~ 小説・絵画・音楽…AIと創る芸術作品 ~
2022年11月にOpenAIという企業がリリースした「ChatGPT」(https://openai.com/)は、その高度な技術から瞬く間に注目を集め、日本でもかなり話題になっていますので、もう既に使っている方もいらっしゃるかと思います。ユーザー数100万人を5日で超え、1億人を超えたのはたった2か月だったそうです。ChatGPTは、質問欄に聞きたいことを入力すると、とても短い時間で人間と対話しているような自然な文章で答えてくれます。私もいくつかの質問を試してみたのですが、まだ未学習の事柄もあるのか、時にはトンチンカンな答えもありますが、多くの場合は想定通りの答えを返してくれます。ChatGPTのAPIを利用して開発されたLINEアプリ「AIチャットくん」が今年3月2日に提供が開始されました。ログインする必要もなく、すぐにChatGPTが使えます。LINEなので音声入力もできるので、とても便利です。ChatGPTは、Excel関数の生成、HTMLからPythonなどのプログラミングも可能で、さらにはまた、音楽、小説、脚本、詩、歌詞や作文などのクリエイティブな活動も行えるそうです(有料版だけかもしれませんが)。


ロボカップの提唱者で一般社団法人ロボカップジュニア・ジャパンの理事も務められたた松原仁・東京大学次世代知能科学研究センター教授は、日本を代表する人工知能の研究者です。松原教授は、小説を書くAI開発プロジェクト「きまぐれ人工知能プロジェクト・作家ですのよ」という小説を書くAI開発プロジェクトを2012年にスタートさせ、2016年にその作品が、「理系的発想からはじまる文学賞・星新一賞」(https://hoshiaward.nikkei.co.jp/archive/no1/index.html)の1次審査を通過しています。賞の立ち上げにも松原教授は携わっており、「人間以外(人工知能等)の応募作品も受付けます」と応募規定にあります。星新一の次女・星マリナさんから「星新一の原稿データを、全て研究に使っていいですよ」というバックアップを受け、星新一の1000点以上の短編SFを解析しているとのこと。2022年2月18日、星新一賞で初めてAIを使って執筆した小説「あなたはそこにいますか?」が入選したと、主催する日経新聞は報じています。作者の葦沢かもめさんは、AIが生成したあらすじを基にした執筆や、AIが書いた文章の編集などを通して、AIと共同で小説を作っていると言います。今回の応募総数は2603編。そのうちAIを利用して作られた作品は114編(前年14編)もあったそうです。
ゲームクリエイターのSta氏が開発し、Google TRCの協力により作成されたツール「AIのべりすとalpha2.0」(https://ai-novel.com/)は、文庫本に換算すれば174万冊分の知識を学習しているAIであり、非常に精度の高い文章の生成ができるそうです。最初にいくつかの文章を入力することで、セリフの口調や文脈にあった物語の展開がAI側によって生成されます。細かいオプションを使用することで、より自分の理想に近い小説を書くことができるとのこと。また、アイデアのヒントを得るために活用したり、キャラクター設定やストーリーや文章の要約、一日に起こった出来事を文章化し日記に付けたりすることなどにも活用できたりします。昨年「第1回AIのべりすと文学賞」(https://demeken.net/ai-novelist/)が行われ、10代から70代の幅広い世代から389本もの作品が寄せられたと、主催する株式会社デジタルメディア研究所が発表しています。実際に使ってみると、ひたすら自問自答しながら書くのとは異なり、AIと会話しながら文章を書いていく共同作業がとても楽しく感じられました。現在「第2回AIのべりすと文学賞」の開催が検討されています。興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか?
また、音楽や絵画でも、AIで作曲する音楽自動生成サービスや、テキストから自動で絵画を生成するAIアプリがいくつも出ています。2022年の米コロラド州の展覧会「Colorado State Fair」の美術コンテストで、短い文章を入力すると、生々しいほど現実味がある絵に変換してくれるAI「Midjourney」を駆使したジェイソン・M・アレン氏の応募作「Theatre D’opera Spatial(仏語で『宇宙のオペラ劇場』)」が、コンテストの新進デジタルアーティスト部門でブルー・リボン賞(1位)を獲得しました。これはインチキだ、という物議をかもしています。
このように、既存のデータを単に分析したり処理したりするものではなく、斬新なコンテンツを生成できるAIは、「ジェネレーティブAI(生成型人工知能)」と呼ばれています。芸術とは何なのか?AIの著作権の仕組みは?倫理的に問題ないのか?などの問題を投げかけていますが、私たちの日常風景は確実に変わってきています。
素人でもAIツールを使って芸術創作を楽しむことは、人生を豊かにしてくれるのではないでしょうか?
また、音楽や絵画でも、AIで作曲する音楽自動生成サービスや、テキストから自動で絵画を生成するAIアプリがいくつも出ています。2022年の米コロラド州の展覧会「Colorado State Fair」の美術コンテストで、短い文章を入力すると、生々しいほど現実味がある絵に変換してくれるAI「Midjourney」を駆使したジェイソン・M・アレン氏の応募作「Theatre D’opera Spatial(仏語で『宇宙のオペラ劇場』)」が、コンテストの新進デジタルアーティスト部門でブルー・リボン賞(1位)を獲得しました。これはインチキだ、という物議をかもしています。
このように、既存のデータを単に分析したり処理したりするものではなく、斬新なコンテンツを生成できるAIは、「ジェネレーティブAI(生成型人工知能)」と呼ばれています。芸術とは何なのか?AIの著作権の仕組みは?倫理的に問題ないのか?などの問題を投げかけていますが、私たちの日常風景は確実に変わってきています。
素人でもAIツールを使って芸術創作を楽しむことは、人生を豊かにしてくれるのではないでしょうか?
トゥルース・アカデミー代表 中島晃芳

ジェイソン・アレンさんがAIを使って制作した絵