動を行っており、ある程度英語(会場では英語が公用語)での交流が可能ですが、小学生はまだ先生や親の力を借りて活動しているチームが多い上、特に日本・中国などのアジアの子供達は自分たちだけで英語のコミュニケーションをとることが困難です。高学年では、「自分のロボットは今調子が悪い。君達のチーム成績が良くなるために何が出来るだろうか?」というパートナーチームを思いやる交流もあったようです。一方で、勝ちにこだわり過ぎる指導者のチームも。競技中にパートナーのロボットの状態が悪いと、減点を押さえるためフィールドからの撤去を要求したり、パートナーのロボットやPCを勝手に触り出すチームさえありました。 ダンスは予選演技が2回あったので、1回失敗しても挽回できます。ロボットの仕組みやプログラムを調査する「インタビュー」でも日本語スタッフを配置。また、決勝に8チーム選出されましたが、ベスト3は順位を付けずに3チームとも優勝。残り5チーム全てに、カテゴリー賞が与えられました。教育という観点に立脚し、子供たちの気持ちを考えた配慮ある運営でした。 ジャパンオープンや世界大会という上位大会になるにつれ、いつも気になるのは「私たち大人の関わり方」です。だんだん欲が出てくるのか、活動している子供よりも真剣にロボットやプログラムを直したり、言動の指示をしたり姿が時折見られます。 教育の目的は、子供たちが一人の独立した人間として、その人生を責任と自信を持って生きていけるように育てることです。勉強にせよ、スポーツにせよ、ロボット製作にせよ、そのための練習です。大人のとるべき態度は、子供の力を信じてじっと見守ること。大人にとっては非常に辛く忍耐の要ることですが、大人が自分を信頼し温かく見守っているという安心感の中で、子供は生起する問題を自分で解決する力を身に付けていくのではないでしょうか? ロボカップジュニアの精神を実現できる環境を私たち大人が協力して創っていければと願います。 今後ともご協力お願いいたします。
7.5.3.大切なのは「勝ち負け」ではなく、ロボカップジュニアの活動や経験を通して「いかに多くのことを学んだか」ということである
―ロボカップジュニア2006サッカー・ルール7.5「精神」より ―
会場前にて 関東出場チーム
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教育用レゴブロックや算数ブロック、ロボットなどの教材で学ぶ科学教室トゥルース・アカデミー代表の中島晃芳です。 このブログは、当アカデミーが月に1回発行しているお知らせ「Truth通信」に、2004年より掲載している「トゥルースの視線」をまとめたものです。 科学教育や算数教育、ICT教育、ロボット教育、ロボカップジュニアなどについて私の雑感を書き記しています。ぜひご一読いただければ幸いです。