2024年10月26日土曜日

【第195回】AIの基礎を築いた2氏がノーベル物理学賞受賞!

~ 今では身近となったAI やAIロボット~


ノーベル賞発表写真
スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は、日本時間の8日午後7時前、今年のノーベル物理学賞の受賞者にアメリカのプリンストン大学のジョン・ホップフィールド教授と、カナダのトロント大学のジェフリー・ヒントン教授の2人を選んだと発表しました。2人は、現在のAI=人工知能の技術の中核を担う「機械学習」の基礎となる手法を開発し、その後「ディープ・ラーニング」など新たなモデルの確立につながったということです。

この受賞は多くの人工知能研究者に驚きをもって受け止められました。「コンピューターのアルゴリズムの研究はこれまでの常識から考えるとノーベル物理学賞の範ちゅうではない分野で、非常に驚いている」(東京大学・樺島祥介教授)、「ノーベル賞は情報分野が無いので、どうなるかなと思っていたが、物理で持ってきたのは意外だった」(人工知能学会会長・慶応大学・栗原聡教授)、「物理学賞はふつう、AIなどの情報系から遠い分野に贈られるので、すごくうれしい。社会的なインパクトが評価されているのだと思う」(東京大学・松尾豊特任教授)
人工ニューラルネットワーク(朝日新聞デジタルより)
NHKの報道によると、2人の研究は次のようなものだそうです。「ホップフィールド教授は人間の神経回路を模倣した『人工ニューラルネットワーク』を使って、物理学の理論から画像やパターンなどのデータを保存し、再構成できる『連想記憶』と呼ばれる手法を開発しました。この手法によって、不完全データから元のデータを再現できるようになりました。ヒントン教授はこの手法を統計物理学の理論などを使って発展させ、学習した画像などの大量のデータをもとに可能性の高さから未知のデータを導き出すアルゴリズムを開発しました」。また、ノーベル財団が公表した受賞した研究の説明資料には、現在ファジィシステム研究所の特別研究員である福島邦彦氏と東大名誉教授の甘利俊一氏の2人の日本人がこの分野に大きく貢献したことが記載されていたとのことです。

これらの研究のお陰で、現在ではChatGPTなどの生成AIやAIが搭載されたロボットなども身近になりました。AIロボットは、従来型のロボットと比べてより複雑なタスクを実行できることが特長です。各種センサーやカメラなどのハードウェアから入力された情報をもとにAIが学習を行い、動作を最適化できます。状況に応じた判断が必要な作業や、人間との言葉を通じたコミュニケーションなどがAIロボットの主な用途です。

工業や農業、接客業などの現場で活用されている業務用のAIロボットは、生産性を高めたり、人手不足を補ったりしてくれています。くら寿司がAIで解析した「魚の食欲」に応じて給餌するスマート給餌機を開発し、AIやIoTを活用したハマチのスマート養殖に日本で初めて成功したというニュースも記憶に新しいかと思います。家事をしてくれるロボット掃除機「ルンバ」や、人を癒すソニーの「aibo(アイボ)」やGROOVE Xの「LOVOT(ラボット)」、MIXIの「Romi(ロミィ)」などの家庭用のAIロボットも身近な存在になっています。

自動車部品サプライ―あの最大手のデンソーは、人とロボットの協働に向け生成AIを使った自律型ロボット制御技術を開発しているとのこと。人が自然言語を使って口頭で指示できるロボット制御技術の開発プロジェクトを2023年4月に立ち上げたそうです。日常の中で人間とロボットがコミュニケ―ションを取り、共同作業ができる社会が近づいていることは、とても楽しみです。

しかし、最近驚いたのは、ホリエモンこと堀江貴文氏の「ホリエモンチャンネル」で昨年8月に紹介された、ロボットクリエイターとして有名な古田貴之氏が所長を務める、千葉工業大学の未来ロボット技術研究センター(fuRo)の「異世界転生」と呼ばれる技術です。次回、じっくり紹介しいたいと思います。
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳
アイボ
ラボット